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琉球新報論説副委員長の普久原均氏(C)日刊ゲンダイ
琉球新報・普久原均氏が抉る「オスプレイ」首都配備の危険性
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160670
2015年6月15日 日刊ゲンダイ
空飛ぶ棺桶といわれる「オスプレイ」が横田基地にも配備されるが、東京都知事が抗議するわけでもなく、都民もノホホンと構えている。それでいいのか。琉球新報でオスプレイの危険性と米軍の横暴、日米地位協定の問題点を抉ってきたジャーナリストの指摘は鋭い。
■軍産複合体の巨大利権
――先月にハワイでオスプレイ墜落事故が起きました。どう思われましたか?
「やっぱり」と思いましたね。「人為的ミス」と報じられていますが、構造的欠陥が原因の可能性があります。軍内部から「欠陥を俺たちのせいにするのか」と不満が出てくるかも知れません。
――構造的欠陥は以前から、いろいろ言われていますよね?
オスプレイは、航続距離を稼げるプロペラ機と、垂直離発着ができるヘリコプターの両方の機能を持っている。「このことが構造的欠陥になっているのではないか」と専門家は指摘しています。オスプレイ開発に関わった技術者が米議会で「オスプレイ配備は中止した方がいい」と証言しているほどです。
――だから墜落事故が多いのですか?
普通のヘリコプターはエンジンが止まっても自然に軟着陸する「オートローテーション機能」を持っていますが、オスプレイにはなく、ガツンと落ちてしまう、と指摘されています。タイム誌など米国メディアにも「未亡人製造機」「空飛ぶ棺桶」などと酷評され、現場の軍人も「危険なオスプレイに乗りたくない」というのが本音だと聞きます。しかも、米軍において事故率の計算方法が変更されたため、見掛け上の事故率が低くなり、真相が見えにくくなっています。
――米軍はそれでも使い続ける?
空軍と海兵隊がオスプレイを使っていますが、今後、配備が米国内外で一直線に進むのかは疑問です。アメリカ陸軍は配備計画があったのに中止したし、イスラエルも購入計画をやめたそうです。
――だったら、なぜオスプレイが生産中止にならないのですか?
米軍と政治家、軍需メーカーが一体化した「軍産複合体」が背後にいるからだと思います。軍産複合体にしてみれば、莫大な開発費を回収しないといけない。オスプレイの部品製造工場はアメリカの40州以上にまたがり、各州の国会議員が利害を抱えています。「地元の工場がストップしたら雇用がなくなってしまう」という恐れもある。だから専門家が危険性を指摘しても、オスプレイの生産や配備が続いている。
――それで自衛隊にも売るんですか? 自衛隊は17機を購入、佐賀空港への配備計画も発表されました。購入費用は3400億円で、1機当たり200億円というバカ高い買い物です。
安全性に問題があるのに気前良く買ってくれる日本は、アメリカにとってありがたい“上客”です。オスプレイが非常に高額なのは、純粋な生産コストに加えて、これまでの莫大な開発費回収分や顧問料などが上乗せされているためだとみています。
日米地位協定の問題点を指摘してきた(C)日刊ゲンダイ
――空飛ぶ棺桶に使い道があるんですかね?
舛添要一都知事は記者会見で、テロ対策・患者運搬・災害救助に使えると言っていましたが、オスプレイは戦闘機でも攻撃機でもなく、輸送機にすぎない。南スーダンの現地ゲリラが小火器で対抗したら着陸すらできなかった。現地ゲリラに追い払われるようなオスプレイが、テロ対策で役立つはずがありません。ネパールでの災害救助でも、下降流が激しくて役に立たなかったことが報告されてますし、離島からの患者搬送に1機200億円もするオスプレイを使うのはナンセンスでしょう。
――運用面は、どうですか?
米軍との約束は抜け道だらけで、安全確保に不十分なことは沖縄の実態を見れば一目瞭然です。2012年10月、普天間飛行場にオスプレイが配備された際、日米は「安全な運用のために取り決めを交わした」と発表しました。そのひとつが「市街地上空を『平均』150メートルで飛行」というものでした。日本の航空法は「最低150メートルの高度を維持すること」を定めてあるので、一見、日米の取り決めはこれに従っているように見えますが、あくまで「平均」なので150メートル以下の低空飛行もできる。実際、オスプレイは市街地を150メートル以下で平然と飛んでいます。また「市街地上空ではプロペラ機モードにして、米軍基地の中に入ってからヘリモードにしなさい(市街地上空でのヘリモード禁止)」という取り決めがあるのに、市街地上空をヘリモードで飛んでいる姿が数多く目撃されています。配備後のたった2カ月間の通報件数は300件に達しましたが、日本政府は「取り決め違反を確認していない」「アメリカは違反していないと言っている」として、調査すらしようとしない。主権国家とは思えない状態がまかり通っているのです。
■首都上空を飛ぶなんて国際常識ではありえない
――日本と同じように国内に米軍基地があるイタリアやドイツでは、オスプレイに国内の航空法を適用するなど規制していると聞きました。
イタリアでは「シエスタ(昼寝)の時間にはオスプレイが飛べない」という規制があります。同国内の米軍基地はイタリア軍司令官の管轄下にあり、昼寝時の飛行禁止が盛り込まれたのです。日本での規制強化の障害になっているのが、敗戦後に締結された不平等な「日米地位協定」です。その第3条の「排他的管理権」は、アメリカ軍が他を寄せ付けない形で基地を管理する権限を認めている。日本の外務省は「どの国でも同じ」と説明していますが、自国の基地をアメリカ軍が“万能の神”のように運用できるのは日本だけです。
――沖縄が抗議しても聞き入れない?
沖縄側が「排他的管理権は見直すべき」と日米地位協定改定を求めても、日本政府は拒否し、「運用で配慮します」と言うだけです。その結果、嘉手納飛行場と普天間飛行場で騒音防止協定が結ばれた。「22時から6時までは原則として飛ばない」という夜間飛行禁止が交わされましたが、これは単なる努力目標にすぎませんでした。嘉手納飛行場のすぐ近くの集落で真夜中に、鉄道のガード下よりうるさい110デシベルという“殺人的騒音”を記録したことがあるのです。イタリアなどの他国と違うのは、日本政府がこういう状態を黙認していることです。安倍首相が「戦後レジームからの脱却」を言うのなら、占領下時代の遺物のような日米地位協定の改定をすべきです。
――国際政治学者でもある舛添知事に「ドイツで米軍機は航空法の制約を受ける。日本も日米地位協定を改定して航空法を守らせるべきではないか」と質問したら、「安全保障は国の専管事項。知事には権限がない」と言っていましたよ。
日米地位協定の排他的管理権によって、アメリカは日本国内の基地を使いたい放題なのに、日本政府は口を挟めない。そんな中でオスプレイを横田基地に配備したら、どんな事態になるのかは容易に想像できます。低空飛行も夜間訓練もやりたい放題になりかねない。航空法に縛られない外国の軍用機が、先進国の首都上空を飛べるのは日本だけでしょう。しかもオスプレイのような危険な軍用機が首都に配備されるのは、国際的な常識ではあり得ないことです。横田基地の上空はアメリカが管制権を持っており、日本の民間機は飛べない。それで千葉を迂回することになって、東京と大阪間が30分も余計にかかる。石原慎太郎・元知事が一時期、管制の見直しを訴えましたが、途中から言わなくなりました。安倍首相や舛添知事は日本の主権を回復するために、日米地位協定改定に取り組んで欲しいものです。(聞き手=ジャーナリスト・横田一)
▽ふくはら・ひとし 1965年生まれ。旧コザ市(現沖縄市)出身。早大第一文学部を卒業し琉球新報社に入社。編集局次長兼報道本部長を経て論説副委員長兼特任編集委員。担当デスクを務めた「環り(めぐり)の海」で新聞協会賞。共著に「戦争の教室」(月曜社)、「島嶼経済とコモンズ」(晃洋書房)。
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