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制度をPRする甘利大臣〔PHOTO〕gettyimages
もう逃げられない! マイナンバー制度「あなたの財産を丸裸にします」。「恐怖の名寄せ」で一発追徴課税
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44012
2015年07月06日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
全国民必読、逃げ道のない監視社会が到来する
——親の遺産、株の利益から妻の掛け持ちバイト、隠していた小金まで、一つにまとめ上げて、あなたを吊るす
知らず知らずのうちに導入が近づいていたこの制度。役所での手続きが簡単になれば便利だが、人が番号で管理されるというのはやっぱり気持ちが悪い。逃げ道のない監視社会が、まもなく訪れる。
■とにかく、やれ!
「遅い!」
首相官邸の5階にある総理執務室。安倍晋三総理の甲高い怒声が響く。連日のように呼び出され、叱責を受けているのは、マイナンバー制度の実務を担当する内閣官房社会保障改革担当室の宮島俊彦室長だ。
いよいよ10月5日から、日本に住むすべての人に一枚のカードが配られる。12ケタの「マイナンバー」が記された、「通知カード」である。
いったい、いつのまに—。そう思う人も多いだろうが、国民全員が一生変えられない番号を与えられ、個人情報のすべてが国によって管理される日が、わずか3ヵ月後に迫っている。
通知を目前に控えた今、なぜ安倍総理は焦っているのか。内閣官房職員が明かす。
「6月1日に公表された不正アクセスによる約125万件の年金情報流出事件以来、参院でのマイナンバー法案の審議は完全にストップしている。サイバーテロに対するセキュリティを一から見直さなければなりませんが、それが進んでいない。だから安倍さんは怒っている。6月末に閣議決定する『新成長戦略』の目玉はIT分野だが、そのために『万全のサイバーセキュリティ』という文言を、成長戦略に入れなければならない。もちろん、マイナンバーのためにもです。
それなのに、現場から上がってくる報告は『セキュリティは万全ではありません』というものばかり。他省庁からITに詳しい人間を呼ぼうにも、そもそも人材がおらず、安倍さんのイライラが募っています」
実際にマイナンバーを国民に通知するのは、全国の自治体の仕事。監督官庁がこの調子なのだから、市区町村の現場はさらに混乱している。
総務省自治行政局の職員が言う。
「『準備を進めてください』と必死に自治体の尻を叩いています。しかしマイナンバーの呼びかけだけして、実質、何の準備もしていない自治体も少なくないんです。登録者が集まらず、大失敗に終わった住基ネットの二の舞になると考えている首長までいる」
現場での準備がまったく進んでいないのに、10月に通知、来年1月からの制度開始とスケジュールだけが決まっている。内閣府のアンケートでは「制度を理解している」人が3割いるというが、この数字も怪しい。
「概要を知っているだけの人も『理解している』に入れるようなアンケートで、意味はない。実際に制度の詳細を理解している国民はゼロに近いでしょう」(前出の内閣官房職員)
だからこそ、甘利明経済再生相に「私~以外私じゃないの~あたりまえだけどねだ・か・らマイナンバーカード」などとロックバンドの替え歌を突然歌うような滑稽な真似をさせてでも、浸透させようと政府は躍起になっている。
■真の狙いは何か?
そこまでして、なぜマイナンバー制度を導入するのか。
政府はその目的を「社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理」するためとしているが、これはあくまで表向きの理由。本音は、財産を丸裸にし、課税対象となるカネの流れを完璧に把握するためだ。
マイナンバー制度を利用するには、今年10月に配られる「通知カード」を持って来年1月以降に役所に出向き、顔写真などを提出して「個人番号カード」を作らなければならない。
そしてこの「個人番号カード」に登録された情報は、12ケタの固有の番号とともに、政府によって一つにまとめ上げられ、管理される。
肝となるのは、今年3月10日に、預金口座を利用する際にマイナンバーを登録する、と閣議決定されたことだ。登録は任意だが、数年で強制申告制になると言われる。
元国税庁職員で税理士の赤池三男氏が解説する。
「マイナンバー制度の導入は、『個人所得を完璧に把握しよう』という政府の姿勢の表れです。預金口座にマイナンバーを紐付けられれば、税務署にとって資産の把握がはるかに容易になる。あちこちから資料を集めずとも、マイナンバーをもとに『名寄せ』すれば、その人の資産と納税状況が一発で把握できるようになるわけです」
■国税の「悲願」達成
日本の納税は、自己申告にもとづいて税金を支払う「申告納税」が原則だった。しかしマイナンバーの導入によって、「賦課課税」に変わる。
「『賦課課税』になるとはつまり、これからはおかしな点があればすぐに税務署から『税金を納めなさい』という連絡が来るということです。どこの株をいくら持っているか。土地やマンションを持っているか。その賃貸収入はいくらか。そして、そこからいくら税金を納めているか。ゆくゆくは全部わかるようになるでしょう。口座をいくつ作っていてもムダです。
マイナンバーとは、預金だけではなく株や不動産といった有形無形の資産を国が把握し、一銭たりとも税金の取り漏らしがないようにする制度。情報へのアクセスは格段に容易になり、国税にとって『最強の武器』になります」(赤池氏)
確かに、これまで脱税や不正受給をしていた者を取り締まるには有効かもしれない。保険料の支払いや確定申告の際の、煩雑な手続きが解消されるというのも事実だ。
しかし、ことはそれだけでは済まない。国民の側からすると、これまでは黙認されていた細かなカネの流れが、すべて国に監視されるようになるのだ。
たとえば資産家のAさんが亡くなったとする。
Aさんは複数の駐車場やマンションなどを持ち、財産の相続税評価額は3億円。相続人であるAさんの妻と長男、長女の3人は、相続税を申告し、納税した。
しかし実は、長く体調がすぐれなかったAさんは、亡くなる2~3年前から、自分の預貯金を3人に分配していた。
Aさんが贈与した金額の合計は3人それぞれに1000万円ずつ。複数の口座に少しずつ振り込んでいたので、これまでなら国税に捕捉されることのなかったカネだ。
だがマイナンバーが導入されれば、いくつの口座に分かれていようと、Aさんがいつ、誰に、いくら送金したか一目瞭然となる。
Aさんが亡くなってからしばらくしたある日、税務署の訪問を受ける妻。「◯◯銀行△△支店の口座をお持ちですね。通帳を見せてください」。その言葉に従ったが最後、申告漏れの追及が始まるのだ。
Aさんの妻が受け取った1000万円は、贈与の申告をしていないため遺産に加算され、40%の相続税、つまり400万円を追徴課税されることになる。
「相続税の申告漏れが発覚したケースのうち、現金預貯金は36%です。これがマイナンバーによって捕捉できるんですから、国税が眼の色を変えるのは当然です。居住地から離れた場所にあるいわゆる『疎開預金』も判明するわけですからね。国税の『悲願』が達成するといってもいい」(元国税の税理士・武田秀和氏)
サラリーマンの夫を持つB子さんのケースでも、隠し事がバレることになる。
B子さんはスーパーや飲食店などで掛け持ちアルバイトをしている。子供ができたときの養育費に当てようと、B子さんは熱心に働き、その年収は、合算すると扶養控除の対象となる103万円を超えている。
これまでは、バイト先が複数の場合、納税状況の調査に手間がかかるため、税務署は見て見ぬふりをするケースも多かった。しかし今後は、マイナンバーによって口座と収入が照合され、「控除の対象外である」と即座に通達がくる。
当然、副業も丸裸にされる。
勤めている企業に対し、従業員はマイナンバーを提出しなければならない。そのため、副業で儲けていて、その収入分を含んだ住民税を自分で納税しているなら、税務署にも会社にも副業がバレることになる。
社会保険労務士で北見式賃金研究所所長の北見昌朗氏が語る。
「会社の天引きではなく、納税をすべて自分でやる『特別徴収』というものをやれば、バレないかもしれませんが、そんなことをする会社員はいない。仮にそれをやっても、社内で非常に目立ってしまう。そうなると、泣く泣く副業を辞めて、経済的に困窮してしまう人も出てくると思います」
会社にマイナンバーを提出しなければどうか。北見氏が続ける。
「確かに、提出しなくても当面は処罰の対象にはなりません。内閣府の担当者にも、『提出しない場合は懲戒解雇していいのか』と問い合わせたら、『それはできない』と言われました。ただ、『会社は提出を強制はできる』とも言っていた。すでに矛盾をきたしているのは、法制度すら明確になっていないからでしょう」
■カネの動きはすべてバレる
想定される事例はまだまだある。
親が子供のために、結婚式の「支度金」として数百万円を振り込むようなケースは、即座に税務調査が始まり、贈与税を取られてしまう。
本業の年収が2000万円以下で、株などで20万円以上儲けている人は原則として確定申告が必要。しかし忘れている人も多いだろう。それもすべてバレる。
また、競馬などのギャンブルでは、最高50万円までは控除になるが、それを超えれば確定申告をしなければならない。ただ、競馬は現金での引き出しが基本。そんなことをしている人は少ない。使いきってしまえば気づかれない可能性もある。だがそのカネを口座に振り込んだとき、国税にマークされる……。
マイナンバー導入後の世界では、このようにカネの動きはすべて捕捉されることになる。政府は「国民にとっても利便性が高まる」と強調する。だが繰り返すが、この制度は「国の徴税権力を強化」するため以外の何物でもないのだ。
そして、これほどの情報を集めるにもかかわらず、冒頭で述べたように、その管理はいかにも心許ない。
内閣官房社会保障改革担当室の担当者に聞くと、マイナンバーの閲覧については、「閲覧権限の決め方や端末の管理については、各自治体がこれから検討する」というだけだった。中央官庁の人間だけでなく、各市町村の役所でも、職員がマイナンバーにアクセスする機会がある。アクセスする人間の数が増えれば、当然増大するのが流出のリスクだ。
もう一つ、問題となるのは、企業でのマイナンバーの管理だ。従業員から提出された番号の管理は、「企業ごとに勝手に行え」というのが政府の方針だ。
前出の北見氏が言う。
「中小企業や飲食店の経営者たちは非常に悩んでいます。というのも、マイナンバーを漏洩したら懲役もしくは罰金という厳罰が科されるんです。そのため、国は『マイナンバーを取り扱う部屋を専用個室にしろ』、『セキュリティのためにウイルス対策ソフトを導入しろ』と言っています。マイナンバーを保管するためだけの専用個室を用意できる中小企業がどれだけあると言うんですか。セキュリティにしても、どんなソフトを入れればいいかもわからない。コストも人手もかかるし、あまりに非現実的です」
さらに気になることがある。近い将来、マイナンバー制度は金融機関以外の民間企業とも連携し、利用できる範囲を拡大するというのだ。
自民党のIT戦略特命委員長として、マイナンバー制度を進める平井卓也衆議院議員に聞いた。
「『個人番号カード』によって図書館で本を借りたり、学生証や社員証、保険証の代わりにできたりすることを想定しています。スイカやパスモ、インターネット上の買い物も、このカード一枚で済むようになるかもしれません。民間企業にとって、大きなビジネスチャンスとなるはずです」
しかしそうなれば、民間企業がマイナンバーの情報を収集する機会は増え、そのデータベースが盗まれて詐欺犯罪に悪用される可能性が高まる。
■モデルは共産主義国家
事実、マイナンバーと類似した制度「社会保障番号」を1936年から導入しているアメリカでは、様々な問題が起きている。
'15年2月には、保険会社のアンセム社が不正アクセスによって約8000万人分の番号を盗まれる事件が発生。住所、電話番号、勤務先などの個人情報が流出した。
盗んだ社会保障番号を利用した詐欺事件も、多発している。その番号の所有者になりすまして税申告をし、不正に還付金を得るのが、現在の社会保障番号詐欺のトレンドとなっている。
日本政府もマイナンバーの流出を覚悟しているようだ。前出の担当者がこう言う。
「流出を想定しているので、罰則を設けている。なおかつ、管理状況を監視監督できるように、特定個人情報保護委員会という機関をつくって管理することになります」
「マイナンバー先進国」の事例は日本政府も当然調べている。アメリカは反面教師だと語るのは、前出の内閣官房職員。
「実はモデルにしている国があります。それはバルト三国の一つ、エストニアです。'02年に個人番号カードに似たIDカードを発行しています。そして見事に強固なセキュリティを構築し、流出やなりすましを防いでいる。今やエストニアではこのIDを使って、ネット上から投票もできます」
実際、前出の平井議員も5月にエストニアへ視察に訪れ、政府関係者と意見交換している。
だがエストニアは、面積は九州とほぼ一緒で、人口は福岡市より少ないわずか130万人という小国だ。
「加えて、国民性もまったく違います。旧ソ連側で元共産主義国家であるエストニアの人々は、監視されることに慣れている。そんな国をモデルケースにしても、まったく参考にはなりません」(個人情報保護に詳しいジャーナリストの斎藤貴男氏)
いまのところ、マイナンバーによって国民の側がどう便利になるのか、具体的な事例は何一つない。どうやら政府は、そんな宣伝をしなくても、国民は唯々諾々とこの制度を受け入れると、安心しているようだ。
あなたの財産が丸裸にされる日は、もうすぐそこに迫っている。
「週刊現代」2015年7月11日号より
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