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安倍政権の国会運営に赤信号が点滅し始めた、維新工作だけでは 安保法制議案の強行採決は不可能になってきた
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2015.06.27 リベラル21
〜関西から(168)〜
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
6月22日、自公両党が安保法案を成立させるため、国会会期を戦後最長の95日間延長することを衆院本会議で可決して以来、国民世論が沸騰している。「皆様のNHK」ならぬ「安倍様のNHK」は事態の推移をなかなか正確に報道しないが、6月24日の国会包囲行動は「凄かった」と行動に参加した東京の友人が興奮して知らせてきた。戦争を知っている世代なので、年甲斐もなく飛び入りしたというのだ(これまでも度々している)。
彼が言うには、最近の集会やデモはこれまでとはまったく様相を異にしているらしい。参加者の数が増えただけではなく、参加者が若者、女性などに広がり、しかも雰囲気が一変しているのだそうだ。各自が三々五々集まり、手書きの「改憲反対」のプラカードを掲げて和やかに歩いていた頃に比べて、ここ2、3日の集会やデモは怒りに包まれ、人びとの表情や感情の変化が手に取るように分かるという。どんな質問であろうと同じ答弁を繰り返す安倍首相の「念仏」答弁、安保法案をこともあろうことか「フグの肝」に喩えた内閣法制局長官の「ふざけ」答弁など、国民を愚弄した国会審議に堪忍袋の緒が切れたのだろう。
そういえば6月21日の日曜日、京都で開かれた関西の大学生たちが組織した「自由と民主主義のための関西学生緊急行動」(シールズ関西)にも眼を見張った。当日たまたま本屋に行っていた私は、京都市内中心部(四条河原町など)を2時間にわたって展開された学生ら(高校生らしい若者もいた)の見事なデモに圧倒された。デモの先導車から流れる音楽に合わせて「憲法守れ」「民主主義って何だ」などとラップ調のコールが繰り返され、「FIGHT FOR LIBERTY」(自由を求める戦い)、「NO WAR」(WAR=戦争)などのプラカードが周囲の市民の目を奪った。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じて集まった2千人を超える関西の学生たちが安保法案に「ノー」の声を上げたのである。
今から半世紀余り前の60年安保闘争のとき、学生だった私たち世代は体育会系を含めてほとんど全てが「安保反対」「岸を倒せ」のデモに参加していた。教室もグランドも空にしての連日の抗議デモだった。でも最近は、久しくこのような学生デモを見ていない。環境運動の流れを汲む反原発デモは3・11以降随分見られるようになったが、安保法案のような政治課題に対して真っ向から立ち向かう学生デモはもはや死んだものだと思っていたのである。ところがどうしてどうして、こんな学生たちの姿を目の当たりにすると今更ながら自分の不明を恥じるしかない。ごく普通の学生が「安保法案反対」の行動に立ち上がったところに、今回の国会審議はまったく新たな局面を迎えたといって間違いないだろう。
安保法案に関する国会審議の流れを振り返って見ると、6月4日の衆院憲法審査会の参考人質疑で3人の憲法学者が挙って安保法案を「違憲」と指摘したことが局面(潮目)変化の第1段階だった。引き続く6月22日、衆院安保法制特別委員会において歴代内閣法制局長官2人が「違憲」と指摘したことが第2段階だった。政府で憲法解釈の実務を担った元法制局長官が2人とも国会で政府提出法案に真っ向から異を唱えるのは異例中の異例のことだ。安保法案の審議を進めるうえで理論的にも実務的にも進退窮まった安倍政権がさらに同日、自公与党が戦後最長の国会延長を強行したことが第3段階の局面を明けた。
安倍首相が「国際情勢に眼をつぶってその責任を放棄し、従来の解釈に固執するというのはまさに政治家としての責任の放棄だ」(6月18日衆院予算員会)と叫んだことが国民の危機感に火を着け、国会審議だけでは安保法案を阻止できないことを悟った国民各階層が60年安保闘争の時のような街頭行動に立ち上がったのである。もはや国会内の裏取引たとえば維新を巻き込んで安保法案の強行採決を図ることは不可能になったと言ってよい。
このことは最近行われた各社の世論調査でも次々と明らかになってきている。6月12〜14日に実施された日本テレビの定例世論調査では、安倍内閣の支持率は41%と前回5月調査から2%低下し、不支持率は2%上って39%となって支持・不支持がほぼ拮抗状態に近づいた。回答者の52%が安保法案は「憲法違反」だと考え、63%が集団的自衛権の行使には「反対」、64%が今国会での法案成立に「反対」であり、79%がこの法案についての内閣の説明が「不十分」だと感じている。支持率41%は第2次安倍内閣の発足以来の最低水準であり、安倍内閣が支持・不支持の分水嶺に差し掛かったことを示している。
共同通信社が6月20、21両日に実施した世論調査でも、安保法案が「憲法に違反していると思う」との回答は57%、「違反しているとは思わない」は29%でその割合は2:1となった。安保法案に「反対」は59%で前回5月調査から11ポイント上昇し、「賛成」は28%でこれも2:1の大差がついた。また安倍内閣の支持率は47%で5月の前回調査から2・5ポイント減り、不支持率は43%に増えた。
6月20、21両日に行われた朝日新聞世論調査では、この傾向がより一層鮮明に出ている。それによると、安倍内閣支持率は39%で前回5月調査の45%から6ポイントも下落し、不支持率は37%で前回32%から5ポイント上昇した。とりわけ注目されるのは、今回、女性の内閣支持率の落ち込みが大きく、前回の42%から34%に8ポイント減少する一方、不支持率は前回31%から37%に増えて支持・不支持が逆転したことだろう。女性の支持率逆転は昨年11月29、30日調査以来、全体支持率の40%割れは昨年11月22、23日の調査以来であり、第2次安倍内閣発足以降最低に並んだ。
最近の安倍内閣の支持率低下の特徴は、(アベノミクスへの賛否如何にかかわらず)安倍政権が推進する安保法案に対する国民の評価(賛否)と直結していることだ。安保法案への賛否は「賛成」29%に対して「反対」は53%と過半数を占め、憲法学者3人が衆院憲法審査会で「憲法違反だ」とした主張に関しては「支持する」が50%に達し、「憲法違反ではない」と反論する安倍政権の主張を「支持する」人は17%にとどまった。実に憲法学者への支持は安倍首相の3倍に達している。これは首相の国民への説明が「丁寧ではない」69%、「丁寧だ」12%という数字にもあらわれており、安倍首相への信頼感が大きく揺らいでいることを物語るものだ。また安保法案をいまの国会で成立させる必要があるかについては「必要はない」が65%を占め、前回調査の60%から増えた。逆に「必要がある」は23%から17%に減った。
ロイター、ブルームバーグ、フィナンシャル・タイムズ紙といった主要海外メディアもこの間、安倍内閣の支持率低下に注目した記事を相次いで発表している。安倍内閣は「アベノミクス」によるデフレ脱却や景気回復策などへの期待感もあり、それまでの内閣に比べれば安定した支持率を保ってきたが、ここに来て高い支持率が安倍首相の強いリーダーシップ(強硬姿勢)を支えるという図式が危うくなってきたというのである。
目下、安倍政権の関心はもっぱら維新の取り込みにあるかのような印象を受ける。自公両党での強行採決も不可能ではないが、維新さえ取り込めばたとえ維新が法案に賛成しなくても安保法案の成立は可能だとの見通しである。だが、これは国会内の議席数すなわち「数の驕り」にもとづく政権運営であって、国民世論のありかを見失った政権の末路を示す何物でもないだろう。
国会延長期間のこの3ヶ月の間に、国民世論にどれほど大きな変化があらわれるかはまったく予断を許さない。5月以前から続いている首相官邸前での絶えることのない抗議行動、6月20日、21日、そして24日に全国で展開された予想以上の大規模な市民、学生、若者、女性たちによる「憲法守れ」の街頭行動は何かしら60年安保闘争を思わせるような空気が満ち満ちてきている。安倍首相は尊敬する祖父の後追いをするのか、それとも歴史の教訓に学んで安保法案を撤回するのか、その歴史的瞬間は刻々と迫っている。
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