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日本の司法はおかしい、だから闘い続ける 周防正行監督に裁判の問題点を聞く(東洋経済)
http://www.asyura2.com/15/senkyo187/msg/594.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 6 月 28 日 16:00:05: igsppGRN/E9PQ
 

          日本の刑事司法のあり方に異議を唱えた映画監督の周防正行氏(撮影:大澤 誠)


日本の司法はおかしい、だから闘い続ける 周防正行監督に裁判の問題点を聞く
http://toyokeizai.net/articles/-/74350
2015年06月28日 伊藤 歩 :金融ジャーナリスト 東洋経済


痴漢えん罪事件を描いた映画「それでもボクはやってない」(2007年1月公開)で、日本の刑事司法のあり方に異議を唱えた映画監督の周防正行氏。その周防監督が、法制審議会の委員として活動した3年間の軌跡をつづった「それでもボクは会議で闘う」(岩波書店)を上詳した。発売1カ月で増刷が決まるなど、売れ行きは上々だが、それ以上に、審議会に於ける周防氏の“闘いぶり”に対する専門家の評価は高い。


周防監督が委員となった審議会は、「新時代の刑事司法制度特別部会」という。2009年に厚生労働省社会・支援局障害保険福祉部企画課長だった村木厚子氏が、いわゆる「凛の会事件」で逮捕、起訴され、その課程で大阪地検特捜部による強引な見込み捜査、証拠改ざん、隠ぺいなどが明かになり、検察への信頼を根底から覆した。


その反省から、取り調べ供述調書に過度に依存した捜査・公判のあり方を抜本的に見直し、制度としての取り調べの可視化を含む、新たな刑事司法制度を構築するために、民主党政権下の2011年6月に発足した審議会である。


発足から3年後の2014年7月にこの審議会は答申を取りまとめ、それに基づいて作成された刑事訴訟法の改正案が今国会に提出され、現在審理待ちの状態になっている。


審議会のメンバーは総勢42名。一般有識者も周防氏や村木氏など7名が選ばれたが、警察、法務省関係者が14名、裁判所関係者が4名、内閣法制局から1名、学者11名に弁護士5名という構成だった。


警察と法務省、裁判所だけで18名、学者の大半が権力側の御用学者。従来的な取り調べ手法に肯定的な顔ぶれが全体の6割以上を占め、周防氏にメンバー表を見せられた某法曹関係者が「絶望的なメンバー」と言い切るほど。周防氏にとってはまさに多勢に無勢の状況下での闘いとなった。


■刑事司法のあまりのひどさに愕然


――法制審の委員には、日本弁護士連合会に割り当てられた推薦枠でなられたそうですね。


「それでもボクはやってない」でお世話になった弁護士の方からお話をいただきました。


――「それでもボクはやってない」は、3年半に及ぶ徹底取材を元に制作されたそうですね。刑事裁判を200回以上傍聴され、弁護団会議や勉強会に出席されたり、数百冊もの法律書も読破されたとのことですが、そこまでのめり込んだ理由は何だったのでしょうか。


最初のきっかけは、痴漢事件で逆転無罪の判決が出た、という新聞記事でした。家族や友人が、被告人、弁護士と一緒に闘ってようやく得た無罪。言ってみれば素人が未知の世界で頑張ったというのが第一印象で、従来の私の映画のテーマに近かった。そこで取材を始めてみたところ、刑事司法の現状のあまりのひどさにショックを受けたんです。世の中でえん罪が起きていることは知ってはいましたが、人が人を裁く以上、どこかで人としての限界があって、ぎりぎりのところで生まれてしまう、防ぎきれない事故のようなものだと思っていたんです。でも実際には全然違って、起こるべくして起こっている。



周防正行(すお・まさゆき)
●1956年生まれ。立教大学文学部仏文科卒業。監督作品に『ファンシイダンス』『シコふんじゃった。』『Shall we ダンス?』『それでもボクはやってない』『ダンシング・チャップリン』『終の信託』『舞妓はレディ』など。著書に『それでもボクはやってない──日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!』など。


――取り調べの手法から裁判所の対応に至るまで、実際に刑事被告人になった人たちが、その悲惨な経験を綴った書籍は昔から沢山出ていますし、ベストセラーにもなっているのですが、なかなか国民に浸透しない様です。


そういう本がここまで多数出ていることを知らなかったこともショックでした。取材を進めれば進めるほど、痴漢事件だからひどいのではなく、おおむね刑事裁判というものがひどいから痴漢事件もこうなってしまうということがわかっていきました。


――裁判官と検察官の関係にも驚かれたとか。


注目の事件を弁護士に教えてもらって傍聴に行くでしょ、その時、その法廷の前後の時間帯の事件も傍聴することにしてました。否認事件だけでなく、罪を認めている事件の裁判も知りたかったからです。すると、同一法廷では、ほぼ同じ裁判官と検事のコンビで裁判が行われていることを知りました。つまり、裁判官と検事はずっと同じ法廷に居て、被告人と弁護士だけが入れ替わるわけです。見ているとその合間合間で裁判官が検事に今終わったばかりの公判についてアドバイスしたり、談笑していたりするんですよ。裁判官と検事が公判の合間にあんな風に話していたら、公正さを疑われても仕方がない。実際、検察官に便宜を図っているものではないとしても、誤解を受けるようなことはすべきではない。


――判検交流(研修の一貫で裁判官が検事の業務に、検事が裁判官の業務に就く人事交流)なんてもってのほかですね。


明日から検察官に戻るという人が、今日は裁判官として無罪判決を書くなんてありえないと思うでしょ。いくら、公正に判断していると言われても、公正さを疑われるようなことはすべきではない。さすがに批判に耐えかねたらしく、数年前にひっそりとやめた様ですが。


■「勾留の運用は適正」と言い切った裁判官


――映画公開と同時に出版されたシナリオ本「それでもボクはやってない」(幻冬舎)の後半には、刑事司法では常識とされている手続きについて、木谷明弁護士(多数の無罪判決を書いたことで知られ、劇中の大森裁判官が尊敬する元裁判官)に解説をしてもらう対談ページが付いています。


痴漢事件の場合、まず駅の事務室に連れて行かれ、警察官が来て警察に連れて行かれ、取り調べが始まる。実際には事務室に連れて行かれた時点で民間人によって逮捕されているのに、取り調べが始まって、もうお前は逮捕されているんだと言われるまで本人はそのことを知らない、否認している限り勾留が続くとか、証拠になるものは全て検察官が押さえてしまい、検察官にとって都合の良いものだけ証拠開示し、それ以外のものは被告側に見せない、密室で作られる供述調書は検察官が読み上げて被疑者に聞かせ、被疑者本人がサインしたことをもって適正に作られた調書だとするなど、被疑者に著しく不利な習慣に関する質問項目は合計23項目に及ぶ。

シナリオを書きながら、なぜこんなことがまかり通っているのか、どうにも理解も納得もできないことが多数出てきたんですよ。


――木谷弁護士も感嘆されている様ですが、この質問項目を見る限り、もはや監督もプロの法律家の領域ですね。これだけの見識を持つ人を、予定調和を重んじる法制審がよく委員として認めましたね。


民主党政権下だったということ、そして日弁連に推薦枠を出した以上は事務局としても反対する理由はなかったということでしょう。


――メンバーの6割以上は権力側ですから、一般有識者の主張は押さえ込めると見たのでしょうか。監督と村木さんが入った審議会が出した結論なら権力側としては免罪符になりますね。それにしても警察、検察関係の委員の言動には驚きます。まさに、「10人の真犯人を逃すくらいなら、ひとりくらいえん罪を出しても仕方がない」というスタンスです。


たとえば、供述調書に極端に依存する現状の取り調べ手法がえん罪を生むからこそ、取り調べの可視化が検討されているというのに、録音、録画する箇所は、「取り調べる側の裁量に任せるべき」となっている。否認している限り勾留し続け、自白を強要する人質司法が批判されているというのに、164日間も勾留された村木さんを目の前にしながら、裁判官は「勾留の運用は適正になされている」と言い切っている。

国家権力は「10人の真犯人を逃すとも、ひとりの無辜を罰するなかれ」の格言を無視しています。明らかに、治安を維持するためには、あるいは捜査機関の信頼性を高めるためには、えん罪であっても被告人を処罰した方が良いんだと考えているとしか思えません。


――多くの国民に、真犯人は必ず処罰される、という強い期待があるからそうなるのではないでしょうか。以前、やはり多くの無罪判決を書いたことで知られる元裁判官の原田國男弁護士にお話を伺った際、無罪判決を出していちばん怒るのは国民だとおっしゃっていました。


そうかもしれないですね。無罪なら「真犯人は誰なんだ」と怒るでしょう。おそらく多くの人は、「何も悪いことをしていない人が、警察に捕まるわけがない」と思っています。自分は何も悪いことをしていない。そんな自分がえん罪に巻き込まれるわけがない。万が一無実の罪で捕まっても、裁判は公正に行われていると思っているから、無罪になると信じている。でも現実は違います。痴漢事件がいい例です。えん罪は私たちが思っている以上に多いと思います。


■結果はほぼ敗北と言われても仕方がない面がある


――審議会の検討テーマは9項目でしたが、今回の著書では特に中核となる3つのテーマに関する議論に絞って、議論の推移を詳細に語っておられます。


結果はほぼ敗北だと言われても仕方がない面があると思っています。取り調べの可視化は全事件、全課程の録音・録画を目指しましたが、裁判員裁判対象事件と検察独自捜査案件のみになりましたし、証拠の開示は全事件での事前全面一括開示を目指しましたが、公判前整理手続き対象の事件に限り証拠のリスト開示が認められただけで、捜査関係者が被疑者のアリバイ捜査で、現場で聞き込みをして得られた捜査報告書も対象外。そもそも再審事件も対象外です。あまりにも安易に勾留が行われているので、その現状を打開するための規定設置も目指しましたが、安易な勾留など行われていないという捜査関係者と裁判所の主張を事務局が汲んだ結果、裁量保釈(起訴後の保釈)の判断に当たっての考慮事情を明記するだけになりました。


――ただ、起訴前の被疑者の段階から国選弁護人を付けられる規定は、従来は懲役刑と禁固刑の対象事件だけでしたが、全ての事件に拡大されました。


それは日弁連の今までの努力の成果です。ただし全事件と言っても身柄拘束される事件が対象ですので、さらに実績を重ねて、全ての事件で弁護人が付くようにしてほしいです。


――米国の刑事ドラマを見ていると、必ず弁護士が取り調べに同席していますよね。


日本の捜査当局の人に取り調べへの弁護士同席なんて話をしたら、何をバカなことを言ってるんだという顔をされます。そんなことをしたら真実を話さなくなる。密室で被疑者と取調官が信頼関係を築き、お互いが心を開いて話すことで、真相が明らかになる、治安の良い日本がわざわざ治安の悪い国の取り調べ制度を見習う理由などない、という論法です。でも、「終の信託」(2012年公開、患者から重篤になった場合の対応について意向を伝えられていた医師が、その意向通りに取った対応で刑事訴追を受ける)がオーストラリアで上映された時、質疑応答で最初に受けた質問が「なぜ取り調べに弁護士が同席していないのか」でした。捜査機関の言い分を説明しましたが、理解されませんでした。


――とりまとめられた答申案に、イスを蹴飛ばして反対するという選択肢はなかったのでしょうか。


この審議会は全会一致が原則でした。僕らが反対したら審議会は答申を取りまとめられないまま解散になり、何ひとつ現状と変わらないということになった可能性もあります。少なくとも、今回の案でほんのわずかでも制度は変わる。そのほんのわずかの積み重ねで、数十年後には大きく変わっているかもしれない。その可能性に賭けて妥協しました。


――ハードルは高いですね。


そもそも民主党が議員立法でさっさと手当てしていれば良かったのに、と思ったりもしました。


――行政立法にしようとしたから審議会でもむ、という話になり、抵抗勢力による巻き返しが可能になったということですね。


■これからもこのテーマを追っていく


――被害者の救済についても一言おありだそうですね。


犯罪被害者やその家族は、事件そのもの以外でも様々な被害を受けます。マスコミの取材攻勢や心ない人からの中傷、そして一家の働き手が亡くなったり働けなくなったりすることによる経済的なダメージです。その被害者を、警察や検察はある意味、自分たちの立場を守るために利用している面もあると思います。警察や検察は「被害者のため」と称して、自分たちの捜査を正当化しようとします。被害者参加制度もでき、裁判で意見を述べられるようになりましたが、経済的な支援を含め、刑事司法の枠組みとはまた別の枠組みで、被害者やその関係者に寄り添う制度が必要だと思います。


――たとえばどんな仕組みが考えられるのでしょうか。


被疑者国選弁護人制度は当初、弁護士会の当番弁護士制度から始まりました。かつては起訴されて正式に「被告人」になってからでなければ国選弁護人を付けられなかったので、「被疑者」の段階から弁護人を付けられる様、九州の弁護士会が弁護士会の負担で被疑者の弁護を始めたものが、全弁護士会に広がり、ついには法制化されました。「被害者」に寄り添う被害者国選という制度があって良いと思うし、その布石としての制度作りを弁護士会に期待しています。


――弁護士会でも被害者に寄り添う制度は始めている様ですが、認知度はまだまだの様です。警察が被害者に弁護士会にそういう制度があるということを、ルーティンで告知するようになる必要がありますね。監督はこのテーマでの映画制作を今後も考えておられますか。


審議会の結論は不本意なものでしたが、少しずつでも変えていかなければなりません。そのためにも、現時点で具体的な計画があるわけではありませんが、これからもこのテーマは追っていきます。



 

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コメント
 
1. 2015年6月28日 16:20:14 : YxpFguEt7k
瀬木比呂志氏
「日本の刑事司法の現状を改善するには、取り調べの全面可視化、取り調べに対する弁護人の立会権の保障、代用監獄の廃止、勾留の必要性についての厳格な審査、証拠開示の更なる充実、無罪判決に対する検察の上訴権の廃止等が必要である。…長期的には法曹一元制度(『ニッポンの裁判』105Pより)」

これだと思いますねぇ… そして私が付け加えるなら、死刑廃止です。

(1)取り調べの全面可視化
(2)弁護士の立会権の保障
(3)代用監獄の廃止
(4)勾留の必要性についての厳格な審査
(5)証拠開示の更なる充実
(6)無罪判決に対する検察の上訴権の廃止
(7)死刑廃止
(8)(長期的には)法曹一元制度

この8つを行ないましょう。


2. 北の吟遊詩人 2015年6月28日 17:11:29 : 3lfvZQ5gr4BHg : 5MgUhmhB9k
>そもそも民主党が議員立法でさっさと手当てしていれば良かったのに、と思ったりもしました。


――行政立法にしようとしたから審議会でもむ、という話になり、抵抗勢力による巻き返しが可能になったということですね。


それでこんなにも時間がかかり、かつ内容が後退したんですね。
惜しかったです。

もし周防さんが入ってなければこれすらもなかったということ?
恐ろしい司法界の実体・・
国民にとって司法界はある意味専門的な別世界ですから
いままでは無意識に信奉していました(大多数の国民は今も)


3. 2015年6月28日 18:55:57 : GlucjfjhOk
政治、検察、司法の最上部で田布施システムと呼ばれる日本の癌が昔から日本を腐らせてきている。

その歴史をさかのぼれば、幕末より続く海外武器商人勢力による日本支配の謀略の流れをくんでいると言う。

国民の多くがこの日本の癌部に気がづいて、恥部でしかないこの癌を取り除こうと立ち上がることが必要だ。

このために最高裁判所に替わって、主権者国民による憲法監視の最高機関を作り上げることが大切であると提案したい。


4. 2015年6月28日 20:39:33 : wbXVLcgmRM
いや、すでに日本は「一人の真犯人を逃さないためには、10人の無辜が罰せられてもやむをえない。」という事になっているように思えます。


5. 2015年6月28日 23:38:37 : hg7Iu9ncco
司法(裁判所)が犯した冤罪の代表例は「砂川裁判の最高裁判決」
田中耕太郎最高裁長官がマッカーサーアメリカ大使と密談し、裁判日程、判決の方向、全員一致の判決、等を密約した。

検察(特艘検察)が犯した冤罪起訴の代表例は「小沢一郎陸山会事件の不当起訴」
東京特捜部の田代、斉藤、木村3検事が「虚偽の捜査報告書」を作成し、東京第5検察審査会に資料として提出し、「強制起訴」の決定を誘導した。
この強制起訴裁判は最高裁が「無罪判決」をくだし、集結したが、最高裁判決の中で、検察の行った不当な「虚偽有印公文書作成及び行使」はあってはならぬ事とし、検察において改善処置すべき事と述べた。
これに対し検察庁は当該検事の処分として「減給処分」にしただけだった。



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