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長谷部恭男さん(左)と小林節さん(右)(撮影/写真部・東川哲也)
安保法制「違憲」の憲法学者 高村副総裁に「ふざけんな」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150619-00000002-sasahi-pol
週刊朝日 2015年6月26日号より抜粋
衆院憲法審査会で3人の憲法学者が安保法制を「憲法違反」と述べたことが、大きな波紋を広げている。違憲性が改めて問われ、政府与党は動揺。長谷部恭男早稲田大教授(58)と小林節慶應義塾大名誉教授(66)、注目の2人が緊急対談した。聞き手は朝日新聞論説委員・小村田義之。
* * *
小村田:今回、なぜ自民党の参考人だったのですか。
長谷部:私はいつだって、自分が正しいと思うことを言うだけです。
小林:書類を見て「え、なんで長谷部先生が自民党の推薦? ウソだろ」と思ったけどね(笑)。長谷部先生が何を言うか非常に興味津々で。大丈夫かな、と思っていたら、ああいうことになってしまって。
小村田:米軍への自衛隊の後方支援について、小林先生は「長谷部先生が銀行強盗をして、僕が車で送迎すれば、一緒に強盗したことになる」と言ってました。
長谷部:ものの例えですからいいんですけど。私でなく自民党の船田元・憲法審査会筆頭幹事が強盗でも同じことです。
小村田:後方支援というとおにぎりを握っているようなイメージですが、米軍に弾薬を提供でき、攻撃対象にもなるでしょう。
長谷部:(憲法違反の)米軍の武力行使との「一体化」そのものですよ。
小林:戦争が始まったら撤退する友軍なんてありえない。逆に米軍に撃ち殺されますよ(笑)。よくそんな子供だましがやれるな、とイライラしていたんですよ。
小村田:憲法違反とのご指摘に対して、反論する政府見解が出ました。教え子に官僚も多いと思いますが、これが大学の試験だったら何点つけられますか?
長谷部:そもそも反論になっていないんですよ。
小林:そう、採点対象にならない。
長谷部:同じことの繰り返しで、要するに、反論できないということを示したんですよ。
小村田:落第ですか?
小林:答案の形で出てきたら「失格」と言いますよ。「自分は間違ってない!」という確信だけ強くて、一種の「バカの壁」ですね。論争になっていない。
小村田:自民党の高村正彦副総裁は「憲法学者はどうしても憲法9条2項の字面に拘泥する」と発言しました。
小林:ふざけんな、と。条文というのは、憲法であれ法律であれ、不完全な人間が将来に向かって間違いを犯さないように話し合って書いた約束なんですね。字面に拘泥(こうでい)しないということは、こう書いてあるけど、俺は違ったようにやりたいから四の五の言うな、ということでしょ。独裁政治の始まりなんですね。民主主義の否定なんですよね。彼らは字面を無視して自分の思いに拘泥する。独裁者の発想じゃないですか。
長谷部:日本を取り巻く安全保障環境が危険になっていると言うのなら、日本の限られた防衛力を全地球的に拡散するのは愚の骨頂です。サッカーに例えれば、自分のゴールが危ない時に味方の選手を相手陣営に拡散させる行為。どこにそんなチームがありますか。全世界的に米軍に協力すれば、いざという時に米国が日本を真剣に守ってくれるなんて、全くの希望的観測だと思います。
小林:おっしゃるとおり。
長谷部:米国は憲法によって本格的な軍事行動には連邦議会の承認が必要です。日本が想定しているのは、お隣の大国でしょうが、そんな承認を連邦議会がするでしょうか。シリアへの空爆でさえ、オバマ大統領は連邦議会の承認を取りつけられなかった。日本政府の人たちは、どうして米国をそんなに信用できるのか。非常に不思議です。
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