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櫻井よしこの「百田尚樹擁護論」(「週刊新潮」7/9号「日本ルネッサンス」)を読む。
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20150706
2015-07-06 哲学者=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』
櫻井よしこは、百田尚樹の言論弾圧発言事件を擁護するのに朝日新聞の「慰安婦報道」を取り上げて、延々と「慰安婦報道批判」を繰り返し、言論弾圧発言事件から朝日新聞批判へ論点をずらしている。朝日新聞に「百田尚樹批判」をする資格があるのか、と。
もちろん、「百田尚樹を批判する資格がある」に決まっているだろう。朝日新聞は、櫻井よしこや百田尚樹等が蛇蝎のごとく嫌ったとしても、紛れもなく、日本を代表する新聞=メディアなのだ。残念ながら、産経新聞は、質、量ともに、朝日新聞には勝てない。産経新聞は、日本を代表する新聞=メディアではない。
それに、朝日新聞だけが、「百田尚樹批判」をしているわけではないだろう。私は、朝日新聞は読んでいないが、百田尚樹と安倍首相の「蜜月関係」を批判している。こういうエセ作家の影響を受けている政権は、ダメな政権だろう、と。
しかも櫻井よしこは、肝心の「沖縄の新聞はつぶさないかん」とかいう百田尚樹の言論弾圧発言に関しては、上智大学教授・田島泰彦の「メディアには多様性が必要だ」という当たり障りのない発言を長々と引用して、お茶を濁している。櫻井よしこが、よく使う手である。田島泰彦がそんなに「偉い」とは知らなかった。
つまり、櫻井よしこも、「言論弾圧発言」は良くないと言っているように見える。櫻井よしこも「憲法」で保障された「言論表現の自由」という原理原則に「従順」なのだ。言うまでもなく、新聞やテレビが大騒ぎしている「言論表現の自由」は、自分たちだけの「言論表現の自由」であって、「国民」の「言論表現の自由」は含まれていない。
憲法で保障されていようと、保障されていまいと、言論弾圧や言論統制は頻繁に行われている。現に、安倍首相と安倍政権が行っている、あるいは行おうとしている、新聞やテレビ、あるいはネットなどへの統制や弾圧は顕著ではないか。百田尚樹は、安倍首相の「意向」を先取りして、「言論弾圧発言」を行っただけである。
櫻井よしこやマスコミ関係者が、百田尚樹を批判するのは、「片手落ち」である。百田尚樹批判は、マスコミ批判と直結しているはずだ。マスコミ関係者と安倍首相の「会食」は、何のための「会食」なのか?自明ではないか?
ところが、そもそも、櫻井よしこが恭しく引用する「メディアの多様性」という「田島泰彦大先生」(笑)の発言の「出典」が書いてない。何処かでの発言からの引用なのか?あるいは、櫻井よしこ自身がインタビューした時の発言なのか、そこが曖昧である。
それに、櫻井よしこは、意識的かどうか知らないが、田島泰彦の言う「多様性」という言葉の意味を取り違えている。櫻井よしこは「多様性」という言葉を理解していない。大江健三郎の『沖縄ノート』のなかの「罪の巨塊」を「罪の巨魁」と誤読、誤解した曽野綾子と同じである。
田島が言っているのは、「ある一つの新聞の多様性」ではない。「A新聞、B新聞、C新聞があっていいという様々な新聞社の多様性」である。櫻井よしこは、朝日新聞や沖縄の新聞に「多様性がない」と言う。朝日新聞と沖縄の新聞2紙は、「偏向」しているというわけだ。勘違いも甚だしい。
ただ、櫻井よしこ等の主張と意見が合わないというだけのことだろう。当然ではないか。沖縄の新聞も朝日新聞も、櫻井よしこや百田尚樹等の「御用新聞」ではない。「沖縄の新聞は左翼に乗っ取られている」と言うが、それでは、「右翼に乗っ取られた新聞」がいいのか?
では、櫻井よしこに聞くが、産経新聞は偏向していないのか。産経新聞は公平中立な新聞なのか?産経新聞は、政治的立場を明確にした、旗色鮮明な新聞ではないのか?その意味で、朝日新聞も沖縄の新聞も、政治的立場を明確にした、いわゆる旗色鮮明な新聞なのだ。
朝日新聞も、沖縄の新聞も、「産経新聞化」しろ、と言いたいのか? 田島泰彦は、朝日新聞があり、沖縄の新聞があり、産経新聞があることこそが「多様性」だと言っているのだ。櫻井よしこの「多様性」は「多様性」の捏造、歪曲である。まさに「ネット右翼脳」である。(続く)
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