108. 2015年6月19日 07:11:50
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>第2章 金 融○IMF:金融を武力に世界制覇を狙う多国籍企業の実働部隊。 ○構造調整プログラム:債務国に融資条件として強要される市場原理主義改革。 ○エコノミックヒットマン:多国籍企業が編成する小泉内閣などの経済傭兵集団。 ○投資の自由化:外国人による企業買収の簡易化を目的として資本規制を撤廃すること。 ○労働者派遣法改正:外国人投資家の利潤のため日本人労働者を奴隷化する方便。 ○時価会計制度:資産評価が引き起こす株安により、外国人がそれを底値で取得する制度。 ○ゼロ金利政策:約200兆円の預金者金利を銀行の利益に付け替えること ○外貨準備金:米国債など日本国が所有する自由決裁権のない100兆円規模のドル建資産。 ○アジア通貨危機:タイや韓国などの企業資産を買い叩くため投資グループが仕掛けた擾乱。 ○構造的暴力:IMFや世界銀行の途上国支配により、戦争を上回る死者が発生する現象。 ○日銀、金融庁:ゴールドマン・サックス、JPモルガンなどと相互浸透する行政システム。 ○外国人持ち株比率:20年前の15倍に達するなど、経済侵略のメルクマール(指標)。 25 タルムード(ユダヤ経典)の言葉 汝らは人類であるが、世界の他の国民は人類にあらずして獣類である。
〜IMF(国際通貨基金)と世界銀行が掲げる「世界経済の安定と成長」という当初目的は形骸化し、存在そのものがグローバル企業の支配ツールと化しているとの批判が高まっている。ユ二セフの統計によると、貧困を原因とする栄養不足や衛生悪化により年間平均1400万人の児童が死亡しているが、そのうちIMFや世界銀行の構造調整プログラム(融資条件として、債務国に福祉・教育・医療の切り捨てを迫る)の影響で死亡する児童は600万人に達するという。この数は紛争による年間死亡者数の12倍に達することから、金融勢力による途上国支配がもたらした構造的暴力であるとする見方が強い。 26 二宮厚美(神戸大学教授) 新自由主義は階級権力の再構築に向けた支配階級の戦略的プロジェクトである。 〜IMF出資国は『市場化と民主化が各国を発展させる」というスローガンを掲げていたが、融資条件に従い改革を行なった途上国社会は悲惨を極めている。世界人口65億人に占める貧困者の割合は1981年当時36%だったが、2000年には40%を突破し、特にアフリカ地域の貧困者は1億6400万人から3億1600万人まで増加。またILO(国際労働機関)のレポートによると、この間において南アジア、北米、EUを除く全地域で失業率が上昇し、格差が拡大傾向にある地域に住む人口は59%、対し縮小傾向にある地域に住む人口はわずか5%にとどまった。 27 トーマスージェファーソン(米国第3代大統領) 金融機関は常備軍より危険である。 〜財政破綻した国にはIMFや世界銀行が乗り込み、融資条件として「構造調整プログラム」の実施を求めるという制式であり、これによって多国籍企業が国家主権を掌握し、外国資本により国民が奴隷化するという仕組みだ。チリ、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、ポリビア、ウルグアイ、メキシコなど、いずれもこのスキームによって暴虐がつくされているのだが、侵略のプロセスにおいては米国と軍事政権が連携し、言論人、左派、共産主義者、活動家などを数十万人規模で拘束、拷問、殺害するなど壮絶な暴力が同期した。 28 ジョルジュ・デュアメル(フランスの作家) 国家は、あらゆる立派な職業から弾き出された屑(クズ)によって統治されている。 〜世界支配のスキームは極めてシンプルであり、国際金融が破綻国家に対し国家主権の委譲を要求する、あるいは米国が傀儡政権を樹立し実質支配の下に国内法を改正する。抑制された社会支出は国庫に集約されるのではなく、各種の優遇税制により多国籍企業へ付与される仕組みだ。日本国が後者の形態に属すことは語るまでもなく、小泉政権以降の政策が国益ではなく、多国籍企業の利潤を目的化していることは明らかだろう。 29 ヨゼフ・ゲッベルス(ナチス・ドイツ宣伝相) 語るまでもなくプロパガンダには目的がある。しかしこの目的は抜け目なく覆い隠されていなければならない。 〜小泉政権を契機に「構造改革」が実践されたのだが、「構造改革」とはもともとIMFが債務国に求める返済計画を意味したイディオム(慣用句)なのであり、社会保障費の削減、労働規制の撤廃、投資の自由化(企業買収の簡易化)をプログラムの支柱とし、すなわちフリードマン型経済(市場原理主義)の導入そのものであるわけだ。あらためて小泉内閣とはグローバリストによって編成された経済傭兵集団であり、国民資産あるいは労働者賃金を搾取・集約し譲渡することがミッションであったといえるだろう。 30 福井俊彦(元日銀総裁)失業率は8%を目指すべきだ。 〜小泉内閣が推進する過激な市場原理主義により倒産が激増し、失業率はそれ以前の2倍となる5%台に達した。その最中、日銀トップである福井俊彦氏がゴールドマン・サックスに再就職を果たし、金融庁OBがJPモルガン、モルガン・スタンレー、KPMGに天下り莫大な報酬を得るなど、構造改革は欺瞞を明示する。さらには米国債が1年足らずで70%も積み増しされ、米国に供出された円は東証株の制圧資金へ転化されたのだから、行政中枢と侵略集団は相互浸透しているのであり、国家機能は形骸化していると考えるべきだろう。 31 ビル・クリントン(米国第42代大統領) 我々は世界人口の4%を占めているに過ぎないが、世界の富の22%を必要としている。 〜構造改革にともない「投資の自由化」が推進され、三角合併、持株会社、減損会計など聞きなれない制度が施行されたのだが、目的は外国人による日本企業買収の規制撤廃に他ならない。いまや株式市場の75%以上が外資による取引であり、外国人の持ち株比率は20年前の15倍に達しているのであり、すでに日本の経済的イニシアティブ(主導権)が解体されているに等しい。現在日本国が推進する市場原理主義の政策群は、90年代にクリントン政権が策定した金融を主体とするヘゲモニープロジェクト(覇権戦略)なのだから、我々は完全に略奪のプロット(策謀)に取り込まれているのだと思う。 32 ルイス・パシュート(最年少・最高額の金融詐欺により逮捕された米国の証券ブローカー)金ももらえないのに、盗みや詐欺に手を貸す馬鹿がどこにいる? 〜外国人ファンドによる対日投資のパフォーマンスは、日系ファンドによる対米投資より200%も上回っているとおり、この国の統治者は国民経済の発展よりも外国人の利回りを命題化しているのであり、あらゆる制度改革は売国によるインセンティブ(成果報酬)の対価として構造化されている。貧困は2003年の「労働者派遣法改正」によって加速され、年収200万円以下の勤労者は1000万人を超えたのだが、労働規制撤廃の本質が多国籍企業化した経団連グループの利益最大化であり、すなわち日本人労働者の奴隷(非正規)化により利潤増殖を目論む外国人の謀略であった。 33 ゲーリー・ワイス(米国の作家) 誰もが得をするーーそんなバカな話があるはずもない。金には必ず出どころがある。 〜2002年から推進される民営化、社会保障費削減、消費税率の引き上げなど構造改革の核心は、IMFが破綻国家に対して要求する「構造調整プログラム」のコンディショナリティ(政策勧告)そのものだ。国債を保有するメガバンクや市中銀行の外資比率が40%に迫ると推定されることから、一連の政策はデフオルト(債務不履行)を危惧する外国人投資家の意向を反映したリスクヘッジ(危機回避)であるとの見方が強い。すでにゼロ金利政策によって約200兆円の預金者金利が銀行の利益に付け替えられているのだが、それはつまり金融機関優遇であると同時に、国債の保有に対するインセンティブ(報酬)でもあるわけだ。財政規律の腐敗によって国家は外国に干渉され、国民は高額な税負担、預金金利逸失、福祉の後退という三重の負担を強いられている。 34 ジョセフ・ステグリッツ(米国の経済学者) 民営化は富の創出ではなく資産の収奪をもたらした。 〜2009年には日本郵政の所有する「かんぽの宿」70施設(土地取得費295億円、建物費2107億円)が、109億円でオリックス(外資比率約70%)へ払い下げられた。日本郵政は会計基準から算出した妥当な額であると説明したが、オリックスの宮内義彦氏が郵政民営化の推進会議長を務めていたことから、民営化そのものが利益誘導であり、国民 資産の略奪であると批判が高まる。小泉政権下における不合理な企業資産や公共資産の売却が、世銀やIMF監督下における途上国支配の手法と酷似していることから、政権そのものが多国籍企業により編成されたと捉えるべきだろう。 35 内橋克人(経済評論家) 資本移動の自由、国内産業の開放、内外資本の無差別待遇などは外資性善説である。 〜2003年、企業群は時価会計制度によって毀損した大量の株式を放出したところ、小泉政権前には1万4500円台だった株価は9000円を割り込むほど大幅に下落、底値に達したところで外資が株式の過半数取得を達成し、グローバル資本による日本企業支配が絶対化した。また、これに前後し外為特別会計は米国債を単年で70%以上も積み増しているのだが、合衆国財務省は調達した円を自国のファンドヘ還流し、東証株買い取りの原資に充当したという見方が強い。 36 ウォールストリート・ジャーナル(米国の大衆紙) 郵政民営化法案は廃案となったが、時期が延びたに過ぎない。少し待つだけで、我々は3兆ドルを手中に収めることができる。 〜竹中平蔵が主導する改革によって、2000年に経営破綻した日本長期信用銀行へ3.6兆円、日本債権信用銀行へ3.2兆円の公的資金が投入された。その後リップルウッド社は僅か10億円で日本長期信用銀行を取得、さらにソフトバンクが日本債権信用銀行を500億円で取得し、サーベラス社へ1000億円で転売した。瑕疵担保特約(取得した金融機関が保有する債権が劣化した場合、それを公的資金で補填する)により新生銀行(長銀の後身)が預金保険機構に買い取らせた債権は9000億円を上回り、さらに7兆円規模の融資残高を僅か3年で50%も圧縮したため、貸し剥がしは市中銀行にまで波及し、中小企業の倒産が相次いだ。 37 アール・バッツ(元米国農務長官) 日本を脅したいのなら、穀物の輸出を止めればいい。 〜2012年、日本が保有する米国債など外貨準備金の為替損失は、復興予算の2倍を上回る50兆円に達した。その前年には原発事故の深刻な汚染実態が顕在化する中、為替介入資金として195兆円を計上し、さらにIMFの資金基盤強化のため10兆円を拠出している。これに対し、東日本大震災の被災者の70%以上が再就職できない状態にもかかわらず失業給付を打ち切るなど、社会資本配分は完全に機能不全だ。国益に反した意思決定を繰り返す事由は、今なお占領統治が継続されている証左であるのだが、今後はTPPの加盟により食糧供給を機略としてさらに外圧が高まるのは必至だろう。 38 ステファン・レクトシャッフェン(米国の内科医) どんな文化においても、圧制者というものは、まず支配される側の時間の価値を下げることから始める。 〜グローバル規準を主導する米国もまた、激しい衰退セクターにある。2010年に実施された国勢調査局の報告によると、貧困者数(年間所得が4人世帯で2万1954ドル以下)は4360万人で1959年の調査開始以来最多となり、総人口に対する貧困率は14・3%とワーストを記録した。これは非正規化が推進され、パートタイムなどの不安定雇用が蔓延したことが原因だ。日本国においては「雇用の柔軟化」という名目で2000万人規模の労働者が非正規に置換され、民族が誇る一億中流社会は、構造改革から僅か7年余で米国型の格差社会に没落した。 39 ミルトン・フリードマン(米国の経済学者) 危機のみが真の変化をもたらす。危機が起きれば、現在ある政策の代替を提案し、政治的に不可能であったことを、政治的に不可避なことにしてしまう。 〜1997年、ヘッジファンドの空売りによりバーツが暴落、通貨危機はタイからアジア各国に広がり被害をもたらした。急激なウォン安は韓国経済に壊滅的な打撃を与え、先行きの不安からソウル証券所の株価は史上最大の下げ幅を記録。ムーディーズは国債の格付けをA1からA3、さらにBaa2まで引き下げ、韓国はデフォルト寸前まで追い込まれる。同年11月、IMFは支援を決定し、構造改革プログラムとともに韓国経済の解体が始まった。 40 スカルノ(インドネシア初代大統領) IMFと世界銀行は多国籍企業の利益代弁者である。 〜IMFは韓国に対し融資条件として「改革」を迫り、貿易補助金の廃止、輸入ライセンス規制の廃止、資本勘定の自由化、WTOへの準拠、輸入多様化プログラムの廃止、外資による国内銀行の株式取得の規制緩和、外国人投資家による金融商品購入の全面解禁、社債市場における外国投資の全面解禁、外国からの融資規制撤廃、特定企業に対する補助金と減税の禁止、公的企業9社の民営化、金融機関のリストラ、雇用規制撤廃などを求めた。金融支援と引き換えに国家主権が委譲され、韓国社会は植民地の様相を呈し、朝鮮戦争以来となる危機に直面する。 41 ジョージ・ブッシュ(米国第43代大統領) 私は皆様方のような富裕層のために働くのです。 〜韓国の銀行は33行から18行へ統合され、従業員の約40%を解雇、これによる失業者は5万人規模に膨れ上がる。さらに外資比率が撤廃され、金融システムは完全に欧米系金融の傘下に組み込まれた。1997から2005年における主要銀行の資本推移は次のとおりだ。 国民銀行・・・外資比率:41%→85%(主要株主:Bank of New York l5%)、 ハナ銀行・・・外資比率:21%→72%(主要株主:ゴールドマンサックス9%)、 韓国外韓銀行・・・外資比率:2.7%→74%(主要株主:ローンスター50%)、 韓美銀行・・・外資比率:29%→99%(主要株主:シティグループ99%)、 第一銀行・・・外資比率:0.1%→100%(主要株主:スタンダード・チャータード100%)。 42 ボブ・ジェソップ(イギリスの社会学者) 新自由主義とは経済グローバル化のヘゲモニー的戦略である。 〜98年には財閥解体が着手され、起亜、双龍、大字、三星などのグループは事業単位で売却となり、約半数が消滅する。これにより現代が気亜グループを、ダイムラーが双龍グループを、GMが大字グループを、ルノーが三星グループを取得。さらに主要企業の買収が相次ぎ、その結果、サムスン・・・外資比率60%、LG・・・外資比率50%、ボスコ・・・外資比率58%、現代自動車・・・外資比率49%、SKテレコム・・・外資比率55%に達するなど、多国籍企業による経済支配が進捗した。 43 アドルフ・ヒトラー(ナチス・ドイツ総統) 老人が多く自殺する国は滅ぶ。
〜IMFが推進した政策により対韓国投資は200億ドル規模にまで膨張したが、労働市場の改革とともに年功序列賃金や終身雇用制度は廃止された。これにより相対貧困率はOECD加盟国中6位、高齢者の貧困率は45%まで悪化し1位となる。またIMFの改革プログラムに同期して韓国の自殺率は急上昇し、2010年のWHO統計ではOECD加盟国中1位を記録した。 ・・・・・・・響堂雪乃著 「略奪者のロジック」より
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