16. 2015年6月21日 21:13:17
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安倍首相が「今回国会に提出している安保法制は完全に憲法に適合しており、違憲ではない」と国会の場で言明したのは当然だ。憲法学界では少し前まで、自衛隊違憲論が通説で、自衛隊がなければ戦争が起きないという平和主義を唱えていた。はっきり言ってアホである。 2015.6.21 11:30 【中高生のための国民の憲法講座】 第99講 「集団的自衛権の行使は合憲」 百地章先生 http://www.sankei.com/life/news/150621/lif1506210039-n1.html 憲法講座 http://www.sankei.com/life/photos/150621/lif1506210039-p1.html 安保関連法案の審議をめぐって国会の混乱が続いています。問題の核心は、「集団的自衛権の行使」を認めた政府の新見解が憲法に違反しないか、ということです。そこで今回は、この問題を取り上げます。 ◆集団的自衛権とは何か 国家の自衛権には「個別的自衛権」と「集団的自衛権」があり、すべての国連加盟国に認められています(国連憲章51条)。それでは、集団的自衛権とはどのような権利でしょうか。ひと言でいえば、「わが国と密接な関係にある国に対して武力攻撃がなされたときは、それが直接わが国に向けられていなくても、わが国の平和と安全を害するものとみなして、対抗措置をとる権利」といえるでしょう。 そのポイントは、他国への攻撃を「自国に対する攻撃とみなして対処する」ことにあります。つまり、直接自国が攻撃されたときに行使されるのが個別的自衛権です。これに対して、他国に攻撃がなされたときに共同して対処する権利が集団的自衛権です。 例えば、北大西洋条約では「欧州または北米における締約国に対する武力攻撃を全ての締約国に対する攻撃とみなし …集団的自衛権を行使する」(5条)と定めています。 個別的自衛権と集団的自衛権は、不可分一体です。このことは刑法の「正当防衛権」と比較すれば明らかでしょう。 刑法36条は、次のように規定しています。「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」。つまり、正当防衛権とは、急迫不正の侵害が発生した場合、「自己」だけでなく、一緒にいた「他人」の権利を防衛することができる、というものです。 例えば、友達と一緒に歩いていたとき、突然、友達が暴漢に襲われたら、それが自分に対する攻撃でなくても、反撃して友達を助けることができるのが正当防衛権です。 それゆえ、国内において個人に認められた「正当防衛権」に相当するのが、国際社会における国家の「自衛権(個別的・集団的自衛権)」と考えられますから、両者は不可分一体です。 ◆政府新見解は妥当 この集団的自衛権について、従来の政府見解は、わが国はこの権利を「保有」しているが「行使」することはできない、というものでした。 そこで、昨年、政府はわが国を取り巻く国際環境の急激な変化を理由に、この見解を改め、集団的自衛権の「行使」を一部、認めました。つまり、「わが国と密接な関係にある国に対する攻撃が発生し、これによってわが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある」時に限り、集団的自衛権の「行使」を認める、というものです。 これに対し「政府見解の変更は許されない」「憲法違反だ」といって反対する人たちがいます。そうでしょうか。 はじめに述べたように、集団的自衛権は全ての国連加盟国に認められた「固有の権利」(国連憲章51条)です。したがって、憲法に書いてなくても、わが国が国連加盟国の一員として、国際法上、集団的自衛権を有することは明らかです。 次に、憲法論ですが、日本国憲法がその行使を「禁止」していなければ、わが国はもちろん主権国家ですから、「行使」可能です。この点、憲法9条は、集団的自衛権を何ら禁止していませんから、わが国が国際法上、集団的自衛権を「行使」しうるのは当然で、合憲ということになります。 この点、憲法上、集団的自衛権の行使が可能かどうかを最終的に判断できるのは最高裁判所です(憲法81条)。そこで、最高裁が憲法9条の意味について正面から判断した昭和34年の砂川事件判決を見てみましょう。判決は次のように言います。 憲法9条は、わが国が主権国家としてもつ固有の自衛権を否定していない。そしてわが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な措置をとりうることは、当然である、と。 判決は、米駐留軍と旧安保条約の合憲性について述べたものですから、当然、集団的自衛権を射程に入れており、この「自衛権」には個別的・集団的自衛権が含まれます。 したがって、わが国が集団的自衛権を行使できることは国際法および憲法に照らして明らかであり、最高裁も認めていますから、集団的自衛権の行使を認めた政府の新見解は、何ら問題ありません。 ◇ ■国連憲章第51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当たって加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基づく権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。 ◇ 【プロフィル】百地章 ももち・あきら 京都大学大学院法学研究科修士課程修了。愛媛大学教授を経て現在、日本大学法学部教授。国士舘大学大学院客員教授。専門は憲法学。法学博士。比較憲法学会理事長。産経新聞「国民の憲法」起草委員。著書に『憲法の常識 常識の憲法』『憲法と日本の再生』『外国人の参政権問題Q&A』など。68歳。
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