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何のための増税だ?虚しくなる「財政再建」財務省、自分たちの給料を上げるとは
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43539
2015年06月03日(水) 週刊現代 :現代ビジネス
45歳課長の年収が約1200万円—日本の国家公務員はピケティ教授もビックリの超高給取りだ。しかも最近はやりたい放題で、さらなる賃金アップを目論んでいる。ああ、公務員天国が帰ってきた。
■月給もボーナスもアゲアゲ
「いやぁ、安倍(晋三総理)さんのおかげですよ。国民にたくさんおカネを使ってもらって経済を回す。そのために給料を上げようと旗を振ってくれたおかげで、私たち公務員の給料もどんどん上がっていくわけですから。『自民党様』のために、どんな徹夜残業でもこなしますよ」
ある現役キャリア官僚がこう語れば、別の中堅官僚もこう続ける。
「民主党政権時代には公務員批判ばかりで、働く意欲すら失っていました。でも、安倍さんが政権をとってからは、まさに『官の復権』。こっそり天下りも復活させてくれているし、なにより月給とボーナスが上がるのが嬉しい。株価同様に、この勢いでもっと給料を『爆上げ』して欲しい」
日本の中枢で働くエリート官僚たちに話を聞くと、出るわ、出るわ、嬉しい悲鳴が……。
それもそのはず。
公務員の給与が、今年も「また」上がりそうなのである。
「国家公務員の給与を決める前提となる人事院の調査が、この5月からスタートしました。
人事院は毎年、一部の民間企業の給与実態を調べ、『民間との格差』が広がった場合には公務員給与を引き上げるように勧告しています。
昨年は安倍総理の賃上げ要請の甲斐あって、民間企業でベアが相次ぎ、それに合わせるように公務員給与も引き上げられました。
それが今年は昨年以上の賃上げラッシュですから、また給与が引き上げられる公算が高い」(全国紙経済部記者)
国家公務員の月給とボーナスが2年連続で引き上げられれば、それは24年ぶりの「快挙」(前出・キャリア官僚)となる。国家公務員の給与に準ずる地方公務員も賃上げラッシュとなることは必至なので、全国の公務員たちは笑いが止まらないというわけだ。
しかし、浮かれる公務員を目の当たりにして、「なんかおかしくない?」と思う人は少なくないのではないか。
公務員給与の引き上げは「民間との格差を埋めるため」と言うが、月給やボーナスが上がったサラリーマンがいったいどれほどいるか。
確かに多くのメディアで民間企業の賃上げ話は頻繁に報じられるが、それはあくまで一部の大企業に限った話。中小から零細企業の多くは目の前の経営に手一杯で、給料アップどころではない。
そもそも、財務省は「国の財政が危ない」と危機を煽って、昨年4月に消費増税を断行したばかり。最近でも「財政再建」の旗印のもと、「救急車を有料化しろ」「学校の先生の数を減らせ」などと歳出カット案を立て続けに出している。そんな財務官僚たち自身が、われらの血税を使って自分たちの給料を上げるというのだから、本末転倒ではないか……。
実はすでに公務員給与の引き上げをめぐっては、ある自治体でひと騒動が巻き起こっている。
「日本全体ではいま格差が広がっとる。貧困問題も拡大しとるでしょう。そんな時に公務員の給料を上げようなんて、誰がどう考えてもおかしな話ですよ」
こう憤るのは河村たかし名古屋市長だ。
前述したとおり、昨年は全国の公務員が「賃上げ祭り」に沸いた。名古屋市でも御多分に漏れず、市の人事委員会が市職員の月給とボーナスをともに「増額」するように河村市長に勧告したが、河村市長がこの勧告を拒否したため、大騒動に発展。勧告通りに給与を引き上げるよう求める役所や職員労組サイドと河村市長との間で、猛烈なバトルが繰り広げられたのである。
■超優良企業並みです
河村市長が続ける。
「職員の給与を平均して7万円以上上げろという勧告でしたが、景気も良くなっていない時に何を言っとるんだと。こういう時は『先憂後楽』で、まず公務員が辛抱せいと言ったんだが、猛反発を受けましたわ。
そもそも、民間との格差と言うけれど、人事院が調べている民間企業は一定規模以上の会社だけ。それを基準にして、公務員は大企業・優良企業並みの給料にしろというのは筋が通らん。
まあ、わしにも血と涙があるから、最終的には課長以上の人は給与引き上げを我慢しろ、ということで落ち着きました。職員給与を引き上げないなら市長も年収を下げろと言われ、800万円から793万円に下げることにもなりましたわ。課長でも年収880万ほどもらっているのに、ね」
河村市長が指摘する通り、公務員給与の基準となる民間給与の「実態調査」は、かなりいかがわしいところがある。
具体的に見ると、人事院調査の対象となる民間企業は、「企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所」。しかし、日本全国には約550万の事業所がある中で、「50人以上」の事業所は3%にも満たない。むしろ、「1~4人」の事業所が全体の半数以上を占めているのが実情である。
ほとんどの日本人が働く「50人未満」の事業所ではなく、なぜか「例外」である大企業ばかりを調べて、それをもとに公務員給与を決めているのだ。
成蹊大学法学部教授の浅羽隆史氏が言う。
「しかも、人事院の調査で考慮されるのは正社員の給与だけで、契約社員など非正規労働者は対象外です。つまり、民間企業の中でも例外である大企業に勤める正社員、というきわめてレアなケースを国家公務員に当てはめて計算していることになる。少なくとも民間の実態を反映しているとはいえないでしょう」
元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏も言う。
「本来であれば、国税庁が調べている『1人以上の事業所』の給与実態のデータを基準に使うべきです。直近の国税による調査結果を見ると、民間の平均年間給与は414万円となっています。一方で、超優良企業ばかりを調べている人事院の調査だと、これが480万円に膨れ上がる。国税調査をもとに計算すれば、公務員給与は本来は15%ほど『減額』しなければいけないことになります」
もちろん全国の公務員たちもそうした事情は知っての上で、見て見ぬふりをしているわけだ。
■「手当」も次々に増額
実際、彼らのやりたい放題ぶりは増長するばかりで、目を覆いたくなる。
「実は昨年の給与引き上げ時に、国家公務員はこっそりと『手当』も増額が決まっているのです」
公務員問題に詳しいジャーナリストの若林亜紀氏が言う。
「たとえば、60以上の距離の転勤をした際に支払われる『広域異動手当』の額が4月から増えました。中央官庁(本府省)で働く場合に支払われる『本府省業務調整手当』などの引き上げも決まっていますが、これはいかにもお手盛りです。
というのも、国家公務員には格安で住める官舎が19万戸ある。つまり職員2人につき1戸の割合で、希望すれば必ず入れるので、そもそも転勤者への手当など支給する必要がない。本府省業務調整手当にしても、地方より忙しい中央で働くから手当をつけてあげるという発想で、民間からすればありえないものです」
それだけではない。
なぜか大々的には報じられないが、公務員に対して行われていた給与の「減額措置」も昨年でひっそりと終了している。
「国家公務員については、東日本大震災の復興財源を捻出するために'12年4月から平均7・8%の給与減額措置が実施されていましたが、これが昨年3月末で終了しました。これによって、国家公務員の給与は8%も上がったし、賞与を見ても10%以上の増額となっています。そこに上乗せされるように、月給とボーナスが増額されたのですから、濡れ手で粟です。
一方で、国民は震災復興財源用として、2037年まで復興特別所得税を取られ続ける。復興もまだまだ進んでいないのに、公務員だけはさっさと抜け出して、国民にツケを押し付けているわけです」(ジャーナリストの磯山友幸氏)
借金大国の日本で、公務員の給料だけが上がっていく—。普段は「歳出増」となる施策には目くじらをたてる財務省も、自身の給料が上がるとあって、完全に黙認しているのだからおぞましい。東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が言う。
「財務省は昨年4月の財政制度等審議会の財政制度分科会に提出した資料で、地方公務員、中でも地方の清掃職員、給食などの調理員、用務員などの給与が、民間に比べて1・5~2倍も高いと指摘していました。そして、これを民間並みの給与にした場合は実に1500億円の節減ができると指摘しました。こうして地方公務員の給与には切り込む財務官僚ですが、国家公務員のことになると話は別になります」
■天下りも復活した
もちろん、国家公務員の給与を「もらいすぎ」だと指摘すれば、それがそのまま自らの身に跳ね返ってくるからだ。長谷川氏が続ける。
「前述の財務省の資料には、国家公務員の給料は地方公務員に比べて『安い』という主張も載せられています。しかし、彼らは地方公務員との給与差を比べるときに『指定職』の給与を加えていません。指定職とは審議官以上のクラスの高級官僚で、そもそも一般の公務員とは俸給表がまったく別になっているんです。だから地方公務員と比べられないというわけですが、年収2000万円以上といわれる事務次官などの給料を勘案すると平均が跳ね上がってしまう事情がある。地方公務員の給料は舌鋒鋭く批判しますが、自分たちは別という理屈なんです」
そんな人たちに「財政再建だ」と言われても、説得力はない。「財務省には屈しない」という強気な態度を見せている安倍総理も、彼らの好き勝手を見て見ぬふりで許しているのにはワケがある。
元経産官僚の古賀茂明氏は言う。
「今回の安倍政権が第一次政権とまったく違うのは公務員改革に手を付けないということ。財務省の協力を得るために、『官僚の生活は保障してやるから』と、一次政権に手を付けた天下り規制もどんどん骨抜きになっています。
この2年の間で商工中金、日本政策金融公庫と国際協力銀行の3つは、財務省と経産省の次官級OBがトップに返り咲いています。また、政策投資銀行と商工中金は完全民営化するはずでしたが、それが今国会に提出された法案で骨抜きにされました。これは官僚たちの天下りのポストを確保してあげるためです。財務省を中心として公務員たちの天国が大復活しているわけです」
ちなみに、元財務官僚の黒田東彦・日本銀行総裁も昨年、ちゃっかり給料を爆上げさせている。
まずは、公務員給与に合わせる形で、年額約1003万円だった役員手当を約1047万円にアップ。そのうえ、公務員同様に震災復興用の減額措置を終了させたことで、黒田総裁の年収は2278万6000円から3467万円へと1000万円以上も増額した。
総理から日銀トップ、財務官僚までがいくら国民のため、日本経済のためと叫んでも、なんと虚しいことか。
果てはギリシャか……。
「週刊現代」2015年6月6日号より
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