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復興事業の当て外れ…仕事少なく路上生活
河北新報 6月5日(金)9時35分配信
東日本大震災の復興事業を当てにして被災地に来た人が、思うように仕事に就けず、仙台市内で路上生活に陥るケースが出ている。路上生活者は近年、全国的に大幅に減る傾向にあるが、仙台は微減にとどまる。4月には生活困窮者自立支援法が施行されたが、復興が少しずつ進む一方で、こうした生活不安定者がさらに増えることが懸念される。
秋田県出身の30代男性は4月、仙台で路上生活を始めた。震災後約3年間、福島県内で除染作業に従事。ろくに給料を支払わない雇用先が嫌になり寮を抜け出した。別会社で働く知人を頼ったが「除染が進み仕事が少ない」と断られた。
仕事があることを期待して仙台に来たが、住所すら定まらない中、職業安定所でも職を見つけることができなかった。所持金も尽きた。現在は支援団体が用意するアパートで暮らし、自立の準備をしている。「早く住所を持ち、安定した職に就きたい」と願う。
厚生労働省が1月に行った調査では、全国の路上生活者数は震災前の2011年1月より約40%減った。支援態勢の向上や景気回復による雇用増加が要因とされる。
一方、仙台市の路上生活者は110人(1月現在)だが、震災前に比べ約15%減(20人減)にとどまった。同規模の政令指定都市はさいたま、広島両市が約50%減、千葉市約35%減などだが、仙台市は全20政令市で最も減少率が低かった。
困窮者支援のNP0法人「仙台夜まわりグループ」によると、新たに路上生活をするようになった相談者の大半が宮城県外出身。何らかの理由で復興の工事や除染作業を続けられなくなり、故郷にも戻れない人が多いという。
同法人は「建物の解体など単純作業の需要はかなり減ってきている。仕事にあぶれる人がもっと増える可能性もある」と心配する。
今春、生活困窮者自立支援法が施行され、職と住まいを失った人への給付金支給が自治体に義務付けられた。これに先駆け、仙台市は昨年相談窓口を開設。個別事情に応じた支援に取り組む。市保護自立支援課は「路上生活に陥る前に支援につなげたい」と強調する。
仙台夜まわりグループの青木康弘事務局長は「不安定就労を繰り返さないためにも、免許や資格取得の機会を提供し、就労の選択肢を広げられるようにする必要がある」と指摘する。
[生活困窮者自立支援法]困窮状態から早期に抜け出すための支援を制度化した。4月1日施行。福祉事務所がある自治体が主体となり、相談窓口を設置することなどを定めた。担当支援員が個別に作成した具体的プランに基づき、就職や住居、家計管理、子どもの学習などを包括的にサポートする。就職活動を条件とした家賃相当額支給などを必須事業と位置付けた。
◎あすNPOが炊き出し支援
NPO法人「仙台夜まわりグループ」は6日正午から、仙台市青葉区の市福祉プラザで無料食事会を開く。ネットカフェや漫画喫茶、車内で生活する人たちにも来場を呼び掛けている。
同法人によると、こうした生活不安定者が仙台市内にどれだけいるかは調査されていない。実態を把握して今後の活動につなげたいという。連絡先は仙台夜まわりグループ050(5539)4443。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150605-00000002-khks-soci
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