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安倍首相、中国系TVで大サービス 「あんな事こんな事」まで発言
http://www.j-cast.com/2015/06/17238026.html?p=all
2013年12月には靖国神社を参拝するなど「対中強硬派」だとの評価もある安倍晋三首相が約6年ぶりに中国系メディアの単独インタビューを受け、中国に対する融和姿勢を強く打ち出した。
安保法案が中国との軍事衝突につながる危険性については「まったく想定し得ない」と断言し、日中関係発展のために「私も努力を積み重ねていきたい」と表明。戦後70年の節目に出す談話についても、「アジアの人々に対して被害を与えた」ことに対する「痛切な反省」と口にした。これまでの「力による現状変更は認められない」といった「牽制球」は登場せず、「地域の責任ある大国として発展していくことを望んでいる」と持ち上げるほどの「大サービス」ぶりだ。2度にわたる習近平国家主席との首脳会談で「雪解け」が進む日中関係を反映した形だ。
■2度目の首脳会談、1度目よりも「だいぶ胸襟を開いた率直な意見交換」
安倍首相は2015年6月15日、香港に拠点を置くフェニックステレビのインタビューに応じた。日本の首相が中国系メディアの単独インタビューを受けるのは、09年4月に麻生太郎氏が国営中国中央テレビ(CCTV)のインタビューを受けて以来約6年ぶり。
冒頭、安保法案をきっかけに日中が軍事衝突する可能性について聞かれ、安倍首相は安保法制が
“「戦争の惨禍を繰り返してはならないという意味において、国民の命と平和な暮らしを守るという責任を果たすための法制」
だと説明。そのうえで、
“「ましてや、今おっしゃったようなご指摘のようなこと(軍事衝突)に、この法制によってなるということは、まったく想定し得ない」
と断言した。その背景のひとつが、2度にわたる習近平氏との首脳会談だ。15年4月にインドネシアで行われた2度目の会談では、海上や空での偶発的な衝突を避けるための「連絡メカニズム」早期運用に向けて合意したとして、
“「お互いに、さらに両国関係をともに、発展させていくという思いは一緒。その両国の関係の発展に向けて、私も努力を積み重ねていきたいと思っている」
などと友好姿勢を強調した。
2度目の会談は14年11月の1度目に比べて「だいぶ胸襟を開いた率直な意見交換ができたと思う」と振り返り、習氏への印象を
“「だいたい同じくらいの年だが、中国という13億の民に対する責任を常に感じておられるんだな、という印象を受けた」
と述べた。
“「人間というものは、会うたびに理解が深まっていくのではないかと思う」
とも述べ、一度も首脳会談が実現しない韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領との距離感の差を印象づけた。
■「アジアの人々に対して被害を与えた」という「痛切な反省」
戦後70年の節目に出す予定の談話についても、近隣諸国への一定の配慮を見せた。1995年の村山談話、2005年の小泉談話を「歴史認識としては全体を引き継いでいく」と改めて表明しながら、戦後70年の歩みを
“「70年前、日本国民も沢山の方々が命を失い、塗炭の苦しみの中にあった。そして、アジアの人々に対して被害を与えた。こうした痛切な反省の中から日本は世界の平和と発展、特にアジアの国々の発展のために力を尽くさなければならない、こう思い続けてきた」
と総括。こういった認識を前提に、談話の方向性を示した。
“「国際協調主義のもとの積極的平和主義のもとに、地域や世界の平和と安定のために今まで以上に貢献していきたいと考えている。この意志についても、わかりやすく発信していきたい」
この「深い反省」「痛切な反省」(deep remorse)といった表現は、習主席との2度目の会談が行われたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)や、15年4月の米議会上下両院合同会議での演説でも登場している。ただ、村山・小泉談話で「キーワード」だとされた「植民地支配」「侵略」「心からのお詫び」といった単語は、今回のインタビューでは登場していない。
■「ぜひ中国の皆さんにも日本に来ていただいて、日本の姿を見ていただきたい」
インタビュー終盤で中国国民へのメッセージを求められると、安倍首相は
“「これだけ長い友好・交流の歴史がある二国間関係は、世界でそれほどないだろうと思う」 「お互いがお互いの国を知るということはとても大切なんだろうと思う。日本からも沢山の国民が中国を訪問している。実際に行って、本当の姿を見ると言うことは理解が深まることにつながる。ぜひ中国の皆さんにも日本に来ていただいて、日本の姿を見ていただきたいと思う。我々は、中国が、これから地域の責任ある大国として発展していくことを望んでいる」
などと中国人観光客の増加に期待を寄せながら、「地域の責任ある大国」と持ち上げた。
■中国外務省は一定の評価、ネット住民は「うそつき」呼ばわり
このインタビューをめぐっては、中国でも官民で評価に差があるようだ。中国外務省の陸慷報道官は6月16日の会見で、
“「最近の日本の指導者の発言に留意している。日本側が具体的に行動し、歴史問題に対する正しい姿勢を示すことで、中国を含むアジアの近隣諸国から信頼を得ることを望んでいる」
と一定の評価を示した。半面、世論は安倍首相の発言には懐疑的なようだ。フェニックスページのウェブサイトには安倍首相の発言全文が載っており、ワンクリック投票もついている。
“「安倍首相は『戦争の惨禍は繰り返してはならない』と発言。どう思いますか?」
という質問に対して、
“「そう思う。戦後復興と平和的発展を経て、日本に戦争する意志はない」
という選択肢を選んだ人はわずか5.93%。これに対して83.67%が
“「信じられない。歴史への態度があいまいで、近隣諸国との紛争が続き、日中も戦うことになるだろう」
を選んだ。コメント欄にも
“「うそつき」
「信用できない」
といった声が並んでいる。
[J-CASTニュース 2015/6/17]
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