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2015年06月13日
現在の「維新の党」が如何なる政党なのか、まともに答えられる人は、天才か大嘘つきだろうが、99%嘘つきだと考えて良い。現在は代表を退いているが(現代表は松野頼久)、大阪維新の会の代表を務めている橋下徹の下、烏合化して、性格が不明な政党になっている。現在、民主党に次ぐ第二の野党の位置を占めているのだが、当該政党はあまりに紆余曲折と離合集散を繰り返したことで、国民の多くが、その性格を掴みかねているのが現実なのだろう。一応党綱領があるので、そこから性格を推し量ろうとしても、どうも困難がつきまとう。綱領の冒頭にあるように「『保守対リベラル』を越えた政治を目標とする」という文言があるが、『保守対リベラル』を越えているのは、自民党も民主党も同様なので、特色とは言えない。
維新の党の基本政策 基本政策の第一に「憲法改正による統治機構改革」を掲げ、具体的には会計制度や会計基準の変更、予算編成プロセスの改革、憲法67条改正による首相公選制の導入、憲法96条の改正要件柔軟化などを掲げている。また、道州制の導入、安全保障政策の主軸としての日米同盟堅持、特定秘密保護法の見直し、持続可能な社会保障制度改革の実現、教育行政に対する権限を地方自治体に移譲する教育制度改革などを掲げている。
■維新の党公式ウェブサイト内の「基本政策」による。
1、憲法改正による統治機構改革
・会計制度改革、予算編成プロセスの改革
・憲法67条改正による首相公選制導入
・憲法96条改正による憲法改正要件の柔軟化
2、規制改革の断行を柱とする成長戦略、「小さな行政機構」の実現 道州制の導入
3、市場メカニズムを通じた「原発フェードアウト」と「自然エネルギー立国」
4、集団的自衛権の検討を含む「自衛権」行使の範囲の適正化と法整備、「ソフトパワー外交」の積極的 展開
5、少子高齢化に対応できる持続可能で受益と負担を明確化した「社会保障制度改革」
6、教育行政に対する責任体制を明確にする「教育制度改革」 ・教育行政に対する権限を地方自治体に移譲
7、被災地主導の「震災復興」と国主導の「原発事故対応」を加速化 以上(Wikipedia引用)となっている。
維新の党の基本政策を見ても、鵺のような基本政策が並び、悪食の「船中八策」の様相が更に悪化したような寄せ集めな基本政策なので、ひと言、出鱈目と言って差し支えはない。しかし、自民党も民主党も似たり寄ったりで、目糞鼻糞の世界に変わりはない。なんとも不幸な国であり、不幸な国民なのであるか、「維新の党」にスポットを当ててみると、日本国民の劣化が、政治の劣化を生み、延いては国の劣化を助長している様相が良く見える。
なにを今さら「維新の党」の話をするかと言えば、ここに来て、一気に自民党補完政党の性格を鮮明にしてきたからだ。先ず皮切りが“派遣法改正”で間抜けな民主党を尻目に、3野党提出法案を完璧に骨抜きにした。次には安保法案成立に関し、「自公+維新」の構図が出来上がり、民維の合従連衡に波紋を投げかけたわけだ。朝日新聞が以下のように報じている。
≪ 維新、安保法案の対案提出へ 自公と修正協議の可能性
維新の党は12日、国会で審議中の安全保障関連法案への対案を今国会に提出する方針を決めた。自民、公明両党との修正協議に発展する可能性がある。維新では安倍政権と協調するか、民主党と連携するかで対立が表面化しており、仮に修正で合意し、法案に賛成することになれば、野党共闘に大きな影響が出そうだ。 維新が提出するのは、@重要影響事態法案(周辺事態法改正案)、武力攻撃事態法改正案など10法案をまとめた一括改正法案への対案Aいつでも自衛隊の海外派遣を可能にする恒久法の国際平和支援法案への対案B維新が独自に作成した準有事(グレーゾーン事態)での自衛隊の対応を定める領域警備法案。今井雅人政調会長は同日の記者会見で「法案3本を用意し、提出して、その対案をもとに議論を深めていきたい」と語った。
@のうち武力攻撃事態法改正案に対しては、中東・ホルムズ海峡での停戦前の機雷除去について「経済的な理由のみで自衛権を行使できない」との内容を検討。Aの国際平和支援法案では、他国軍への後方支援で弾薬の提供禁止を盛り込むことなどを検討している。
維新は今国会で労働者派遣法改正案の衆院採決を容認し、安倍政権に事実上協力。民主などと共同提出していた「同一労働・同一賃金」推進法案についても、橋下徹最高顧問(大阪市長)に近い大阪選出議員が主導して与党と独自に修正協議をした。
維新は安保関連法案でも、与党と修正協議をして賛成する可能性も出てきた。維新の足立康史政調副会長(比例近畿)は12日、法案を審議する衆院特別委員会で「与党と維新の党で議論を深めたい」と述べた。 維新の前身の日本維新の会も2013年、特定秘密保護法案をめぐり、与党との修正協議に応じた経緯がある。 ≫(朝日新聞デジタル:藤原慎一)
こうなってしまうと、民主の岡田は間抜けな外様大名みたいに見えてくるが、抵抗するだけの理論は持ち合わせているだろうが、根性を持ち合わせているとは思えないので、あっさりと、安倍戦争国家法は成立してしまうかもしれない。まあ、上述の「維新の党」基本政策には原則的に則っている面があるので、滅茶苦茶だと罵るものでもない。ここが中々巧妙だとも言える。こうなって、手品のタネを見せつけられると、やっぱり「自民補完政党」だったなあ、と思うのだ。このような展開で、民主が維新との連携を深めるのであれば、それは民主党も自民党補完政党になってしまう可能性があるのだから、フザケタ世界だ(笑)。
橋下が政治の世界に飛び込んできた時から言われていた「自民補完政党」を狙っているに違いないと云う話題だった。「みんなの党」と云うのがあったが、これも「自民補完政党」と言われたものだった。今では「みんなの党」所属の議員の多くが「結いの党」から、「維新の党」の設立に参加した。党の代表は松野頼久(日本新党)、幹事長が柿沢未途(みんなの党)、参議員会長が片山虎之助(自民党)になっている。彼らの政治経歴は、括弧内の議員活動スタート時の政党を参照してみれば判るが、片山を除けば政治経歴は曖昧模糊としている。
ここで、2006年辺りの日本の永田町を思い出してみよう。野党民主党は、前原と云う口先男が「堀江メール事件」で代表を辞任、小沢一郎が火中の栗を拾うかたちで代表に就任した。ここから、日本政治は大きく動いた。代表は小沢一郎、党代表代行に菅直人、幹事長に鳩山由紀夫と云うトロイカ体制で、政権奪取に驀進した。2006年、メール事件で民主党に逆風が吹く中で行われた衆議院千葉7区補欠選挙で、小沢チルドレンと言われた太田和美が僅差ながら、自民党候補を破って当選した。そして、2007年、統一地方選で達増拓也を岩手県知事に当選させ、道府県議員も三倍増に近い当選者を出した。同じく2007年の参議院選において、小沢民主党は60議席を獲得、参議院第1党となり、野党全体(共産党を含む)で過半数を得て、衆参ねじれを起させた。
この小沢民主党の流れを止めることは、日米の構造的利益集団にとって、戦後最大の政治課題になった事は間違いがない。小沢や鳩山が考えている以上に、戦後の日米権益構造と共に繁栄した、あらゆる勢力が危機感を抱いた。この時(2007年)、チンピラタレント弁護士・橋下徹が流星の如く作られた。先ずは手始めに日本テレビ系全国ネット『行列のできる法律相談所』にレギュラー出演するようになる。これが橋下徹と云う人物の仕込み時期だ。そして、2007年大阪府知事選挙に出馬を表明。翌年1月、政治家として脚光を浴びる存在になった。
今夜はもう疲れたので、この辺でコラムは終わらせるが、結論だけを言うが、この2006年以降の政治の流れを丁寧に追いかけて行けば、小沢民主が政権を握る見通しになった時点で、戦後の日米権益構造の中でヌクヌク利益を享受していた勢力と宗主国アメリカが、現在に至るようなシナリオを描いた確率はかなり高い。誤算を言えば、おそらく、歴史修正主義者の安倍晋三が総理に選ばれるとは宗主国の計算違いだったと、ニヤニヤ笑いながら想像してみた。
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