9. 2015年6月23日 19:13:33
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外国特派員協会 志位委員長の講演 ・https://www.youtube.com/watch?v=8zv2SJACNcg&feature=youtu.be 〖全文〗「政権を担ったとしても、直ちに自衛隊の解消は行わない」〜日本共産党・志位委員長が会見 1/2 写真一覧 23日、日本共産党の志位和夫委員長が会見を行い、安倍政権が成立を目指す安全保障法制関連法案について改めて反対を訴えた。質疑応答では、憲法9条と自衛隊についての認識など、安全保障政策に関する日本共産党の基本的な立場についての質問が出され、志位委員長は「私たちが政権を担ったとしても、自衛隊との共存の関係が一定程度、一定期間、続くことになります。国民みんなが"自衛隊は無くても安全は大丈夫だ"という圧倒的多数の合意が熟したところで、9条の全面実施の手続きを行う」との認識を示した。 志位氏の冒頭発言 今、安倍政権が平和安全法制の名で、11本の法案を国会に提起しています。私たちは、憲法9条を全面的に破壊する戦争法案がその正体だと追及してきました。 今日は「世界から見た戦争法案の異常と危険」と題しまして、冒頭スピーチをさせていただきます。 戦後、日本の自衛隊は半世紀にわたって、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してきませんでした。ここには憲法9条の偉大な力が働いています。そして、そのことで政府が戦後一貫して海外での武力行使は許されないという憲法解釈を取ってきたことも重要な要因として働いています。戦争法案は、この国のあり方を根底から覆すものです。それは、海外で戦争する国づくり、殺し殺される国づくりを進めようというものに他なりません。 私は安倍首相との国会での論戦で、憲法に違反する3つの大問題について追及してきました。 第一は、米国が世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に乗り出した際に、自衛隊がこれまで戦闘地域とされてきた地域にまで行って、弾薬の補給、武器の輸送などのいわゆる「後方支援」、兵站を行うことになるということです。戦闘地域での兵站は、相手方から攻撃目標とされ、武力行使に道を開くことになります。 第二に、PKO法の改訂が大変曲者だと考えております。PKOとは関係のない活動への新たな仕掛けが盛り込まれております。形式上は停戦合意が続いているが、なお戦乱が続いているようなところに自衛隊を派兵し、治安維持活動をさせる枠組みが新たに持ち込まれようとしています。 安倍首相は私の質問に対して、アフガンに展開し、3,500人もの戦死者を出しているISAF=国際支援部隊編のような活動への参加を否定しませんでした。戦乱の続いている地域での活動も、容易に武力行使に変化します。 第三は、日本がどこからも攻撃されていなくても集団的自衛権を発動し、米国の戦争に自衛隊が参戦し、海外での武力行使に乗り出すということです。我々はこれは一内閣の専断で従来の憲法解釈を180度転換する立憲主義の破壊であり、憲法9条の破壊であると厳しく批判してきました。 以上述べた点から、この法案の違憲性は明らかだと確信しております。 その上で、今日は世界から見ると、今、日本で起こっていることがどれほど以上で危険か、お話をさせていただきたいと思います。 世界から見ますと、戦争法案とその推進勢力には、3つの異常と危険があります。 第一は"非国際性"です。すなわち、地球の裏側まで自衛隊の派兵を目論みながら、世界に通用しない理屈でそれを合理化しようとしています。 例えば戦闘地域での兵站についてであります。戦闘部隊に対する補給・輸送などの兵站が武力の行使と一体不可分であり、戦争行為の不可欠な一部であることは世界の常識であり軍事の常識であります。しかし、それを正面から認めてしまいますと、その途端に憲法違反になってしまいます。そこで日本政府はそれを誤魔化すために、世界のどこにも通用しない概念、議論を使っています。 端的にお話をさせていただきます。 日本政府が使っている言葉で、英語に翻訳できない、概念がない言葉が3つあります。翻訳できない言葉を同時通訳の高松(珠子)さんに訳してもらうのは申し訳ないです(笑)。でも高松さんは上手にやってくれると思います(笑)。 一つは、「後方支援」という言葉です。これは日本政府だけの造語です。ご承知のように、英語では「logistics」=「兵站」となります。しかし決して「兵站」という言葉を使おうとしません。「兵站」には前方・後方という概念を含んでおりません。日本の自衛隊が行うのは、あくまで「後方支援」で、後ろの方でやっていて、前には行かないという誤魔化しです。 二つ目の言葉は、「武器の使用」という概念です。「武器の使用はするが、武力の行使には当たらない」、ということを繰り返します。安倍首相は、戦闘地域で自衛隊を兵站を行う際に攻撃されたら武器の使用をする、これは認めました。しかし、武力の行使ではないと、頑なに言い募るんです。 そこで私は外務省に「武器の使用」という概念が国際法上あるんですかと尋ねました。外務省から返ってきた答えは、「国際法上は、武器の使用という概念そのものがございません」というものでした。「武器の使用はするが、武力の行使はしない」というのは、世界のどこにも通用しない概念です。 三つ目は、「武力行使との一体化」ということです。政府は、「武力行使と一体でない後方支援は武力の行使にあたらない」と言っております。 私は先日の党首討論で、安倍首相に聞きました。「国際法上、武力の行使との一体化という概念そのものがあるんですか」と。首相は、「一体化という概念そのものがございません」という風に答弁しました。 ちなみに昨年7月の日本政府の集団的自衛権の行使容認の閣議決定の英訳、これは仮訳ですが、「武力行使との一体化」をどう翻訳しているのか、政府の公式文書で見てみましたら、"ittaika with the use of force"とローマ字を充てておりました。「一体化」という概念を訳すことは誰にもできません。 世界で通用しないという点では、集団的自衛権の行使についての政府見解も同じです。政府は、集団的自衛権の発動の要件として「密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされること」を挙げています。そして、政府はこうした変更を行った唯一最大の理由として、国際情勢における根本的変容が起こったからだと説明しています。 それで私達は国会で聞きました。「国際情勢の根本的変容というがそうした変容のもとで、他国による武力攻撃によって存立危機事態に陥った国が世界に一つでもありますか?」と。外務大臣が答弁しまして、「実例を挙げるのは困難だ」と答えました。 一つも事例を上げられない。すなわち憲法解釈を変更した根拠が根底から崩れた、というのがこの間の論戦です。憲法9条のもとでは、もともと自衛隊の海外の派兵というのは不可能なんです。それを取り繕おうとするから、世界のどこにもない架空の概念を作り出すという矛盾に陥っています。自衛隊の世界的規模での派兵を企てながら、世界のどこにも通用しない詭弁で合理化することは許されることではありません。 私は心配になります。地球の裏側で、米軍と自衛隊が共同行動しているそのときに、自衛隊が「こうした後方支援は武力行使と一体化するので出来ない」と米軍に言ったとします。しかし米軍の方は、「一体化」という英訳そのものがないんですから、理解ができません。 第二の"世界から見た異常"として、"対米従属性"ということを挙げたいと思います。 すなわち、この法案を推進している勢力が、異常なアメリカ追随を特徴としているということです。政府は集団的自衛権の発動要件として、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した」場合を挙げています。 私はこの場合、その他国への武力攻撃がいかにして発生したか、ここから考えなければならないと思います。すなわち、その他国が先制攻撃を行って、そういう状態が生まれた場合、その他国は侵略国となります。それとも、その他国への武力攻撃から戦争が開始されたのか。この場合、その他国は犠牲国になります。 私たちはここに追及す大問題があると考えて、国会で質疑を行ってきました。私は首相に聞きました。「米国が先制攻撃の戦争を行った場合でも、集団的自衛権を発動するんですか」と。首相は、「違法な武力行使をした国を日本が自衛権を発動して支援することはない」と答弁しました。 しかし問題は、日本政府が、米国の違法な武力行使を違法と批判できるのかにあります。米国はベトナム戦争、イラク戦争を始め、これまで数多くの先制攻撃の戦争を実行してきました。しかし、日本政府は戦後ただの一度も米国の武力行使に反対したことはないんです。このような国は、主要国の中で他に例を見ないと思います。 例えば1983年のグレナダ侵略、グレナダの侵略に対しては、日本以外のほとんどの同盟国は反対しました。国連総会でも非難決議が上がりました。しかし日本政府は理解の意思表示をしました。 私は、このような異常なアメリカ追随の国というのは、他に例をみないと思います。このような政府が、そしてそういう行動に反省の無い政府が、「違法な武力行使を支援することはない」と言って、誰が信用できるでしょうか。異常なアメリカ言いなりの国が集団的自衛権を行使する事態は、極めて深刻だと言わなければなりません。 最後に、第三の問題です。"歴史逆行性と"いうことを挙げたいと思います。すなわち、過去の日本の戦争を「間違った戦争」だと言えない安倍政権が戦争法案を推進する危険ということです。 今年は戦後70年です。この節目の年に、日本が過去の戦争にどういう基本姿勢を取るかは極めて重大な問題です。 写真拡大 5月20日の党首討論で、私は安倍首相に対して1945年8月に受諾したポツダム宣言を引用して、過去の日本の戦争は間違った戦争だったという認識はあるかと質しました。安倍首相は頑なに、間違った戦争と認めることを拒み続けました。加えて、この党首討論の中で安倍首相が「ポツダム宣言をまだ詳らかに読んでいない」と答弁したことが内外に衝撃を与えました。党首討論の後で安倍政権は、この問題については答弁書を閣議決定しました。そこにはこう書かれていました。「首相は、当然ポツダム宣言を読んでいる」と。読んでいると言うんだったら、あの時の答弁は何だったんだということになります。 戦後の国際秩序は、"日本とドイツとイタリアが行った戦争は侵略戦争だった"という判定の上になり立っています。ところが安倍首相は、"侵略戦争"はおろかか、"間違った戦争"とも認めようとしません。過去の戦争への反省のない勢力が憲法9条を壊して、海外で戦争する国への道を暴走するというのは、これほどアジアと世界にとって危険なことはないと言わなければなりません。 以上、三つの角度から、"国際的な異常性と危険性"についてお話させていただきました。 昨日、与党は国会の会期を史上最長の95日間延長することを強行いたしました。しかし私は、この帰趨がどうなるかを握っているのは、国民の世論だと考えています。国民の、文字通りの圧倒的多数がこれに反対の意思表示をした場合には、いかに与党が国会で多数を持っていたとしても、強行することはできません。私たちは、国会の論戦と国民運動の両面で、そうした確固たる国民的な多数派を作るために力を尽くしたいと考えております。 ありがとうございました。 ・http://blogos.com/article/118384/ 〖全文〗「政権を担ったとしても、直ちに自衛隊の解消は行わない」〜日本共産党・志位委員長が会見 2/2
写真一覧 質疑応答 ー自衛隊は一人の外国人も殺していない、海外派遣から戻ってきてから自殺した自衛官がいると聞いている。なぜだと思うか。 また、長年政治家として活躍しておられるが、政権のトップに立ちたいと思っていると思う。もし来年首相になったとしたら、どの国を最初に訪問するか。また、領土問題をどのように解決するのか。 まず、自衛隊の自殺者の問題については、私も国会の質疑で取り上げました。アフガニスタンとイラクに派遣された自衛官のうち、帰国後56人が自ら命を絶っているということが政府から明らかにされました。この因果関係は政府の側からは明らかにされていません。 ただ、NHKでは、部隊の1割から3割の心の病を患っているという内部文書のデータが報じられました。戦地での緊張、あるいは恐怖で、睡眠障害などの様々な形での心の病を患っている自衛官が多数いるわけです。非常にこれは深刻な問題だと私は考えています。 アメリカの場合は、アフガニスタン、イラクからの帰還兵の自殺が一大社会問題になっているという風に承知しています。1日平均22人の帰還米兵が自殺し、年間8,000人もの自殺者がいると報じられています。戦場で殺されることへの恐怖とともに、無辜の市民を殺してしまったということからPTSDになり、自ら命を絶つというケースも多いと聞いております。 戦争で常に犠牲にされるのは未来ある若者であって、こういう負担と犠牲を日本の若者に強いることは許されないと私は強く思います。 2つ目のご質問です。私たちが政権に就いた場合、最初の訪問国はどこかというご質問でした。最初かどうかはわかりませんが、アメリカ合衆国には必ず訪問しなければなりません。といいますのは、私たちは、今の日米安保条約に代えて、日米友好条約を締結しようと、綱領で謳っております。 世界で見れば、軍事同盟というのは圧倒的な少数派です。ですからこの軍事同盟をやめて、本当の意味での対等・平等の友好条約を結びたいというのが私達の大方針です。 共産党というと「反米主義」だと思っている方も多いと思いますが、私たちは決して「反米」じゃないんです。アメリカの独立宣言に発する偉大な民主主義の伝統に深い敬意を持っています。私たちは太平洋を挟んだ隣国であるアメリカと本当の対等・平等な関係を結びたいと考えています。 そうした日米関係の大転換を図ることが、私達が政権を取った時の最初の大仕事になるだろうと思っています。 ー安倍政権批判、まさに正鵠を就いたもので、共産党の追及が一番鋭かったと思う。しかし、次の選挙でどこに投票するのかということまで考える、単に政権批判が鋭いということだけでは不十分で、共産党が国防についてどう考えるているのかを有権者も見るだろう。 そもそも、共産党はまだ「非武装中立」という旗は掲げたままなのか。前回の会見では、"当面天皇制は容認するんだ"ということまでおっしゃっていたが、安全保障に関しては「非武装中立」で行くのか。 また、前回の選挙では、野党の方が与党よりもトータルの得票数は多かった。しかし、共産党は全選挙区で候補者を擁立し、候補者調整も行っていなかった。共産党が野党を一つに勢力を束ねるような用意はあるのか。 志位氏:まず安全保障の問題ですが、私たちは日米安保条約を廃棄するという展望を持っておりますが、そのときに自衛隊も一緒に解消する、という立場ではないんです。それは、安保条約の廃棄に賛成の方でも、自衛隊は必要だという、国民的な合意のレベルが違うということです。ですから、私たちは自衛隊は違憲の軍隊だと考えておりますが、これを一気になくすことはできません。 私たちが政権を担ったとして、その政権が憲法9条を活かした平和外交によって、アジアの国々とも世界の国々とも平和的な友好関係を築き、日本を取り巻く国際環境が平和的な成熟が出来て、国民みんなが"自衛隊は無くても 安全は大丈夫だ"という圧倒的多数の合意が熟したところで、9条の全面実施の手続きを行う、すなわち自衛隊の解消へ向かうというのが私たちの立場なんです。 ですから、私たちが政権を担ったとしても、自衛隊との共存の関係が一定程度、一定期間、続くことになります。そのときに万々が一、武力攻撃があったときは、あらゆる手段を用いて抵抗する、場合によっては自衛隊も活用すると、党大会の方針で決めております。 違憲の軍隊と共存するというのは、一つの矛盾かも知れません。しかし、この矛盾を作り出したのは自民党政権です。私達はその矛盾を引き受けて、全面実施に向かうという大きなプランを持っています。 二つ目の野党共闘の問題についてのご質問ですが、私たちは野党の間で条件が合えば、国政レベルでも共闘することをこれまでも追求してきました。例えば昨年の総選挙の際に、沖縄では小選挙区の1区から4区全てで共闘が成立しました。そして、「新基地建設反対」の一点での共闘で、全てで勝利しました。こういう共闘関係は条件が 我々は条件が合った時には、大胆に追求します。 ただ率直に言いますが、野党の間でも国政の基本問題で政策的なの違いがあまりにも大きく、それがたくさんあるんです。ですから、そういう国政の基本問題を横において選挙共闘ということになりますと、それは有権者の皆さんへの責任を負えないということにもなります。 ただ、私は現局面での野党共闘については 一点だけ強調させていただきたい。戦争法案をめぐって、安倍政権の暴走を許さない、という、野党間での共闘を最大限追求していきたい、というのが私たちの立場です。 昨日は野党5党の党首会談が開かれました。共産党、民主党、維新の党、社民党、生活の党の5党の党首が揃いまして、会期の大幅延長に反対するという一点での合意が確認されました。 戦争法案を巡っても、野党の立場にはそれぞれ違いがありますが、安倍政権の暴走を許さないという点で最大限の協力を私たちは追求したいして、協力を呼びかけていきたいと思っております。 ー今日は沖縄にとっては特別な日だ。しかし本土では特に何もない。まるで別々の国だという感じがある。沖縄の現場についてどう考えているか。 また、憲法や安全保障の問題について、右寄りの方々の声は大きく聞こえくるが、いわゆるリベラルの方々の声、ほとんど聞こえてこないのはなぜか。 写真拡大 まず沖縄の現状についてのご質問です。沖縄は私はもう歴史的に後戻りのできない、偉大な変化が進行していると思います。名護市辺野古に新基地を建設する動きに対する、文字通り島ぐるみの反対の声が高まりました。昨年、一連の勝利が記録されましたけれども、まず名護市長選挙で、新基地建設反対を掲げる市長候補が圧勝しました。そして11月の県知事選挙で翁長新知事が誕生しました。12月の総選挙では先ほど言ったようにすべての総選挙区で新基地反対派が勝利しました。 今、基地のない沖縄を目指す勢力の特徴というのはこれまでの保守と革新の垣根を超えた共闘の関係が生まれているということなんです。新しく県知事になった翁長さんは、かつて沖縄の自民党県連の幹事長を務めた方です。その翁長さんが今ではすっかり私たちとも心が通い合う友人となり、そして基地のない沖縄を目指す同志となっております。 この本当の島ぐるみの運動は決して後戻りをすることは絶対ありません。ですから、新基地を作ることは出来ません。不可能です。普天間基地については代替策を示せと日米政府は言うんですが、普天間基地はもともと沖縄県民がどうぞと差し出したものではないんです。米軍がブルドーザーによって、強制的に収用、強奪したその土地の上に作られているんです。ですから翁長さんは言っています。「強奪した土地は、沖縄県民に返しなさい」と。 私達は沖縄県民に日本国民全体がしっかり連帯して、本当に基地のない沖縄のための大きな国民的ムーブメントを起こすことが大事だと考え、行動を起こしています。 それからリベラル派の声が聞こえないんじゃないかというご質問でした。私は、そうは考えておりません。、むしろこれまで憲法論で私達と立場を異にしてきた憲法学者の方々からも「今度の安保法案は違憲だ」という声が一致して上がっております。 また、昨日の国会の特別委員会での参考人質疑でも、歴代の内閣法制局長官が発言しました。そのうち、宮崎礼壹さんは、「違憲だ」ときっぱり論を張りました。そしてもう一人、阪田雅裕さんは、これも「今度の政府の解釈は逸脱している、違憲の疑いが強い」という発言をされました。それから自民党の元幹部の方々、あるいは首脳を務められていた方々も、「容認できない」という声を上げられています。 私が感慨深いのは、そういう方々の顔ぶれを見ますと、私が国会やテレビで論敵として論争し合った相手が、今同じ側でこの法案に反対しているという、大変感慨深いものがあります。 ー先日、二人の憲法学者がここで会見を行った。今回の政府の憲法解釈の変更が通ってしばえば、将来の政権も解釈を変えてしまうことになり、憲法そのものを威厳を失わせるものだと言っていたが、その点についてはどう考えるか。 その点につきましては、我々も国会で追及しているところです。長谷部恭男教授が述べているような、まさに立憲主義の否定という点で、安倍政権がやっていることは許しがたいというのは、私達も一致しています。 今の政府の論理というのは、1972年の政府見解を元にして、その基本的な論理と結論を切り離しまして、基本的論理は変えていないが、しかし情勢が変わったので、結論を変えるんだというのが言い分です。しかし1972年の政府見解というのは、まさに集団的自衛権は行使できないということを導くための論理を提起したものでした。 それを今になって情勢が変わったから結論が変わるんだと、こういう憲法解釈の乱暴極まる変更を行えば、長谷部教授がおっしゃるように憲法に対する信頼性、そして法に対する信頼や安定を全部損なうことになりますので、これは立憲主義という国のあり方自体を根底から否定することになると思います。 私がもうひとつ注目して聞いたのは、昨日の参考人質疑での、宮崎礼壹・元内閣法制局長官の発言です。宮崎さんは、そもそも1972年の政府見解がどうして作られたのかという当時の状況も説明されました。国会の中で、集団的自衛権はなぜ行使できないかという議論になりました。その議論の中で、政府に、なぜ行使できないのか統一見解を出してくれということになって出来たのが、この政府見解です。 ですから1972年見解をもとに集団的自衛権を行使できる言うのがいかに間違っているか、いかに途方も無い議論かというのは、長谷部教授の発言、宮崎元法制局長官の発言、全面的に同意します。 ー世界の裏側まで、という話もあるが、現実的な問題としては近隣で問題が発生することがありえるのではないか。たとえば中国とフィリピンとの衝突があるし、そのために米軍を活用し始めている。中国との衝突に日本が巻き込まれるということもあるのではないか。 もうひとつ、安倍政権が最終的な目的としていることは、結局集団的自衛権を使って、自衛隊を他国の軍隊とおんじようなものにしたいのではないか。 私たちは中国と日本との間、あるいは中国と東南アジアの国々との間に、領土をめぐる様々な紛争があり、それをどう解決するかという問題については、関心と対応策も検討してまいりました。 中国が尖閣諸島の領海に公船を入れてくる、こうした物理的な対応を強めてくることを私たちは批判をし、中国政府ならびに中国共産党にそういう我々の批判を伝えてまいりました。ただ、この問題は、相手が物理的な対応をやってくる、あるいは軍事的な対応をやってきたときにこちらも物理的な対応や軍事的対応をとる、軍事と軍事のエスカレーションになるのが一番危険だと考えています。外交的な解決の枠組みが大切です。 例えば東南アジアの国々は中国との関係で、領土に関する紛争問題をエスカレートさせないために、「南シナ海行動宣言」=DOCというのを結びました。そのDOCを法的拘束力を持ったCOCに発展させるような努力をやっています。中国が様々な行動をする、それに対して東南アジアは外交的な枠組みの中で、それを物理的な対応や軍事的な対応にエスカレーションさせないということに東南アジアは力を尽くしています。もっと大きく言いますと、「東南アジア友好協力条約」=TACというとうのを締結し、広げています。 私たちの一つの提案として、東南アジアで起こっているTACのような枠組み、領土問題で言いましたらDOCのような枠組み、これを北東アジアでも構築できないか、「北東アジア平和構想」というのがあります。 北東アジアの場合は北朝鮮という存在が有りますので、この問題の解決はやはり6カ国協議の枠組みに戻していくと、これが唯一の解決策だということも提唱しております。そして最初のプレゼンテーションでもお話したように、日本が過去の侵略に対する公的な反省を明らかにすることがこの地域の平和と安定にとって不可欠だということも言っております。 すなわち、私たちの北東アジア平和構想というのは4つの要素から成り立っております。 第一は東南アジアのTACのような平和条約を北東アジアでも締結する。 第二に、北朝鮮問題については6カ国協議の枠組みに立ち戻って、外交的な解決を図る。 第三に、領土に関する紛争問題に関してはDOCのような、紛争をエスカレートさせない外交的な枠組みを作るということ。 そして最後に日本の過去の戦争については真摯な反省の態度を取る。 この4つの原則に立った「北東アジア平和構想」を提唱し、実現のために、野党ではありますが、政府とも関連の対話を重ねているところです。 安倍政権の一番の問題は、もっぱら軍事の話ばっかりで、外交のビジョンが全く見えてこないことです。軍事に対する軍事、これは悪循環で一番危険です。そういう悪循環から転換する"大きなビジョン"が必要です。 ・http://blogos.com/article/118384/?p=2 |