http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/714.html
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先週木曜日に放送されたBSフジの「プライムニュース」では、元外務相官僚(北米1課長)岡本行夫氏・共産党政策委員長小池晃参議院議員・西部邁氏という面白い取り合わせで新安保法制をめぐる議論が行われた。
対米従属性など戦後日本政治に関する認識は共産党小池氏と西部邁氏のあいだで共有する部分が多い一方、先の戦争に関わる歴史認識や憲法改正問題では共産党小池氏と岡本氏のあいだで共通するものが多いことがわかった。
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[岡本行夫氏の歴史認識]
「↓3氏のプレゼンテーションを受けての懇談会議論」より抜粋
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/449.html
「プライムニュース」でほぼ同じことを繰り返していたので、次のものは岡本氏の発言と推定。
「○(前略)日本は、総理大臣が何度も正式なステートメントの形で謝罪をしており、謝罪は十分にしてきていると考える。しかし、反省については十分でなかったのではないか。謝罪は申し訳なかったという感情を伝える行動であるが、反省は謝罪に基づいた是正措置を取らなければならないので、その分だけ難しい。戦前の体制を支持しただけで懲役刑に付される刑法を持ち、ナチスの戦犯を地の果てまで追いかけるドイツと比べ、日本では、国会が戦争受刑者に対する赦免決議を4回も行うような、なあなあの政策をとってきた。国民の生死観の違いもあるが、私はアメリカや欧州で講演する度に、日本は未だに歴史に直面していないのではないかとの質問をいつも受ける。
今から、日本が戦争犯罪者を断罪することはできるはずもないが、本当に国家が反省しているかは、最も象徴的には、戦争に対する嫌悪感、反省を次世代に伝えているかということに、つまり教育に現れると考える。講演活動等を通じ、学生に歴史認識が正しく根付いていないと痛感しているが、川島委員から指摘があったとおり、高校に近現代史の科目を新たに設け、必須科目とすることが、非常に重要であると考える。 」
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改憲については、西部氏ひとりが改憲を主張し、岡本氏と小池氏はともに改憲に反対という立場を示した。
面白いのは、改憲に反対の二人も、現状が違憲状態である可能性が大と認めたうえで、「戦術的護憲」を唱えていることである。
岡本氏は、改憲して軍備に膨大な国費を注ぎ込むより、日米安保体制下で“安上がり”に済ましたほうがいい(陳腐でごまかしの「米軍=番犬」論の類い)という考えを表明し、小池氏は、自衛権行使の必要性を説明したうえで、「すぐに自衛隊を解体するというのは現実的ではない」、「憲法第9条があることで自衛隊の活動拡大に歯止めをかかっているのだから改憲には反対」という考えを表明した。
私自身も、これまで書いてきたように、日米安保条約を破棄するまでは戦術的に改憲をしないほうがいいと考えている改憲論者である。
他にも、1ヶ月ほど前にBS日テレで放送された「深層NEWS」で安全保障政策をめぐる社民党元党首福島瑞穂さんと櫻井よし子さんの対論があり、そのなかで、福島さんも、共産党小池氏と同じように、自衛隊=違憲論を捨て去り、自衛隊の活動範囲を抑制するために憲法第9条を維持する護憲の立場だと表明した。
「深層NEWS」でのやりとりを簡単に紹介したい。
読売新聞の玉井キャスターが福島氏に「自衛隊は違憲だと思ってらっしゃるのか?」とふると、福島氏は「社民党宣言(注:06年に発表)は、自衛隊は違憲か合憲かという議論ではなく、自衛隊が周辺事態とかで海外派兵しているのは違憲ということです」、「正当防衛、緊急避難として個別的自衛権は認めるが、集団的自衛権の行使で他国防衛を理由に外国武力行使をすることは認められない」と自衛隊や自衛権の行使について考えを示し、玉井氏の「それだったら憲法を改正したほうがいいのでは?」と問いかけると、「憲法第9条があることで自衛隊の海外派兵は行われなかった。自衛隊の活動を抑制するために憲法を守る必要がある」と答えた。
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※ メディアの一部も、護憲政党社民党の“転向”をきちんと理解していないようで、時事通信は最近の記事の中で、「福島は06年、自衛隊を「現状、明らかに違憲状態にある」と明記した「社民党宣言」を打ち出し、党の「原点回帰」を鮮明にした」と説明している。
「たそがれる護憲=社民弱体化で失速(戦後70年):最強の“護憲”勢力は米国支配層という現実が等閑視される日本」
http://www.asyura2.com/15/senkyo184/msg/731.html
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現実政治論としては、新安保法制に反対している共産党・社民党と新安保法制の成立を図っている安倍自民党のあいだに“大きな差”があるが、自衛権の行使に関するロジックは同類と言える。
なぜなら、具体的にどういう状況がそれに該当するかという問題はともかく、福島さんが語った「正当防衛、緊急避難として個別的自衛権は認めるが、集団的自衛権の行使で他国防衛を理由に外国武力行使をすることは認められない」は、新安保法制を上程した安倍内閣の“武力行使に関する新3要件”とロジック的には同じだからである。
嫌みな言い方をすれば、共産党や社民党は政権とは無縁で米国支配層と対峙することがない一方、自民党は“独立後”ほぼ政権与党のポジションにあり米国支配層と渡り合ってきたという違いが、新安保法制に対する賛否の違いにつながっているのである。
※参照投稿
「村山氏・河野氏・武村氏・藤井氏はともかく、亀井静香氏・山崎拓氏・古賀誠氏の反安保法制活動は「安倍首相応援活動」」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/636.html
「安倍首相は、奇妙なかたちで「戦後レジームからの脱却」をめざし、自ら“しばかれ隊”を買って出ている変態」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/533.html
「新安保法制で安倍政権の憲法論と近いのは「合憲」論の百地氏や西氏?それとも「違憲」論の長谷部氏や小林氏?」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/582.html
『【外務省の本性】内閣官房参与の岡本行夫氏(元北米1課長)は過去に松尾元室長とクルーザーヨットを共同所有』
( http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/591.html )
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[日本国憲法改正に関する米国支配層の態度]
「高村氏「憲法の範囲内で取りまとめたもの」:自衛隊創設時はほとんどすべての憲法学者が『憲法違反』というまっとうな見解」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/658.html
に対し、次のようなコメントをいただいたのでレスポンスを書かせていただく。
【引用】
「14. 2015年6月14日 12:13:15 : aa86V1oKlA
> 日米安保体制下にある限り、米国支配層は日本の憲法改正を認めないと思うが...
大間違い。
米軍の日本駐留は憲法違反であることは誰にでも分かる。
況んやアメリカ政府は日米安保条約締結の前から知っていた。
それ故、アメリカ政府は憲法9条の改正を日本政府に要求したが、日本政府はアメリカの言いなりに戦闘に巻き込まれることを警戒して憲法の改正を拒否した。
朝日新聞やNHKの政治記者はこれくらいのことは知っているが、故意に隠蔽している。
それ故、未だに「米国支配層は日本の憲法改正を認めないと思うが」と言う無知な者が沢山居る。
朝日新聞やNHKが今のまま続く限り、真実の情報は隠蔽され、国民は朝日やNHKの好む方向へ誘導される。
その結果民主政治は衆寓政治に改悪される。」
【コメント】
「米軍の日本駐留は憲法違反であることは誰にでも分かる。況んやアメリカ政府は日米安保条約締結の前から知っていた」と言ったところで、憲法の改正がなされないままでも、米国支配層は、強姦的に日米安保条約を締結させ(そうでありながら日本から抱いて欲しいと言ったかのような前文を用意)、その後も自衛隊を創設させ、自衛隊の軍備増強(兵器購入)も求め続けてきました。
米国支配層にとって日本に押しつける政策が合憲か違憲かなぞはどうでもいいことだとよくわかる歴史過程ではありませんか?
(占領下である1950年に朝鮮戦争で機雷掃海活動を行うよう日本政府に命令したのも米国支配層です)
このところ有名になっている「砂川判決」でも、米国支配層は、違憲論を封じ込める判決を求めただけで憲法改正を求めたわけではありません。
米国支配層は、日本国憲法で日本支配層に錨とロープを付け、時々の自分たちの必要性や思惑で違憲的な政策を実行させればいいと考えているリアリストです。
米国支配層は、「日本国憲法+日米安保条約」から離脱し自立した日本が、米国の利益や思惑から自由なかたちで国策を決めることを嫌っているのです。
吉田茂という政治家に対する見方の違いが基礎にあるのではと思っています。私は、近代日本の政治家で最悪の部類に属する政治家が吉田茂氏だと思っています。
滑稽な話ですが、日本国は、山本五十六氏と吉田茂氏という希代の“悪党”に国葬の栄誉を与えています。
貴殿が紹介し、末尾添付している産経新聞の記事も、「「独立回復後は、自由陣営の安定と平和のための応分の寄与をする覚悟だ」と吉田氏が言ったことに、ダレス氏が「寄与とは何か。今米国は自由のため世界で戦っている。日本は再軍備して軍事的寄与をしてもらいたい」と言っているだけです。
米国が憲法改正を求めているという部分は、産経新聞記者などの“推測”の域を超えるものではありません。
寡聞にして、米国支配層が憲法改正を求めてきたことがはっきりする記録は知りません。
このスレッドで書いた親米派岡本行夫氏の言動やより親米(親アングロサクソン)の故岡崎久彦氏が、憲法改正ではなく、米国支配層の意向と合致するように、その時々の政策実現に必要な“解釈改憲”で押し切ろうとしていることも米国支配層が改憲を嫌っていることの傍証になると思っています。
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行使できる範囲を限定して自衛隊の存在を憲法に規定することは、共産党や社民党までが自衛隊の存在を認めている現状を考えれば、難しい話ではないと思っています。
岡崎久彦氏の憲法観
「長野 これだけ国民の安全を守るためにやりたい、というならば、なんできちんと憲法改正の手続きを取らないんですか。
岡崎 きちんとってね、じゃあ、あなたやってみてくださいよ。憲法改正やってみてください。
3分の2の多数を集めるなんて大変ですよそんなこと。憲法改正ができるならもうとっくに変えていますよ。
国民投票して決まるなら賛成ですよ。だけどその前に正しいことはした方がいい。だって最高裁がそれで良いって言っているですから。
憲法解釈というものはね、憲法にちゃんと書いてある。誰が持っているかと。これはね、最高裁なんです。最高裁が最終判断の権限を持つってちゃんと書いてあるの。ね。だから、最終判断をするのは、国民でもなくて国会でもないし、ましては憲法学者でもないし、ましてや政府の役人である法制局でもない、最高裁なんです。
最高裁の判断が最終判断なんです。それは砂川判決というものがありましてね、そこで、砂川判決が出るんです。」
テレビ朝日「報道ステーションSunday」より
Huffington Post Japan
http://www.huffingtonpost.jp/tomoko-nagano/okazaki-hisahiko_b_5349355.html?utm_hp_ref=tw」
最後に、憲法改正は、日米安保条約の廃棄と同じく、日本国民の判断でできる政治課題ですから、米国支配層の意向は、親米派や従米派の政治家に対する歯止めにはなっても、決定的な抑止にはならないと考えています。
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※ 参照記事
[1] 【子供たちに伝えたい日本人の近現代史】(85)改憲拒み続けた吉田首相
http://www.sankei.com/life/print/141123/lif1411230009-c.html
2014.11.23
29日、東京の三井本館でダレスと会談した吉田は早期の独立回復を求め「独立回復後は、自由陣営の安定と平和のための応分の寄与をする覚悟だ」と述べた。
すかさずダレスが反問する。「寄与とは何か。今米国は自由のため世界で戦っている。日本は再軍備して軍事的寄与をしてもらいたい」。憲法を改正し自由主義陣営とともに戦えというのだ。
だが吉田は拒否する。「日本がまず求めるのは独立の回復であり、いかなる寄与ができるかはその後のことだ」
この議論は「仲裁」に当たった連合国軍のマッカーサー最高司令官が吉田を支持して終わるが、ダレスはなお再軍備を求める。これに対し吉田は、朝鮮戦争勃発で前年発足した警察予備隊を、保安隊として拡充することを約束する。さらに独立後も米軍の日本駐留を可能にする日米安保条約を結ぶことで講和にこぎつける。
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