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日本国民は憲法9条に愛着
違憲論、法制化反対の声が高まる
2015年6月18日(木)Economist
平和憲法の縛りを緩めようと努力を続けてきた安倍晋三首相は6月4日、思いがけず足元をすくわれた。与党自民党が参考人として推薦した憲法学者、長谷部恭男氏が、集団的自衛権の行使を可能にする新しい安全保障関連法案を違憲と断じたのだ。この事態に直面して、自民党には衝撃が走った。
今回の事態は、安倍首相の4月の訪米から時を経ることなく起きた。この訪米で同首相は極めて手厚い歓迎を受けた。これは集団的自衛権に対する同首相の取り組みが評価されたことが大きい。仮に法案が成立すれば自衛隊は、日本が直接攻撃にさらされていなくても、米国の軍隊を支援することが可能になる。
日本が集団的自衛権を行使できるようになることを米国は支持しているが、安倍首相の構想は日本国内で次第に支持を失いつつある。否定的な国民感情が強まる中で、長谷部・早稲田大学教授の見解は厳しい一撃となった。
日本国民は9条の戦争放棄に愛着
ほとんどの日本人は、米国人が戦後起草した現行憲法の第9条に深い愛着を感じている。同条は国際紛争を解決する手段としての戦争を禁じるものだ。最近の世論調査の結果も、9条に対する国民の支持を明確に物語っている。安倍首相を支持する読売新聞が6月に実施した世論調査によれば、回答者の5分の3が集団的自衛権について法制化することに反対している*。同法案に反対する人の割合がこれほど高まったことは、過去に例がない。今や国会周辺だけでなく、様々な場所で抗議活動が繰り広げられている。
*読売新聞は6月8日の紙面で世論調査の結果を紹介した。このうち「安全保障法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に、賛成ですか、反対ですか」との問に対して、賛成が40%にとどまったことを指すとみられる
安倍首相が積年の夢である憲法改正を公言し始めていることも、逆風になっている。ほとんどの憲法学者は、憲法第9条の解釈に対する今回の変更は事実上の憲法改正だと考えている。与党自民党関係者の中にも、同様の見解を持つ者がいる。
安倍首相は最近、安全保障体制を巡る一連の変更によって、将来、米国の戦争に日本が巻き込まれることはあり得ないと国民に訴えたが、支持の後退に歯止めはかかっていない。自衛隊員の生命の安全が国会論争の焦点になるに及んで、自民党の議員は次のように示唆もした――もし生命に危険が及びかねない状況となった場合には速やかに撤退できる。このような示唆に、米国防総省はいい顔をしないだろう。
安倍首相はまた、南シナ海において中国と敵対する米国を支援することはないと断言せざるを得なかった*。南シナ海では中国が幾つかの岩礁で滑走路の建設を進めており、議論を呼んでいる。しかしながら、多数のアジア向けタンカーが行き交うホルムズ海峡に関しては、日本は安全確保の一翼を担うとの立場を引き続き明確にしている。
*この発言の有無を確認することはできなかった
今国会の会期は6月24日に終了するが、政府は安全保障関連諸法案を成立させるため、会期を延長する構えだ。だが、中野晃一・上智大学教授は会期を延長しても法案が成立しないかもしれないと言う。自民党が衆参両院で過半数を握っているため、そうした事態となる可能性は小さいものの、安倍首相の政治的基盤は揺らぎ続けている。
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Jun. 13rd, 2015 All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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