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角福代理戦争 小沢一郎「壊し屋」最後の大仕事(1)
http://wjn.jp/article/detail/4561778/
週刊実話 2015年6月18日 特大号
ここにきて、剛腕・小沢一郎氏(=現・生活の党と山本太郎となかまたち共同代表)が、不気味な蠢動を見せ始めている。昨年行われた衆院選での惨敗以降、“もはや死に体”と言われ続けてきた同氏が、維新の党の松野頼久新代表に急接近。再び天下取りに動き出したと評判なのだ。
政治部記者がこう語る。
「連日大手メディアは、戦争法案と揶揄される安全保障法案の国会審議に大注目。安倍首相が『早く質問しろよ!』とヤジを飛ばした事や、答弁に呆れた野党議員らが退席する模様を報じているが、実はその中で小沢の動きが俄然活発化しているのです。永田町では大阪都構想の住民投票で惜敗した橋下徹市長が、政界引退を宣言したことが、過去に自民党から2度も政権を奪取した小沢の嗅覚を刺激したと見られている。『自民潰しのラストチャンスと見た小沢が、平成の角福戦争を仕掛ける可能性も高い』と漏らす記者もいるほどなのです」
ちなみに、ここで語られる“角福戦争”とは、'70年代に勃発した佐藤栄作首相の後継を巡る政治抗争。当初は、安倍首相が属する派閥の流れを酌む福田赳夫氏が有力視されていたが、小沢氏の師である田中角栄氏が権謀術数の限りを尽くし、見事首相の座に就いた。今回の小沢氏の動きには、この抗争を髣髴させる“遠大な策謀”が渦巻いているともっぱらなのである。
実際、本誌が独自にキャッチした小沢氏の蠢動ぶりは、まさに電光石火ともいえるほど。5月17日に行われた大阪都構想の住民投票の翌日には、なんと民主党出身の維新の党議員と極秘会食。橋下市長の政界引退表明で、自民党との連携が御破算となったばかりの同党に、いきなり手を突っ込んでいるのだ。
「さらに、5月27日には都内で同党の松野頼久新代表と極秘会談し、野党結集に向けた方策を膝を突き合わせて話し合ったと言われている。また、その前日には生活の党と山本太郎となかまたちの定例会見で、『このままだと自公には勝てない』『濃淡は別にして力を合わせなければならない!』と豪語。29日の昼には民主党の岡田克也代表とも会談に及んで野党連合の話を持ち掛け、秋に行われる岩手県知事選での連携を呼びかけているほどなのです」(前同)
また、いち早く野党結集に傾き、小沢氏をその指南役に定めたと見られる維新の党の松野氏もこれに同調。その動きが、風雲急の勢いを見せているという。
「松野は24日に地元・熊本での会見で『年内に100人規模の野党勢力の結集を目指す!』と宣言。さらに小沢と極秘会談に及んだ27日には、『来年の参院選に向けきちんとした体制を作る』と新党設立をもにおわせ、記者団を慌てさせた。後でわかったことだが、松野はこの日の夜に民主党の前原誠司元代表と会食。新党結成含みの野党再編案を伝えていたという。さらに翌日には維新の党の柿沢未途幹事長、馬場伸幸国対委員長らと共に民主党の松本剛明元外相、松原仁元国対委員長、みんなの党の浅尾慶一郎元代表らと会食に及んでいる。この松野の八面六臂の動きを裏で操っているのは明らかに小沢で、角福戦争時の田中角栄氏の権謀術数ぶりに酷似していると評判なのです」(野党担当政治部記者)
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角福代理戦争 小沢一郎「壊し屋」最後の大仕事(2)
http://wjn.jp/article/detail/2510910/
週刊実話 2015年6月18日 特大号
自民内部にも分裂の兆し
この動きを見ただけでも、いかに小沢氏が大阪都構想消滅後に活発な動きを見せ始めたかがわかろうというものだが、気になるのはなぜ今、同氏が息を吹き返したのかという点だろう。そこには「政界の壊し屋」と恐れられた、小沢氏一流の勝算が渦巻いているのである。
小沢氏とも近い民主党関係者がこう明かす。
「奇しくも松野が『年内に100人規模の野党勢力』と発言したが、これを言わせた小沢氏の頭にあるのは、昨年暮れの衆院選で民主、維新の党、生活が獲得した比例獲得票数なのです。自民党はこの時に比例で約1766万票を獲得。一方、野党3党は合計で約1919万票を獲得しており、結集すれば来夏の参院選で自民党を上回る比例議席数を獲得できる。つまり、参院で与野党逆転のねじれ現象を引き起こす可能性も少なくないのです」
だが、そうは言っても自公は衆院の475議席中、327議席(うち自民党292議席)を保有し、参院でも242議席中、135議席(同115議席)もの膨大な議席数を占めている。これをひっくり返すのは並大抵のことではないはずだが、そこに小沢氏特有の秘策が潜んでいるというのである。
「安全保障法案に理解を示していた橋下が自爆したことで、安倍首相は孤立無援の状態。その慌てぶりが品のないヤジに繋がっていることは明らかだが、これがデタラメな戦争法案であることを追及できれば、政権支持率は急落すると小沢氏は見ている。そのため、国会論戦で自民をガタガタにし、野党共闘で参院選に勝利して政権奪還を狙っていくつもりなのです」(同)
実際、安全保障法案における安倍政権の迷走ぶりは、各メディアの世論調査にも如実に現れだしており、朝日新聞の調査では「今国会中の成立は必要ない」と答えた者が6割を占めたほど。この状態が続けば、早晩政権支持率が地盤沈下を招く可能性も否めないのだ。
「そのため、小沢氏は法案の成立を急ぐ安倍政権が論戦を打ち切り、強行採決に出る前に野党連合として法案の撤回要求を突き付けようと画策している。また、自民党がこれを拒否した場合には、一括審議されている11の安全保障法関連法案の分割審議を要求。法案ごとに小委員会を設けることを訴えるつもりなのです。これが実現すれば審議に膨大な時間が掛かり、廃案となるのは確実な上に、世論が大きく動く。野党復活の機運が生まれるのです」(小沢氏に近い議員)
もっとも、小沢氏にとって好都合なのは、橋下氏の自爆で自民党内にも安倍1強政治に反発の動きが出始めていること。今や安倍首相は、総じて“内憂外患”の危機に陥りだしているのである。
「その筆頭が5月7日に自民党の若手議員27人が立ち上げた『過去を学び、分厚い保守政治を目指す若手議員の会』(代表発起人・武井俊輔衆院議員)です。この組織は『修正主義的な過剰なナショナリズムを廃し、広範な保守政治を構築すること』を謳っているが、これはまさしく、右傾化する安倍政権の暴走を止めることを目的とした組織。そのため、2回目の会合では講師に招かれた作家の浅田次郎氏が、『戦後70年の総理談話に、侵略の文字を入れるべき!』と過激発言をしたほど。また、同組織の裏には古賀誠元幹事長がいると見られ、今秋の自民党総裁選に野田聖子前総務会長を担ぎ出すとの噂が絶えないのです」(自民党議員)
また、前出の政治部記者がこう話す。
「この5月には、二階俊博総務会長が3000人を引き連れ訪中、習近平国家主席と対談に及ぶ派手なパフォーマンスを見せた。だが、安倍首相が理解を示していた都構想や、中国主導のアジアインフラ投資銀行に政府が不参加を表明したことに猛反発を見せていたのは二階自身。総裁選に安倍支持を打ち出す一方で、石原派をはじめとする複数派閥の結集を模索している。これらが合流し反安倍の御旗を掲げれば、安倍総裁再任の芽も吹き飛ぶ可能性がある。小沢にとっては、この内部分裂はまさに好都合と言えるのです」
果たして、“平成の角福戦争”はどんな結末を見せるのか。しばらく、永田町の動きから目が離せない状態が続きそうだ。
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