http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/880.html
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米国が「「勝算がないまま南シナ海への関与に動く」のは、あくまでも、アジア諸国の分断を通じたアジアにおける政治的プレゼンスの確保が目的であり、口先だけで言っている中国の動きを阻止することが達成できるかどうかは関係ない。
日本を含むアジア諸国の政治的指導者は、なかなかしたたかなので、米国の意図を承知の上で中国に対し様々な主張をしていくことになる。
なお、米国は、批准国が165に達した国連(UN)海洋法条約を批准していない唯一の主要先進国(中国は批准)であり、国連海洋法条約を根拠とした対外的主張を展開することが難しいポジションにいる。
国連(UN)海洋法条約の批准を阻んでいる勢力(上院)が反対する根拠は、UN海洋法条約への加入が国際機関をはじめとした国際社会が米国に干渉する根拠となり、米国の主権が侵害される可能性さえある一方、米国の実力をもってすれば、UN海洋法条約に加入しなくとも慣習法でしっかり対応できるというものである。
対応力の決め手は軍事力と考えている。強力な海軍力を維持し増強していけば、対中関係でも有利に展開することができるので、国連(UN)海洋法条約に加入する必要はないと考える。
多国間の条約に加入したために他国にあれこれ言われるのはイヤ、詰まるところ強大な軍事力が決め手という理由で国連(UN)海洋法条約に加入していない米国が、領有権を主張しながら軍事力を増強しつつ領有権を主張している南シナ海での活動を強化している中国を非難している状況はシュールと言えるだろう。
※ 関連参照投稿
「南シナ海埋め立て合戦 中国への反発強まる:ベトナム・フィリピン・マレーシアのほうが南シナ海係争諸島の造成で先駆」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/695.html
「キッシンジャー流外交は中国に連用しない:南シナ海領有権問題」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/590.html
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[真相深層]米、中国に仕掛ける消耗戦
南シナ海の人工島に危機感 偵察写真を公表/東南ア諸国支援
日本が中東から輸入する石油のほとんどが通る南シナ海。人工島の造成をやめない中国に、米軍が監視を強め、緊張が高まってきた。オバマ政権はどこまで本気で、中国の行動を阻むつもりなのか。
沖合の艦船から放たれた大きなホーバークラフトが、ものすごい勢いで海岸に近づき、砂浜に上陸した。精鋭部隊がそこから飛び出し、すばやく前進する……。
米海兵隊は19日、ハワイで上陸作戦の演習を実施した。これだけならふつうの光景だが、違ったのは、約20カ国の軍幹部がじっと見守っていたことだ。
17〜21日、米海兵隊が日本や東南アジアの指揮官を招き、島しょ防衛に関する初の研修会を開いた。この中での一幕だ。米軍によると、目的は「各国の島しょ防衛力を高めること」。岩礁を埋め立てる中国をけん制するねらいは明白だ。
激しい議論の末
米軍は今月に入り、偵察機や新型戦闘艦を南シナ海に送り、中国への圧力を強めだした。中国が工事をやめなければ、人工島の12カイリ(約22キロ)以内に、軍艦船などを派遣することもあり得るとも警告した。
背景にあるのは、このままでは南シナ海に中国が軍事拠点を築いてしまうという、オバマ大統領自身の焦りと危機感だ。
4月28日の日米首脳会談。日本側は、オバマ氏の対中認識が昨年の会談よりずっと険しいのに驚いた。「中国をめぐるオバマ氏の発言はかなり、厳しい。日米の対中認識のズレは埋まった」
では、米側がどこまで、軍事圧力をかけるつもりなのか。実は、中国が南シナ海で埋め立てを始めた昨年以来、国防総省や米軍内では、激しい議論が交わされてきたという。内情を知る元米政府高官は明かす。
「軍艦や軍用機を(中国の人工島近くに)送り、けん制すべきだとの意見が海軍首脳から出ていた。ただ、米軍が介入すれば、衝突の危険が高まってしまうとの声が根強く、結局、実行には移されずにきた」
構図が変わったのは今春。猛烈な勢いで埋め立てが進み、周辺国が懸念を深めるなか、オバマ政権も直接関与に転じざるを得なくなった。
ただ、中国との衝突を避けたいのは言うまでもない。そこで米政権が採用しようとしているのが、コスト賦課(Cost Imposing)と呼ばれる中長期戦略だという。政権に近い新米国安全保障研究所(CNAS)などが提唱している。
どんな内容なのか。CNASのパトリック・クローニン上級顧問によると、軍事、外交、宣伝などさまざまな手段を使って、中国の行動に重い代償を払わせ、時間をかけて、強硬策を断念させていくというものだ。いわば、消耗戦略といえる。
日本の安保左右
米政府筋によると、すでに一部で実施されつつある。たとえば、(1)埋め立て状況を映した衛星写真などをひんぱんに公表し、国際圧力を強める(2)東南アジア諸国などへの支援を強め、島しょ防衛力を底上げする(3)同盟国と協力し、中国の監視活動を広げる――などが、その具体例だ。
すでに写真の公表は増やしている。今月、ハワイで開いたアジア太平洋諸国向けの島しょ防衛研修会は、(2)に当たる。米軍が最近、自衛隊による南シナ海での監視活動に期待感を示しているのは、(3)への布石だ。
もっとも、どこまで効果があるかは分からない。中国が大規模演習で台湾を威嚇した1996年。米国は空母2隻を台湾海峡に送り込むだけで、中国の挑発をやめさせることができた。
それから約20年。中国軍は強大になり、もはや力ずくでは抑え込むのは難しい。米政権内で「コスト賦課戦略」が浮上するのは、そんな厳しい現実の裏返しでもある。
9月には中国の習近平国家主席が訪米する。米中関係筋によると、ホワイトハウス内では、温暖化対策やイラン問題で成果を残すため、「南シナ海で対立しても対中関係全体を損なうべきではない」との意見もある。
勝算がないまま、南シナ海への関与に動くオバマ政権。その成否は、日本の安全保障にも跳ね返ってくる。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞5月30日朝刊P.2]
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