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田原総一朗:異質な意見を認めない自民党は国民の信頼を失う
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150703-54495020-collegez-pol
BizCOLLEGE 7月3日(金)15時8分配信
安倍晋三首相に近い自民党議員の「文化芸術懇話会」が6月25日、自民党本部で開かれ、参加した講師や自民党議員たちによる「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」「マスコミを懲らしめるには、広告収入がなくなるのが一番」といった発言に与野党から批判が高まっている。
●報道陣が退出した後、「マスコミを懲らしめる」発言
文化芸術懇話会という勉強会は、保守系の文化人や芸術家を講師に招き、政権への支持を発信することで安倍政権の支持拡大を目指すのが目的だという。当日は会の冒頭だけ報道陣を入れ、すぐに報道陣には退出してもらった。
安倍首相と親しい作家の百田尚樹氏が集団的自衛権について講演を行い、その後の質疑応答の時間に「つぶさなあかん」発言が飛び出した。この間は取材なし、つまり「オフレコ」の状態だった。
発言は次のようなものだ(朝日新聞6月27日付から引用)。
大西英男衆院議員:「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。政治家には言えないことで、安倍晋三首相も言えないことだが、不買運動じゃないが、日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、経団連などに働きかけてほしい」
井上貴博衆院議員:「福岡の青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある。日本全体でやらなきゃいけないことだが、スポンサーにならないことが一番(マスコミは)こたえることがわかった」
■心理的に追い詰められた自民党議員たちの発言
長尾敬衆院議員:「(百田尚樹)先生なら、沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていくために、どのようなアクションを起こすか。左翼勢力に完全に乗っ取られている」
百田尚樹氏:「本当に沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどっかの島でも中国にとられてしまえば目を覚ますはずだ」
これらは記者たちが退出した後の「オフレコ」発言だったのだから、むしろ「本音」とも言えるものだっただろう。これだけ断定的に発言内容が報じられたことを考えると、記者たちは部屋の外で扉などに耳を押し当てて聞いていたと思われる。議員たちはそれを承知で発言したはずだ。
自民党議員たちがこうした発言をした背景には何があるだろうか。いくつかのメディアは、「自民党の傲慢さから出てきた発言だ」と批判する。しかし私は、「心理的に追いつめられた自民党議員たちの発言ではないか」とみている。
6月4日、衆院憲法審査会が開かれ、自民党が推薦した憲法学者の長谷部恭男・早稲田大学法学学術院教授が集団的自衛権の行使は「憲法違反」と述べた。民主党が推薦した小林節・慶應義塾大学名誉教授、維新の党推薦の笹田栄司・早稲田大学政治経済学術院教授も同様に「憲法違反」として批判した。
こうした憲法学者3人、特に自民推薦の憲法学者・長谷部氏による「違憲」発言が潮目を大きく変えるきっかけになった。
■長谷部「違憲発言」により支持者の声が変化
それまでは、国民は安全保障関連法案にそれほど強い関心を抱いていなかったようにも思える。国民の関心はもっぱら経済、景気回復にあった。そして、メディアの世論調査では、安保関連法案について80%以上の人たちが「政府は説明不足」「よくわからない」などと回答していた。
ところが、長谷部「違憲発言」により、国民は「よくはわからないが、安保関連法案は憲法違反で、自民党がやっていることは間違っているようだ」と思うようになった。
おそらく自民党議員たちは地元へ帰り、そうした支持者の声の変化を実感しているはずだ。「あなた方がやっていることは間違っていませんか」「憲法違反ではありませんか」との支持者の批判が強まり、議員たちは次第に心理的に追いつめられ、焦りを感じるようになったことが容易に想像される。
マスメディアにも問題がある。メディアの中には、今の安倍内閣と似たところがあって、自分と違う意見や考え方を認めない傾向があるように思えるのだ。民主主義というものは、自分と違う意見や考えを認めることが基本になければならない。しかし、安倍内閣も一部メディアも、自分たちと違う意見や考え方を認めない傾向が次第に強まっているような気がしてならない。
■自民党の多様性が失われたことが今回の発言につながる
現在の自民党は、かつての姿から大きく変わってしまった。昔にさかのぼり岸信介さんの時代も、そして田中角栄さんや中曽根康弘さんの時代も、自民党内には必ず反主流派・非主流派があった。自民党はいわば「総合デパート」であり、意見や考え方の多様性や柔軟性があった。
ところが、選挙制度が1選挙区につき1人を選出する「小選挙区制」(1996年の衆院選から実施)になると、反主流派・非主流派が排除されるようになる。そして現在で言えば、安倍内閣と異なる意見を認めないという政党に自民党はなってしまったようなのだ。
かつての自民党にあった柔軟な体質が失われてしまったために、今回のような「マスコミを懲らしめる」といった発言が出てきたのではないか。自分たちと考え方が異なる存在を認めないのである。
多様な意見が受け入れられなくなったり、柔軟な姿勢が失われたりするのは危険なことだ。私が心配するのは、こうした事態が進展すると、自民党議員たちは「国民はどうせ俺たちの敵だ」と考えるようにならないかということだ。
もしそうなれば、自民党は安保関連法案を国民にきちんと説明する姿勢や、国会で野党と論議を尽くす姿勢を失うだろう。そして、その先にあるのは「数の論理」による強行採決である。
■「60日ルール」で安保関連法案成立へ突っ走るのか
衆院本会議は6月22日、自民・公明などの賛成多数で会期を9月27日まで95日間延長することを決めた。通常国会の延長幅としては過去最大だ。
この大幅な会期延長で懸念されるのは、安保関連法案が衆院で可決後に参院で議決されなくても、衆院通過から60日後に衆院の3分の2以上の賛成で再可決できる「60日ルール」の適用が視野に入ってくることである。
参院は現在、自民・公明の与党は3分の2議席に届かないため、安保関連法案は参院で否決されてしまう。しかし自民党は、参院でけりをつけようとは思っていない。「60日ルール」で衆院に戻し、そこで再可決しようとの目論見があるのだ。
だが、そうした手段で強行採決を行えば、仮に安保関連法案が成立したとしても、自民党は国民の信頼を大きく失うことになる。来年7月には参院選を控えているが、下手をすると、自民党は負けるかもしれない。
安倍首相は来年の参院選で自公合わせて3分の2の議席を獲得し、憲法改正へ弾みをつけたいのだろうが、その可能性は遠のく。
私がいま恐れるのは、自民党はそうであっても、まずは安保関連法案の成立という道を突っ走るのではないか、ということだ。国民の理解が十分に得られないにもかかわらず、にである。
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