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2015年6月25日 東京新聞 朝刊
「立憲デモクラシーの会」緊急会見で発言する、東大の樋口陽一名誉教授(左から5人目)ら=24日、東京・永田町の衆院第2議員会館で
安全保障関連法案の撤回を政府に強く求める声明を発表した「立憲デモクラシーの会」の二十四日の会見には、共同代表の樋口陽一東京大名誉教授(憲法学)と山口二郎法政大教授(政治学)ら九人が出席した。集団的自衛権の行使を容認することや、外国軍隊の武力行使と自衛隊の活動が一体化するおそれが極めて高いことが「日本国憲法に明確に違反している」と強調し、審議が続く限り問題点の指摘を続けていく考えを明らかにした。
四日の衆院憲法審査会で法案が「違憲」との見解を示した長谷部恭男早稲田大教授と小林節慶応大名誉教授(いずれも憲法学)も出席。小林名誉教授は、西修駒沢大名誉教授ら「合憲」とする憲法学者に「論争としてわれわれが勝っている。学術的に決着させよう」と公開討論を呼び掛けた。
政権側から「憲法学者の言うとおりにしていたら、自衛隊も日米安保条約もなかった」などの批判が繰り返されているのに対し、山口教授は「再軍備を進める政治権力に学者がおかしいと言い、意見のぶつかり合いの中で専守防衛などの平和国家の路線が生まれた」と反論した。
さらに、今年が一九三五年の天皇機関説事件から八十年に当たることに言及。「学問の観点から批判するのは職業上の義務。権力により学問が弾圧されて(四五年の敗戦で)国が滅びるまでわずか十年だった史実を、重く受け止めている」と述べた。
ほかの出席者も法案審議における政権側の対応を口々に非難。長谷部教授は「集団的自衛権行使の違憲性や武力行使の一体化に関し、誠実な回答、対応がされているとはいえない」と政権側の対応を問題視。千葉真・国際基督教大教授(政治学)は「曖昧模糊(もこ)とした答弁を繰り返しており、議論を深める姿勢が見えない。背後には愚民意識があるのではないか」と指摘した。
千葉教授はさらに「アメリカ、イギリス、フランスですら国内に厭戦(えんせん)気分がまん延している現在、安倍政権の『積極的戦争容認主義』はネギを背負ったカモのようなものだ」と話した。
政権が使う「言葉のまやかし」に対する注意喚起も。国文学者の小森陽一東大教授は、他国軍の戦闘に対する自衛隊の支援を「国際平和共同対処事態」と名付けたことを例に「たぶらかしの本質。日本語を使うすべての人が日々国会で冒涜(ぼうとく)されている」と述べた。 (荘加卓嗣)
◆「一つの意見」「違反しない」憲法学者に菅氏反論
菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十四日の記者会見で、憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」が安全保障関連法案の撤回を政府に求めたことについて「そういう人たちの一つのご意見と受け止める」と述べた。
法案が憲法違反との指摘に、政府が誠実に対応していないと憲法学者らが批判していることには「憲法違反ではないと思っている」と反論した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015062502000139.html
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