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自民党本部(「Wikipedia」より/Sekicho)
国会議員の平均報酬5千万!を報じないメディア、国と癒着し多大な便宜を受ける実態
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10665.html
2015.07.09 文=神樹兵輔/マネーコンサルタント Business Journal
安倍晋三首相の応援団ともいわれる自民党若手議員の勉強会において、「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」などの勇ましい発言が飛び出し問題となりましたが、その後の大手新聞や在京テレビ局の緩い反応には驚かされました。
安倍首相はすぐさま遺憾の意を表明し、自民党は勉強会の代表だった青年局長を更迭、当の言論規制発言の議員には厳重注意処分を行い、さっさと幕引きを図りました。そしてそれに歩調を合わせるかのようにマスメディアのほうも、この問題にはわずかの批判を加えただけでとっとと終息させてしまったのでした。
講師役の著名作家が発言した「沖縄の2つの新聞」に当たる沖縄タイムスと琉球新報が、猛烈な抗議の声を上げているのに対し、在京メディアは素知らぬ顔を決め込んでしまったのです。危機意識のなさを露呈させた対応となりました。言論の自由、報道の自由は死んでも守るぞ――といった気概すら感じられないのが、日本のマスメディアの現状です。
そもそも自民党若手議員のあいだからこうした非常識なメディア規制、言論封殺の声が上がるのは、とっくにマスメディアが政治家からなめられているからにほかなりません。今までマスメディアが、政権とズブズブの癒着関係を続けてきたからこその事態だともいえます。
■「政治権力」にすり寄り
日本は敗戦で国土が灰燼に帰する中、戦前への反省とともに平和国家建設に向け、大事なのは「マスメディアの役割」だったと強く認識したはずでした。戦前は自由な言論を封殺されて軍部の独走を招き、大政翼賛会、大本営発表垂れ流しの太平洋戦争へとひた走ったため、日本人は「権力への監視」「言論の自由」がいかに大事なのかを身に染みて知りました。しかし、結局戦後一貫してマスメディアは、権力にすり寄る歴史を重ねてきたのです。
敗戦後、新聞は再販制度の新聞特殊指定による全国統一価格の導入を認められました。また、戦前には記者クラブによる言論統制を受けていたにもかかわらず、記者クラブ制度を復活させ、税金による便宜供与をまたしても独占的に受け始めます。さらに、大手新聞各社は政府から東京都心の一等地にある国有地を格安価格で払い下げてもらい本社屋を建てていきます。
つまり新聞は「公共性」を楯に自分たちにとって有利な要求を政府や地方行政にのませ、実現させてきたわけです。このあたりからすでに政権に魂を抜き取られ、堕落が始まっていたとも見て取れるのです。その後は、電波周波数の割り当てを恣意的に行ってもらい、大手新聞社は系列テレビ局の格安電波利権を得て、広告料収入で潤っていきます。いわば、日本のマスメディアは政治や行政におんぶにだっこで形成されてきたわけです。
■安倍政権は大恩人
民主党政権では電波料をオークション制にすると閣議で決め大慌てだったマスメディアは、現在の第2次安倍政権がそれを取りやめてくれたので、政権には頭が上がらなくなってしまいます。諸外国のようにオークション制にすると、電波料も跳ね上がり国庫も潤うのですが、それを安倍首相が阻止したわけですからマスメディアにとっては大恩人といえるわけです。
こうした背景から、集団的自衛権行使の閣議決定に真正面から反対の意見をぶつけるのには及び腰になっています。また、消費増税に公然と反対せずに、財務省の財政破綻キャンペーンに乗っかってきたのも、2017年4月の消費税率10%導入時に新聞だけ軽減税率適用を求めているからにほかなりません。
ほかにもマスメディアには、自らが抱える「不都合な真実」が積み重なってきています。
新聞各社は公称発行部数を水増しして不正に広告料収入を得ているのではないかという詐欺まがいの疑惑が、まず第一に挙げられるでしょう。販売店に販売数量より2〜3割多い予備紙を押し付けその分の代金を徴収し、あとから他の名目で補てんするかたちでABC公査部数をすり抜け、配達されない新聞や折り込みチラシは廃棄物処理業者に処分させているとの告発が複数なされています。また、新聞は建設会社の談合などは批判しますが、自らは新聞休刊日の取り決めなどで談合をしているのではないかと指摘されています。
加えて、マスメディアの経営幹部や編集幹部は首相をはじめとする政権幹部との高級な会食を重ね、政府の審議会委員に任命してもらい報酬を得たりと、政府の操り人形になっていく実態も見て取れます。マスメディアと政権のこれほどまでに緊張感のない癒着関係は、日本の将来にかなり危険な事態を招くのではないかと危惧されるのです。
■国会議員報酬をめぐる報道
ところで、マスメディアが政治の実態を正しく伝えられなくなっていることは、先月の国会議員の所得公開をめぐる報道においても伺えます。
虚偽報告でも罰則のない資産公開・所得公開ですが、報酬の歳費分と期末手当分だけを合計して「国会議員の年間所得は平均2000万円前後」などと注釈もなく報じているのです。政党交付金からの議員への分配にもよりますが、実際には他のいろいろな名目で少なくても報酬総額は5000万円前後に達しています。
議員報酬にはどんな名目があり、なぜそれが所得に入らないのかも説明すべきなのに、それさえきちんと報じていません。国が財政赤字で莫大な借金を積み重ねている現状を考えれば、正確な情報を読者や視聴者に伝えるべきでしょう。
日本国民の70%が信頼を置いている――といわれる日本のマスメディアには、自らの襟を正して政権との適切な緊張関係を保ち、「権力の監視」「言論の自由」の砦となることを期待したいものです。
(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)
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