http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/222.html
Tweet |
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 大阪都構想否決がもたらすもの
http://wjn.jp/article/detail/8129029/
週刊実話 2015年6月11日 特大号
5月17日に行われた大阪都構想の賛否を問う住民投票は、わずか1万票の僅差で否決された。事前の世論調査では大差の否決と言われていたが、終盤での橋下徹市長の盛り返しは強烈だった。ただ、大阪都構想が否決されたことは、大阪市民にとっては朗報だと私は思っている。大阪都構想は、財政効率を悪化させるからだ。
大阪市を五つの特別区に分割すれば、新庁舎の建設や住所データの書き換えなどで、膨大なコストが発生する。しかも、国民健康保険や清掃事業など、本当に市民と密接な関係を持つ行政サービスは、効率性を高めるために広域行政を担う「一部事務組合」に移管されることになっていた。つまり、大阪市は特別区、一部事務組合、大阪府の三重行政に変わることになり、そもそも行政全体の効率化など、まったく期待できない構想だったのだ。
橋下市長が大阪都構想の実現を目指したのは、7年前、大阪府知事に就任したときに、その権力のあまりの小ささに驚いたからだろう。府知事として改革を行おうとしても、大阪市という政令指定都市が強力な権限を握り、言うことを聞かなかった。だから橋下氏は「大阪市をぶっ壊す」と言い、自ら大阪市長選に出馬して市長に就任したのだ。
橋下氏は、府と市による二重行政の解消を大阪都構想の根拠に挙げていたが、大阪府知事と大阪市長の双方を維新が握っているのだから、もし本当に二重行政を解消したいなら、いまの体制で何の障害もなくできるはずだ。
大阪都構想では、大阪市が握っていた権限の多くを大阪府に移すことになっていた。大阪市から大阪府に2200億円もの財源が移されることになっていたのだ。東京都知事のような強力な権限を持つ大阪都知事を誕生させること、つまり中央集権化が大阪都構想の本質だった。中央集権化は、分権化という世の中のトレンドに逆行しており、その意味でも大阪都構想が否決された意味は大きい。ただ、問題は国政に与える影響だ。
今回の否決を受けて、橋下氏は政界引退を断言した。橋下氏はタカ派であり憲法改正に積極的だから、もし今回の住民投票で勝利していれば、安倍総理とタッグを組んで憲法9条改正にまっしぐらだったろう。一方、維新の党の江田憲司代表はハト派だから、私は橋下氏の政界引退で維新の安全保障政策が変わり、憲法改正が難しくなるのではないかと考えていた。
しかし、私の見方は完全に間違っていた。江田憲司代表が辞任の意向を表明し、後任に保守派の松野頼久氏が就任したからだ。
橋下氏の個人商店とも言われた維新の党は、今後じり貧になっていくことが確実だ。だから安倍総理は、まだ維新の党が勢力を維持している来年の参議院選挙までに、一気に憲法改正に向かおうとするのではないだろうか。維新の党も、消滅の危機から抜け出すために、全面的に安倍自民党への依存を強める可能性が高いと私は思う。ただ、橋下氏自身が、「僕は維新のなかではハト派」と言っていたように、橋下氏なき維新の党は、超タカ派に変身する可能性が高いのだ。
橋下氏の8年間にわたる政治家生活で残したものは、日本の右傾化だけということになるのかもしれない。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK186掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。