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やさしいこころと経済学
第10章 希望の役割
(10)望ましい未来見据えて
東京大学教授 玄田有史
日本では自分の将来に希望を持っている人が減りつつあるのが現実です。
東京大学社会科学研究所が2007年当時に20〜39歳だった人々に対し継続的に行っている調査があります。毎年「将来の自分の生活・仕事に希望がある」かを尋ねています。自分に希望があると答える割合は07年に55%だったのがその後減り続け、14年には37%まで下がっています。背景には高齢化の進展、孤独な人たちの増加、仕事への関心の低下などが考えられます。
ただ自分に希望が持てないのと裏腹に、希望には別の変化が起こりつつあります。先の調査では「日本社会に希望がある」と感じているかどうかも聞きました。希望があると感じる割合は11年に10%しかなかったのが、14年には23%に増えているのです。
日本社会に希望があると感じているのはどんな人たちでしょうか。東京大学社会科学研究所の有田伸教授の研究では、自民党を支持する人々ほど社会に希望が増したと近年感じています。12年の政権交代は、自民党支持者に希望を感じさせるものでした。
また株を持つ人のほうが、持っていない人より社会への希望を高めています。大幅な金融緩和や円安による業績回復を受け株価が大きく上昇したことで、株の所有者は社会に希望を抱いています。
一方で、気になることがあります。中国への好感度が「低い」人のほうが日本に希望があるとより強く感じているのです。また、中国への好感度はこの数年で大きく低下しています。
社会に希望が広がることは望ましく思えます。しかし外国嫌いな人が増え、近隣諸国との間で取り返しのつかない緊張状態を招くことが、社会や国に対する希望となるような好戦的状況は絶対に避けなければいけません。大事なのはあくまで希望の中身です。社会にとって何が本当に望ましい希望かをみんなで冷静に考え続けることが大切です。
[日経新聞6月1日朝刊P.17]
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