http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/338.html
Tweet |
死刑廃止論者で首切り反対論者 亀井静香の「弱者びいき」
http://diamond.jp/articles/-/72738
2015年6月8日 佐高 信 [評論家] ダイヤモンド・オンライン
「大塩平八郎にしても西郷南洲にしても、だいたいちゃんとした人物は殺されている。まともに生きながらえる奴はどこかインチキなんですよ。このままだったら、私もインチキじゃないかと思うよ」
事務所にチェ・ゲバラの肖像を飾っている亀井静香はこう語る。このままでは死ねないということだろう。
■安倍晋三が歯がゆくてしょうがない
安倍晋三を「弟のようにかわいがってきた」という亀井は、安倍が首相になった経緯を、「安倍は、右バネでは総理になれないと思っていたら、なってしまったんです。安倍を総理にすることに一生懸命になったのは、私の子飼いの連中ばかりで、いい奴だし能力もある奴らですが、彼らには経済政策、財政政策、外交政策をきちっとやらせる力はない。だから安倍が総理になって、真空地帯ができてしまった。小泉(純一郎)政権以来、竹中平蔵のような奴らと新自由主義に乗っかった役人が取り囲んでしまった」と分析する。
亀井はそれが歯がゆくてしょうがない。亀井にあって小泉や竹中、そして安倍に決定的に欠けているものは「弱者びいき」である。
沖電気を解雇された田中哲朗がそれを不当として闘っている「ニュース」の1999年2月号に、亀井と田中が並んで写っている写真が載っていて驚いた。
18年間も沖電気の門前に立って、ギターを弾きながら不当を訴えてきた田中のことが同年10月24日付の『朝日新聞』に出て、それを読んだ亀井が田中に会いたいと言ったのだという。田中の記憶に基づく11月1日昼の会見記が「ニュース」に載っている。
亀井 ご苦労さんです。新聞で記事を見て凄いことだと思ってご足労願った。(握手、名刺を2枚くれる)。
田中 お会いできて光栄です。今まで自民党は「自由民主党」という名前しか好きでなかった。これから亀井さんが好きになれれば良いなと思って来た。左眼が失明していて、摘出するかという状態だ。つぶったままの見苦しい状況で失礼する。
亀井 どうしてそうなったか。
田中 眼底出血から、網膜剥離に至った。目は見える間見れば良いし、命はある間生きれば良いと思うことにしている。
亀井 私もこっちの眼(左眼を指す)がほとんど見えない。あなたが一人で頑張っているのを知って感銘を受けた。
以下、興味深いやり取りが続くが省略する。それにしても、いくら感銘を受けたとはいえ、わざわざ田中を呼んで会うとは!
こうした思いもよらない行動をとるところに、亀井らしさがあるのだろう。
■「ハトを守るタカ」の首切り反対論
昨年の6月に和歌山に講演に行った時、帰りに新大阪駅で新幹線に乗ろうとして、バッタリ、亀井に会った。そして、東京までの2時間余りを2人で話してきたのだが、時おり通りかかる人が、「エッ」というような顔で見て行く。
多分、亀井と私の組み合わせが意外なのだろう。それで私は、自民党、社会党、新党さきがけの、いわゆる「自社さ」政権が誕生した時、社会党と会派を組んでいた参議院議員の國弘正雄が、「政治は時に“strange bed fellow”つまり、奇妙な同衾者を生む」と言っていたのを思い出した。
同時通訳者としても名高かった國弘らしい言葉である。
当時、亀井は自らを「ハトを守るタカ」と称していたが、亀井は両面を持っている。
亀井が自民党にいたころは、青嵐会の後を継ぐ国家基本問題同志会などをつくって、タカ派的言動を繰り返していた。それについては私も激しく批判したが、イラク戦争の時には、加藤紘一などと一緒にイラクへの自衛隊派遣を延長しないよう、当時の小泉首相に申し入れたりもしている。
亀井で一番驚くのは、筋金入りの死刑廃止論者であること。廃止を推進する議員連盟の会長として、森山(真弓)法相が続けて死刑を執行した時には、「大臣はすべからく現場に出ることが大切なのだから、どうしても死刑を執行したいなら、それに立ち会え」と言ったという。
この、至極もっともな提案には、彼女は答えられなかったとか。
亀井は2001年秋に、ある雑誌で次のように日本の経営者を批判しているが、残念ながら経営者の質はさらに悪くなっていると言わざるを得ない。
「たとえば日立でも東芝でも大量のリストラをするでしょう。昔から不景気の時でも経営者は歯を食いしばって従業員を解雇しないで、日立一家とか東芝一家とかいって我慢してきた。ところがいまは余剰人員を吐き出すのが構造改革だと言ってリストラする。リストラをすれば株価は上がる、そんな簡単な分析がまかり通っている」
久保田万太郎の「何もかも昔の秋の深きかな」を引いて、“昔”を持ち上げるわけではないが、たとえばトヨタで、かつて大量の首切り(いまどきはリストラという)をやった時、社長の豊田喜一郎は自らの首も切った。
ところが、日立でも東芝でもパナソニックでも、首切りという最も安易な再建策をあたかも自分の手柄のようにして居すわる。鉄面皮も甚だしいと言わなければならない。だから亀井に次のように詰(なじ)られるのである。
「自らニュービジネスを創設して余剰人員を吸収するといった努力をするなら話はわかるが、それもしないで簡単に従業員の首を切って政府に突き出して、失業保険などで面倒をみろというのでは、いくら理想論を言ったって大きな政府にならざるを得ないじゃないか。改革とは逆なことを民間の経営者たちは堂々と“そこのけそこのけお馬が通る”でやっている。それが企業が身軽になるアメリカ的経営であるというんですからね」
正論だろう。しかし、いまはそれが“異論”として脇に押しやられる。亀井発言の中の“民間の経営者”で一番無責任なのが、あるいは銀行のトップかもしれない。亀井の弾劾は続く。
「日本の資本主義はもう死んでいますよ。原始時代に返っているんだ。だって金融がなくなってしまったんだから。金融のない社会というのは原始社会です。貸したり借りたりして経済が動いていなければ資本主義は成り立たない。それが『貸しません』となれば、もう物々交換の経済でしょう」
亀井は死刑廃止論者だけに、その首切り反対論には迫力がある。
ある時、亀井は石原慎太郎に「あなたの小説は、強者の論理で貫かれているから共感を呼ばないんだ」と言ったらしい。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK186掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。