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購読の訪問勧誘をめぐり(C)日刊ゲンダイ
社長が失笑され…読売新聞が消費者庁に「抗議書」送付の波紋
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161180
2015年6月27日 日刊ゲンダイ
消費者庁に読売新聞から“前代未聞”の「抗議書」が届き、大騒ぎになっている。
抗議は、消費者委員会の議事運営に対するもの。差出人は読売新聞グループ本社の永原伸社長室長で、山口俊一担当大臣、板東久美子消費者庁長官、河上正二消費者委員会委員長の3者に同じ文面が内容証明郵便で届いたという。本紙はその写しを入手した。
それによると、今月10日の特定商取引法専門調査会に、日本新聞協会の理事として読売新聞東京本社の山口寿一社長(58)がヒアリングに招かれた。その際、山口社長の発言中に座長代理など複数の委員が声をあげて笑い座長も制止せず、同調するかのような対応をしたことを問題にしている。
消費者庁関係者がこう言う。
「調査会では現在、“訪問販売”の規制強化の議論が行われています。すでに『一度断られたら再勧誘してはいけない』という規制がありますが、新たに『訪問販売お断りのステッカー表示の家への勧誘は禁止』などの規制を設けることが検討されている。関連業界は反対していて、“宅配勧誘”の新聞業界も反対しています。それで山口社長がヒアリングに出席していたのです」
抗議文では〈(委員は)体を机に突っ伏して笑い声をあげた〉〈山口は「笑わないでください」と述べて発言を中断せざるを得なかった〉などと状況を説明。〈特に座長と座長代理の適格性に疑念〉と実名入りで抗議し、大臣らに〈公式な見解を書面で回答するよう求め、謝罪を要求する〉としている。
「笑った側にも理由があって、例えば山口さんは『断られたけれども、やはり(新聞を)取っていただくということも現実には多々あるんですね』と発言した。新聞業界は法律違反の『再勧誘』を行っていると思われるような発言です。実際、消費生活センターなどへの苦情は、新聞勧誘に関するものが毎年1万件前後もあり、いつも1位です(2010〜12年度と14年度の4年間、13年度は2位)。そうしたことを知る委員は、山口さんの発言に失笑してしまったのでしょう」(前出の消費者庁関係者)
安倍政権に近く、影響力の大きい大新聞がこうした抗議書を送れば、消費者委員会の委員が萎縮し、公正な議論が阻害されかねない。
そのうえ読売は、消費者庁へ抗議書を送ったことを、なぜか菅官房長官にも手紙で伝えている。まさか官邸からの“圧力”で調査会が腰砕けになり、訪問販売の規制強化の断念を期待しているわけでもあるまい。
読売新聞グループ本社広報部は次のようにコメントした(要旨)。
「調査会では委員らは都合6回笑っています。このような委員に任せていたままでは、ご質問にあるように『今後の公正な議論に支障をきたす』ことになるのではないかとの認識です。官房長官への文書には『消費者委員会、消費者行政の公正性に今後、疑義をもたれることのないよう適切な対応をお願い申し上げます』と記しました」
抗議を受けた消費者庁側だが、24日に開かれた調査会に消費者委員会の河上委員長が出席し、「この件については、私が責任を持って対応させていただく」と発言した。
ちなみに、読売の山口社長は社会部記者出身で社長室長などを歴任し、ナベツネの“懐刀”といわれる。今月9日付で専務から社長に昇格したばかりだ。昨年、〈山口専務が謎の女性に入れ揚げ会社を私物化〉という見出しで週刊誌ネタになった。
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