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安保法制案(「平和安保法制」と呼ぼうが何と言おうが、戦争法案であるが)の審議が進んでいない。
議論は主に、リスクの有無や、地域がどうとか地理的概念がどうとか、あるいは新3要件の具体的内容・解釈がどうだとか、を巡ってされている。
今度ばかりは政府側も、お得意の「ていねいな説明」一本やりで押し通すことがどうもうまくいっていないようだ(=そこまでの自信がなさそうだ)。
法案そのものの出来が悪い、拙速・拙劣であるとか、閣僚自身も分かっていないのじゃないか、とか言われている。
マスコミでさえ、説明不足を言っている。
しかしこれもすでに「下手だ」と言われているように、野党側の議論の進めかた、追及のしかたも、国民にとってはどうも物足りない、歯がゆい。
これでは結局は時間切れ、(強行)可決・成立ということになって、その先は「新3要件」の解釈問題となる。それも、しょせん政府の欲しいままの解釈運用にまかされ、それに対して司法(最高裁)はまったく機能しないということになるだろう。
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問題は、リスクがどうとか、戦闘地域かどうかとか、武力行使と一体かどうかとか、ではない。質問が下手かどうかなどということではなく、訊くべきことを訊いているかなのだ。
野党が質問すべきは2つしかない。
(本当は、この2つを徹底的に質問すれば、少なくとも法案の問題点は暴露できるはずの、そういう性質の質問である。)
1つは、なぜ今このような法案整備・改定が必要なのか、問うこと。
この質問は本来なら政府には痛いはずだ。何十年もそんなもの無しでやってきて、よりによって今どうしてもそれが必要だというのだから、説明が必要なはずだ。
これは、民主党・長妻氏や維新の党が適切に質問していた。江田氏によれば、政府の側に立証の(説明の)責任がある。
もっともこれにはうまい逃げ口上があって、「国際情勢の変化だ。外交・防衛問題なのでそれ以上は具体的には言えない」で済まされてしまう。こう言われてしまって、長妻氏や維新の党もそれ以上は追及できなかった。
もう1つは、国会では決して出てこないはなしで、またマスコミや評論家も触れない点だ。
上の、何十年もそんなもの無しでやってきて、とくに今どうしてこのような法案整備・改定が必要なのか、という問いの答えにも関係する。
つまり、アメリカが要求するから今このような法案整備・改定が必要なのだ、という答えだ。(そういう意味では、「なぜ必要か。国際情勢の変化だ」という答えも、問題は「日本にとっての国際情勢の変化」ではなくて「アメリカにとっての情勢変化」だということになる。)
だから国会でも、すべき質問は、「アメリカからどういう要求が突きつけられているのか。それに対して日本はどう対応すべきなのか。日本は(国民は)それを受け入れるべきなのか」でなければならない。
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1つめの質問は、「国際情勢」という逃げ口上で、先へ進めない。
だから2つめの質問、「アメリカの要求にたいしてどうすべきか」を徹底的に追及しなければならないし、これは客観的な資料がある(はず、だ)から、できるはずだ。
そもそもこの問題の討議なしには、リスクがどうとか派遣地域がどう、新3要件の解釈がどう、とか言っても始まらない。まともな答えが得られるはずがない。
なぜなら、《その先はアメリカが決めることなのだから、自衛隊がどこへ行かされ何をさせられるかについては、政府閣僚も官僚たちも分かってはいない》、のだからである。
すべてはアメリカの指示命令だということについては、客観的な資料がある。少なくともここ数年の「2+2共同発表」(複数)と、今回の「新ガイドライン」を見るだけでもそれは明らかだ。(本来は、それ以前の交渉経過・基礎となる文書資料について、野党は国会質疑で引き出さなければならない。外交秘密と言われるだろうが。)
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「2+2」も新ガイドラインも共同作成・共同発表だから、アメリカの一方的な「指示命令」ということにはならない、という言い訳は成り立たない。
たとえば新ガイドラインを見るだけでもそれは明らかだ。
そこには、「切れ目のない」(seamless)日米の連携・共同行動も、「日本と密接な関係にある他国が武力攻撃され、我が国の存立が脅かされ、国民の生命・自由及び幸福追求の権利が根底から覆される(overturne)・・」も、「重要影響事態」(situations that will have a important influence …)も、すでに出ている。
そしてそれらはどれも、英語では普通に書かれているが日本語としては何とも奇妙な用語になっている。これは、原案がアメリカから指示・下令され、日本語はそれを拙劣に翻訳したものであることを明らかに示している。
たとえば普通の日本語では、連携は「隙間ない」といい「切れ目ない」とは言わない。権利は「冒される・脅かされる」と言い、「覆される」とは決して言わない。危機は「重大な影響、重大な事態」といい「重要な影響、重要な事態」とは言わない。
(現憲法のつくられたときにも同じようなことがあったが、今回の日本語はひどい。官僚の日本語能力・翻訳力のいちじるしい低下が感じられる。)
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だから、日本の国会で「新3要件の解釈がどうだこうだ」と言っても始まらないのだ。そんなことはアメリカに聞いてみなければ分からない、というのが本当のところだからだ。冗談で言えば、アメリカ側の担当者を国会に呼んで、「ここのところはどう解釈すべきですか」などとお伺いを立てるしかないのだ(もちろんそんなことはありえないが)。
しかしそうでなくては、日本の国会で日本だけでいくら議論してもラチがあかない。
たとえば新ガイドラインでは「後方支援(とんでもない、logistic support とある)」について、「自衛隊及び米軍は・・日米物品役務相互提供協定及びその関連取決めに規定する活動について、適切な場合に、補給、整備、輸送、施設及び衛生を含むが、これらに限らない後方支援を相互に行う」(ここも訳が悪くわかりにくいが)とあるが、《「これらに限らない」と言っても、ではその限界はどこまでを含むのか》などの具体的細部・運用については、つまりいざ戦争加担に至るかどうかのほんとうに重要な点についてはアメリカ側に聞いてみなくては、国会でいくら論議してもそもそもどうしようもないのである。
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細部ではない。肝心なところを論議すべきだ。それなしには、細部はアメリカの指示を待つ、待って戦争加担に至るという、ほんとうに冗談では済まされない事態に立ち至ってしまう。
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