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あと一突きで安倍政権は頓挫する。
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15年06月06日 永田町徒然草
防衛官僚の知識を総動員して作成し、圧倒的な議席を武器に安倍首相が絶対の自信をもって国会に提出した国際平和支援法案・平和安全法制整備法案の行方がおかしくなってきた。そもそも昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定の時から、安倍首相をはじめ自公"合体"政権は憲法9条の中身を実質的に変更するという明白な意図があった。しかし、それはそもそも無理なことであった。
「無理が通れば道理が引っ込む」という。わが国の憲法が戦争や武力行使についてどう規定しているかは、道理の問題である。いろいろな解釈はあり得るが、憲法を改正しなければどうにもできないことがある。憲法をどう読み解くかは、“理”の問題である。その“理”を無視して“無理”〔違憲なこと=絶対にやってはならないこと〕を通そうとしても、憲法に関することだけはそうは往(い)かぬのだ。それは憲法をもった近代国家の仕組みだからである。
安倍首相は、嘘八百やまやかしで言い包(くる)めることに何の抵抗もないようである。私は安倍晋三という人物を初当選のかなり前からそれなりに知っているが、彼には知性というモノを全く感じられなかった。知性がないから、嘘八百を平気で言うことができるのだ。知性がないから、憲法を無視することも平然とできるのだ。これは頭が良いとか悪いとかという問題ではない。知・真理に対する姿勢である。
中国・長江における観光船転覆事故が大きなニュースになっているが、この報道に接した最初から素人の私にも観光船に構造上の問題があると思った。あまりにも重心が高いからである。前号の永田町徒然草「詭弁の固まり:安倍首相」で述べた通り、政治の専門家である私にいわせれば、安倍首相は最初から詭弁で固まったり首相だったのである。しかし、詭弁や嘘八百で、国を治めることはできないのである。
第二次安倍内閣は、発足の時から国民の支持が高かった。しかし、いろんな要因で安倍内閣の支持率は高かったが、実は転覆した観光船のように上げ底だったのである。国を治める信念や実力がある訳ではないのである。ちょっとしたことで躓(つまず)けば、重心が高いので簡単に引っくり返るのである。マスコミに介入し、マスコミを懐柔して、“行け行けドンドン”で何とかうまくいっていたので、調子に乗って今回の安保法制変更の挙に出たのである。
安保法制の問題だけではない。日本年金機構の125万件のデータ流失、労働者派遣法の改悪への懸念、マイナンバー制度に対する不安、一向の上がらない景気・成長戦略への疑問、原発再稼働への突進、拉致問題の膠着、尻尾きりで何とか乗り切ったが古い自民党の体質の露呈。これらが底流にある中で、現在衆議院の特別委員会で審議されている国際平和支援法案・平和安全法制整備法案の危険性を多くの国民が見抜いたのだ。
自民党や公明党の中にも、このままこの法案を強行成立させることに疑念が出始めた。専守防衛というわが国の防衛政策は、いまや国民の絶対的確信なのである。この絶対的確信をわずか国民の4分の1からしか得票していない自民党・公明党で踏み躙ったら、虎の尾を踏む踏むことになる。大丈夫な筈がない。疑心暗鬼はあっという間に両党を襲う。いまこの綱引の正念場なのである。野党も国民も、突きまくれ。あと一突きで安倍政権は必ず頓挫する。
それでは、また。
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