http://www.asyura2.com/15/senkyo187/msg/281.html
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堤未果氏(ジャーナリスト)が出演した2015年6月19日放送のNHKラジオ第1「マイあさラジオ 今週のオピニオン」の書き起こしです。音声は下記URLで聞くことができます。
ジャーナリスト 堤未果さん
6月19日(金)「TPP交渉の行方と日本の医療」
http://www.nhk.or.jp/r-asa/doga/opinion_6.html
堤 未果 「TPPのISD条項の問題点」2015.06.19 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=OgjXGmpEkzk
(書き起こしここから)
キャスター:堤さん、おはようございます。
堤:おはようございます。
キャスター:堤さんの最近の注目点、挙げていただくとしたら何でしょうか?
堤:はい。やはり何と言ってもTPP交渉、どうなって行くかと。もうそろそろファイナルかな、という感じですよね。
キャスター:日本の国内では、特に農業と製造業の分野において、反対・賛成、いろいろ声が上がっているようなイメージがありますけれども、堤さんとしてはどんなところに注目されているのでしょうか?
堤:実はTPPの大きな目玉の1つは、私たちの生活に関わるところで、医療なんですね。
キャスター:医療ですか。
堤:はい。
キャスター:いろんな懸念というものが表明されているわけですけれども、例えばISD条項。これは、国連が人権への悪影響への懸念を表明しているということなんですけれども、まずこのISD条項というのは、どういうものと考えればいいんでしょうか?
堤:はい。これはですね、アメリカ国内でもジョセフ・スティグリッツ教授とかですね、非常に懸念を示しているんですが、これはTPP条項の中の1つで、こういうことなんです。加盟国の国内法が加盟国の企業の利益を阻むような法律だった場合に、企業側がその国の政府を訴えられる、ということなわけです。
で、これ、訴える場所はですね、国際紛争解決センターという世界銀行の傘下のところで、世界銀行はみなさんご存知の通り、出資比率によって発言権が変わりますよね。一番発言権があるのはアメリカですね。そういうところで、裁判が行われるということなわけです。
キャスター:例えば、アメリカの企業が日本のある法律に対して不満があるといったような場合に、普通であれば日本の裁判所に訴えるんだけれども、そうではなくて、別の世界的な裁判所で、この法律おかしいじゃないか、ということを訴えることができるということなんですね。
堤:そうなんです。
キャスター:で、それが今回その医療とどう関係してくるんでしょうか?
堤:はい。例えば、このTPPの交渉の中で、アメリカ政府、アメリカ通商交渉部というところが出している要求、これは米国通商代表部外国貿易障壁報告書という長い名前が付いているんですけれども、これの報告書を見るとですね、保険・医薬品・医療機器、ここを規制緩和して企業が入れるようにして欲しい、とはっきり書いてあるわけですね。
じゃあ、ISDがどう絡んでくるか。例えばですよ、TPP締結して、じゃあ、日本が入りました。外国企業が日本に、例えばお薬を売り込みたいと。ところが、日本には国民皆保険制度というのがあって、中医協というところが薬の価格を設定するわけですよね。だから、新薬が出て保険に収載されるとしても、毎年値段は下がって行く。だから、私たちは安くアクセスできるわけですけれども、そんなものがあるとフェアに競争できないじゃないかと、商売の邪魔になるということで、これ、訴えられるわけですよ。
でも、裁判だから頑張ればいいじゃないかと、みなさん思われるかもしれないんですけれども、まず1つは、裁判の場所自体が非常にアメリカに有利なところになっている。例えば、これが負けるとどうなるかと言うと、じゃあ、国内法の方を変えて下さい、という判決が出る。そうなると、薬の価格を日本の政府は日本国民のために今まで安く設定していたのが、できなくなると。そうなると、外国企業が、例えばアメリカの製薬会社が、じゃあ、この薬は1粒、日本では1万円で売っていたけど10万円で売りますとなった時に、そのまま入ってくる可能性があります。そうなると、その薬が国民皆保険でカバーできるか。国民皆保険、今でさえ財政が大変だと言われている中で、それをカバーしていたらおそらく持たなくなりますよね。
そうなるとどういうことが起こり得るかと言うと、おそらく日本政府は私たち国民にこういうふうに聞くと思うんです。このまま新しく入ってくる高いお薬も全部国民皆保険でカバーするけれども、自己負担とか毎月の保険料はものすごく上がる。それでも維持するということを選びますか。それとも薬に関しては、今後は国民皆保険には入れられない。治療だけはカバーします。でも、お薬は今後は自己負担にして下さい。つまり、混合診療ですね、これは。ということになるか、おそらく選ばされることになります。
どっちになっても、私たちの医療費の自己負担というのは跳ね上がる、ということになってしまいます。仮に、これからはお薬が高くなってしまったので、保険でカバーできません。でも、お薬を買わないわけには行かないですよね。そうなると、日本の国民健康保険証1枚では、医療費が足りなくなりますね。そうすると、民間の保険にも入らなきゃいけない。そうすると、2重になると、負担が。これは医療支出がすごく増えて行く。
どっちにしても、今のような健康保険証1枚あればいつでも気軽に3割負担で治療が受けられる、という日常が大きく変わってしまうと。そういう可能性が高いです。
キャスター:今のところ、皆保険は守るんだ、ということを政府は言っていますけれども、じゃあ、本当に守ろうと思ったら、どうすればいいんですか?
堤:これはもうTPPから抜けるしかないですね。このISDに関しては、ISDに対して反対している国も何カ国かあるわけですね。だから、最後までどうなるかはわかりません。ただ問題は、このISDに関しては、農業も医療も製造業も、どんなに細かいことがこれから中身が変わったとしても、ISDがあれば、国家の主権とか国内法とか、そういうものは企業が解体する力を持ててしまうと。それぐらいこれは企業とっては、非常に大きなフリーハンドを得るための条項なわけです。むしろ、これが1番の目的とも言えるだろう、と言っているアメリカの国会議員もたくさんいます。
キャスター:そういう中で我々ができることって、じゃあ、限られてきますね。
堤:まずはですね、とにかくこれを農業や製造業だけだと思わないこと。どういうことが今起きているのか、関心を持つだけでもいいんですね。
で、同時に今、日本国内ではこの間、患者申出療養制度というのが通って、実質混合診療を大幅に広げるという入口にもう立っている。それから、いろんな意味で今、医療の規制がすごい勢いでどんどん外されていますから、どうでしょうね、このTPP締結する前に非常によく似たような環境が地ならしされている、ということも国内で同時進行している。
で、これはですね、TPPの情報があまり入らないからよくわからないなという方でも、国内で医療に関するいろんなルールが変わって行くことが今、毎日のようにニュースに出ています。これ、全部1つの線で繋がって行きます、今後。それをよく見ておいてください。
キャスター:よくわかりました。今朝のお話、どうもありがとうございました。
堤:ありがとうございました。
キャスター:今週のオピニオン、ジャーナリストの堤未果さんでした。
(書き起こしここまで)
[関連]
マイあさラジオ|今週のオピニオン|NHKラジオ第1
http://www.nhk.or.jp/r-asa/opinion.html
ジャーナリスト・堤未果さんインタビュー「医療の“商品化”で国民を破産させたアメリカ。その波は日本にも押し寄せています」|通販生活R
http://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/150407/
堤未果氏「『ジャーナリストならば国民皆保険制度をなんとしても守れ』これが父の遺言だった」文化放送11/26
http://www.asyura2.com/14/senkyo175/msg/315.html
<悲報>健康保険値上げへ!病院の受診に1万円の負担、入院時の食事値上げも!首相「能力に応じた負担で国民皆保険制度を支える 2015.05.27 真実を探すブログ
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/919.html
内田聖子さんの【米国TPA法案の行方】2015年6月22日 - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/837782
TPP交渉差止・違憲訴訟の会
http://tpphantai.com/
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