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『ニューズウィーク日本版』2015−6・30
P.70
「安保改定を目指す岸信介をアメリカはどう見たか
1957年6月24日号
「戦時中は経済の帝王であり、今や日本国総理となった岸信介はアメリカから熱烈な歓迎を受けた」
1957年6月、日本の総理大臣としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。『日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります』」
安倍晋三首相は、4月に行われたアメリカでの議会演説をこう切り出した。「希望の同盟へ」と題したこの演説の中で安倍は、戦後のアメリカのリーダーシップに感謝するとともに日米同盟のさらなる強化を訴え、出席した上下両院議員から拍手と喝采を受けた。
57年6月24日号のニューズウィークは、当時首相だった岸の訪米について特集した。第二次大戦で敵国だった日本からの客人について、特集記事は冒頭でこう書いている。「極東から来たこの笑顔の指導者にとって、積年の野望をかなえた瞬間だった。(中略)戦時中は経済の帝王であり、今や日本国総理となった岸信介は、アメリカから熱烈な歓迎を受けた。日本帝国を戦争で破り、民主的憲法の下で復興を助けたその国から」。
敗戦国である日本は52年に独立を回復した後、55年に高度経済成長期に突入し、56年には国連への加盟を実現。岸はこの訪米時、旧日米安全保障条約の改定を目指していた。51年に締結された旧日米安保条約では在日米軍に日本防衛義務はなく、他方で米軍が日本国民に武力行使できる「内乱条項」を含んでいたため、日本にとって不平等条約と見られていた。
ニューズウィークは、岸がアイゼンハワー大統領との会談に持ち込むとみられる議題― つまり、当時の日米関係の懸案事項についてこう分析していた。まず筆頭に安保改定交渉があり、次に沖縄の施政権について日本の影響力の拡大、アメリカが求める自衛隊増強についての日本のジレンマ、対中貿易制限の撤廃、と続く。同時に、記事は岸の真の目的はむしろ、「日米間の友好と協力関係が、永遠に保障される」ように交渉することだ、とも書いている。
ただアメリカにとって、岸は必ずしも素直に歓待できる友人ではなかった。記事は、戦時中は東條内閣で商工大臣職にあり、A級戦犯被疑者として拘留された岸が「極東政策のキーマン」になったのは「大きな皮肉だ」と記している。
アイゼンハワーがその岸をゴルフに招くなど厚遇したのは、反共の防波堤に成長させた日本を死守する必要があつたからだ。訪米前にも「日米を引き裂こうとする共産主義」の脅威を強調していた岸は、アメリカにとって「日本を経済的に健全、かつ政治的に友好的にしておくために最適だと信じる人物」でもあった。
岸は安保闘争を押し切って60年に条約を改定、内閣稔辞職に追い込まれた。岸の趣味の1つは孫と遊ぶことだったそうだ。その孫の1人である安倍が目指すのは、新たな安保法案による集団的自衛権の行使容認で日米関係を「対等」にすること。岸の安保条約は日米関係をより対等に近づけたとも、日本の対米従属関係を固定化したとも言える。安倍の安保法案は、日米関係をさらに対等なものにする第一歩なのか、あるいは新たな従属関係の始まりなのか。」
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