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「中谷元・防衛相」が「中谷・元防衛相」になる日
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2015.06.08 きっこのブログ
6月4日の衆議院憲法審査会に参考人として招致された3人の憲法学者が、安倍政権が強行している安保関連法案について、全員そろって「憲法違反」であると明言した。この3人とは、自民党と公明党、次世代の党が推薦した長谷部恭男・早稲田大学法学学術院教授、民主党が推薦した小林節・慶応大名誉教授、維新の党が推薦した笹田栄司・早稲田大教授で、3人とも日本を代表する憲法学者だ。
野党が推薦した参考人が「憲法違反」だと言ったのなら当たり前のことだけど、与党である自民党が推薦した参考人までもが「憲法違反」だと明言したのだから、この言葉は重いだろう。それも、自民党が推薦した長谷部教授は、「集団的自衛権の行使容認は従来の政府見解の基本的枠組みでは説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがす」「外国軍隊の武力行使と一体化する恐れが極めて強い」とし、安倍政権の推し進める安保法制の「違憲性」と「危険性」を重ねて指摘したのだ。
これに対して、菅義偉官房長官は、この日の午後の会見で、「(憲法学者らの)違憲であるとの指摘はあたらない。法的安定性や論理的整合性は確保されている。まったく違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」と反論した。でも、それなら、何で「まったく違憲でない」という憲法学者を参考人に呼ばなかったのだろうか?自民党の二階俊博総務会長は「完全に人選ミスだ」と言ったけど、参考人の1人として国会に招致された小林節・慶應義塾大学名誉教授は、菅官房長官の発言に対して、「日本の憲法学者は何百人もいるが、(違憲ではないと言うのは)2、3人。(違憲と見るのが)学説上の常識であり歴史的常識だ」とコメントした。
文化放送の鈴木敏夫デスクも、6月6日の『親父・熱愛』の中でこの問題に触れ、「安倍政権の集団的自衛権について、きちんと科学的に検証している憲法学者は大半が『憲法違反だ』と言っています。『合憲だ』と言っているのは安倍さんの周りにいる一部の憲法学者だけです。彼らは思想的な憲法学者で発言に説得力がありませんから、国会に招致したらすぐにバケの皮が剥がれてしまいます」と、モットモな解説をしていた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、自分たちが推薦した参考人に「安倍政権の集団的自衛権は憲法違反」だと明言されてしまうという前代未聞のオウンゴールを炸裂させちゃった安倍政権だけど、このあまりにもお粗末なボヤ騒ぎに、消火器を持って駆け付けたのが中谷元・防衛相兼安全保障法制相だ。翌5日の衆議院特別委員会で、中谷元・防衛相は「集団的自衛権の行使容認は、これまでの憲法9条をめぐる議論との整合性を考慮したもので、行政府としての憲法の解釈の範囲内であって憲法違反にならない」と苦しい反論をした。
だけど、すぐに民主党の辻元清美議員に「中谷大臣もこれまでは3人の参考人と同じことを言って来たじゃないですか!」と鋭いツッコミを入れられ、タジタジとしちゃった。以下、6月5日の辻元清美議員の質疑と中谷元・防衛相の答弁だ。
辻元清美議員 「この法案(安保関連法案)に反対している人が世論調査で半数以上いらっしゃる、この事実はご存知ですね?そして、その中の中核的な意見が「憲法9条に違反しているのではないか」というもの。一方で、憲法学者や研究者の方々も200名近くが反対の声明を挙げ、今どんどんその数も増えている。そして、憲法審査会に呼ばれた日本でも権威のある参考人3人が口をそろえて自衛隊は違憲だと言っている。そんな法案にのっとって、この宣誓「日本国憲法及び法令を遵守し」とありますが、この法案の根幹がいま揺らいでいるわけですよ。違憲かもしれない、または違憲であると、そんな状況で政府だけが合憲だと言っている。そんな中で、命を懸けて戦えだとか、他国のために戦えだとか、そんなことが言えますか?私は昨日の憲法審査会や3名の憲法学者の「違憲である」との発言を受けて、政府は一度この法案を撤回すべきだと思っております。いかがでしょうか?」
中谷元・防衛相 「政府としましても様々な角度からご意見をいただいております。また現実に安保法制懇談会という非常に著名な方々に参画いただき、ご意見をいただきました。また、その後は政府としては、国民の命と平和な暮らしを守って行くために、この安全保障法制はどうあるべきか、これはこの国にとって非常に大事なことでありますので、与党でこういった観点でご議論いただき、現在の憲法、これをいかにこの法案に適用させて行けばいいのかという議論を踏まえた上で閣議決定を行ったのであります。多くの識者のご意見を聞きながら、真剣に検討して決定をしたということであります」
辻元議員 「私は中谷大臣が憲法調査会から一連の場で発言しているのを覚えております。「憲法9条は改正が必要である」と、この意見をずっと述べられておりました。ですよね?こういう意見を中谷大臣は言っておられます。これは中谷大臣のご著書です。『右でも左でもない政治/リベラルの旗』という中谷さんのご著書の中で、「憲法の拡大解釈は限界に達している」という章で、こうおっしゃっています。「現在各政党で憲法改正に関する議論が行われている。憲法を改正するかどうかは、改正をしなくとも解釈の変更を行うべきだとの議論があるが、私は現在の憲法の解釈変更はすべきではないと考えている。憲法の拡大解釈は限界に達しており、これ以上に拡げてしまうとこれまでの国会での議論はなんだったのか、ということになり、憲法の信頼性が問われることになる」素晴らしい意見をおっしゃっているじゃないですか。では、当時のことをお聞きします。中谷大臣は憲法調査会をはじめとする委員会にいたわけですから、当時なぜ「憲法の拡大解釈は限界を越えている。これ以上解釈の幅を拡げてはならない。憲法の信頼性が問われることとなる」とおっしゃったのか、その根拠を教えてください」
中谷防衛相 「当時はいわゆる集団的自衛権というものに定義がありまして、国際的な集団自衛権というものに関しては憲法を改正する必要があるという認識をずっとしておりました。この件はずっと自民党内でもこういった主張をしておりました。自民党の中には、いやいや集団的自衛権は憲法で容認されるという方もおられました。ここ2、3年、自民党で真剣な議論を交わしまして、自民党でマニュフェストを作る際に、憲法と安全保障法制をどう考えていくかという中で、このような現在の論理の帰結となりました。従来の憲法の基本的論理を維持した中で、時代の変化を踏まえ、安全保障の環境が客観的に大きく変化しておりますので、従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分留保した上で現在の論理を維持したまま、国民の命と幸福な暮らしを守るために、合理的な当てはめを導いた結果であります。他国を防衛するための集団的自衛権ではなく、あくまでも我が国の存立を脅かし、我が国を根底から覆される明白な危険がある事態に限定して、この集団的自衛権も容認できるという結論にいたりました。この間、2、3年、真剣に議論をしてまいりましたし、与党のなかでもこういう考えを議論しまして、私のなかではこういった部分におきましては現在の日本国憲法のなかでは容認される部分であると、理解したわけであります。ですから、私の当時の考え方は、他国を守ることも含めた集団的自衛権は、憲法の改正が必要という認識していたわけであります」
‥‥そんなワケで、辻元議員が取り上げたのは、中谷大臣が2007年に刊行した著書『右でも左でもない政治/リベラルの旗』(幻冬舎)の中に書かれている集団的自衛権に関する記述の部分だけど、「憲法の拡大解釈は限界に達している」という章まで作って書いているのだから、防衛大学から自衛隊へ進み、小泉政権では史上最年少で防衛庁長官に抜擢された中谷大臣としては、この本を書いた時点では、まだ「部下たちを憲法に違反する任務に就かせたくない」という最低限の「人の心」を持ち合せていたのだろう。
でも、安倍晋三首相や石破茂大臣のような「現場を知らない人たち」とは違って、自衛隊員としての実績を持つ中谷大臣だから、この「憲法の拡大解釈は限界に達している」という考えは一貫していた。わずか2年前にも、雑誌『ニューリーダー』の2013年8月号に掲載された「なぜいま憲法改正なのか リミットまできている集団的自衛権問題 明確なデザインとシナリオを提示できるか」という塩田潮氏との対談の中で、中谷大臣は次のように述べている。
「政治家として解釈のテクニックで騙したくない。自分が閣僚として「集団的自衛権は行使できない」と言った以上は、「本当はできる」とは言えません。そこは(きちんと改憲して)条文を変えないと‥‥」
20年も30年も前の発言なら、その間に日本の置かれている状況も変化するだろうし、考え方が変わることも理解できる。しかし、この中谷大臣の発言はわずか2年前なのだ。2年前に「集団的自衛権を行使できるようにするのなら憲法を改正して条文を変えなければならない」と明言していた人物が、自分が防衛大臣に抜擢され、安全保障法制大臣も兼務させられたトタンに、手のひらを返したように正反対のことを言い出したのだ。
これまで一貫して「これ以上の解釈変更は限界」「改憲せずに解釈変更だけで集団的自衛権を行使するのは無理」と主張し続けて来た中谷大臣なのだから、普通に考えたら、今も考えは変わっていないはずだ。つまり、本心では安倍政権の安保法制案に「無理がありすぎる」と思っているのにも関わらず、防衛大臣に抜擢された千載一遇のタナボタ・チャンスを手放したくないという私利私欲によって、多くの自衛官の命を危険に晒す「戦争法案」などに賛成のフリを演じているのだ。何という恥知らずなのだろうか?
そして、辻元議員から厳しくツッコミを入れられ、過去の自身の発言との矛盾を問われた中谷大臣は、とうとうこんな支離滅裂なことを言い出した。
「他国を防衛するための国際的な定義による集団的自衛権と、我が国の存立を脅かし国民の権利を根底から覆される明白な危険がある事態に限った集団的自衛権は違う」
支離滅裂&意味不明、もはや日本語として成立していない。だけど、中谷大臣は、これよりも前に、もっと驚くべき「トンデモ発言」を炸裂させていたのだ。それは、最初の答弁の中の次のセリフだ。
「現在の憲法、これをいかにこの法案に適用させて行けばいいのかという議論を踏まえた上で閣議決定を行ったのであります」
おいおいおいおいおーーーーい!これ、マジで言ってんのか?「憲法」に沿って「法案」を作るのが普通なのに、まずは憲法を無視したトンチンカンな法案を作り、それをトットと閣議決定してしまい、それからそのトンチンカンな法案に「憲法のほうを適用させる」って、おいおいおいおいおーーーーい!
‥‥そんなワケで、あたしは久しぶりに、開いた口からエクトプラズムが流れ出して幽体離脱しちゃいそうになったよ、まったく!憲法を改定せずにデタラメな解釈変更だけで日本を戦争できる国に変える「戦争法案」にも開いた口が塞がらないけど、言うにことかいて「法案のほうに憲法を合わせる」って、こんな狂った話は前代未聞だ。だいたいからして、日本を代表する憲法学者が3人そろって「憲法違反」だと国会で明言したんだから、それを否定するのなら、安倍晋三首相、菅義偉官房長官、中谷元・防衛相の3人は、この3人の憲法学者と公開討論をして、その場で3人の専門家を論破してみろ!‥‥って思った。ま、どっちにして、ここまで支離滅裂で厚顔無恥な中谷元・防衛相は、ピリオドの位置が1つ前にズレて「中谷・元防衛相」になる日も近いと思った今日この頃なのだ。
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<全文>中谷防衛大臣「憲法をいかにこの法案に適用させていけば…」 物議を呼んでいる発言部分を書き起こし(ログミー)
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