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2015年6月26日
百田尚樹という人物がいる。
安倍晋三首相に近い自民党の若手国会議員ら約40人が、自民党本部で憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」を開き、百田尚樹という人物を講師として招いた。
百田尚樹という人物は「2012年安倍首相総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人に名を連ねている。
百田という人物は雑誌「WiLL」2012年10月号、2013 年10月号で対談しており、2013年10月号では、安倍首相が
「以前から私も百田さんの小説の愛読者でしたから、百田さんのような方に『もう一度、自民党総裁選に出馬して総理を目指してもらいたい』とおっしゃっていただいたことは、本当に勇気づけられました」
と述べている。
安倍政権は2013年10月25日に、国会同意人事であるNHK経営委員の候補として百田尚樹という人物をリストアップした。
いわゆるNHK私物化人事であり、この私物人事を通じて、NHK会長人事を私物化し、籾井勝人という人物をNHK会長に起用したのである。
百田尚樹氏は『海賊とよばれた男』という著書で2013年の本屋大賞を受賞しているが、安倍政権の誕生と同時期であり、本屋大賞選考の裏側を精査する必要があると考えられる。
いずれにせよ、安倍晋三氏に取り入っている人物というのが、一般的な人物評になることは確かである。
この百田尚樹という人物は、NHK経営委員という立場にあるなかで、2014年の都知事選で田母神俊雄氏の応援演説を行い、
「南京大虐殺は、1938年に蒋介石が「日本軍は南京大虐殺をした」とやたら宣伝した。でもその時に世界の国は無視した。
何故か。そんなことは無かったからです」
「国際的にも問題にならなかった。ところが、そうやって十年間何も問題にならなかったのが、戦後極東軍事裁判で、初めて突然亡霊のごとく南京大虐殺が出てきた。何で出てきたかというと、つまりアメリカ軍は自分たちの罪を相殺するためなんです。東京大空襲、広島長崎の原爆も、アメリカ軍が悪いんじゃない。お前たちが悪いからこうなったんだと。アメリカ軍が代わりに持ってきたのが南京大虐殺なんです」
「今回の都知事選、都知事になるには、田母神さんしかいません。それ以外の候補、まあ10人以上は泡沫ですが、何人かの重要な候補と言われている人間ですが、私から見れば人間のクズみたいなもんです」
と述べた。
NHK経営委員である立場をもつなかでの発言として厳しい批判を浴びた。
百田尚樹という人物は6月25日の自民党議員の勉強会で、米軍普天間飛行場の成り立ちについて
「もともと田んぼの中にあり、周りは何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何十年もかかって基地の周りに住みだした」
と述べ、基地の近隣住民がカネ目当てで移り住んできたとの認識を示した、と報じられている。
沖縄タイムスによると、
「現在の普天間飛行場内に戦前、役場や小学校のほか、五つの集落が存在していた。沖縄戦で住民は土地を強制的に接収され、人口増加に伴い、基地の周辺に住まざるを得なくなった経緯がある」
とのことである。基地近隣にカネ目当てで移り住んだかのような言い回しは極めて不適切である。
また、
「普天間飛行場の周辺住民約2千人が、米軍機の騒音で精神的苦痛を受けたと訴え、那覇地裁沖縄支部が約7億5400万円の支払いを命じた判決に触れ、「うるさいのは分かるが、そこを選んで住んだのは誰だと言いたい」と、自己責任だとの見解を示したという」
(沖縄タイムス)
さらに、沖縄タイムスは、
「「基地の地主は大金持ち。基地が出て行くとお金がなくなるから困る。沖縄は本当に被害者なのか」とも述べた。
議員から沖縄の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、百田氏は「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した。
出席議員からは、安保法案を批判する報道に関し「マスコミをこらしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働きかけてほしい」との声が上がったほか、「沖縄は戦後、予算漬けだ。地元紙の牙城でゆがんだ世論をどう正すか」などの批判もあった。
勉強会は自民党の木原稔青年局長が代表で、首相側近の加藤勝信官房副長官や、萩生田光一・党総裁特別補佐も参加した。」
と伝えている。
百田尚樹という人物は、亡くなられたやしきたかじん氏の最晩年を、たかじん氏の自筆メモや、看病に人生を捧げたと主張する未亡人の証言、看護日記などに基づいて
「かつてない純愛ノンフィクション」
として
『殉愛』
というタイトルのノンフィクション小説として出版しているが、この著書の内容についても、多くの疑問が指摘されている。
安倍首相は百田尚樹という人物をNHK経営委員に起用し、また、安倍氏が総裁を務める自民党の議員が主宰する勉強会がこの人物を講師として招き、言論弾圧を主張する発言を示したことに対する最終責任を負うはずである。
勉強会には安倍首相側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一自民党党総裁特別補佐も参加していたが、百田氏の発言に反論することもなかったと伝えられている。
日本政治の劣化、凋落を象徴する出来事である。
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