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2015年05月29日 (金) 午前0時〜[NHK総合]
時論公論 「日朝合意から1年 拉致問題の行方」
出石 直 解説委員
北朝鮮が、拉致被害者を含むすべての日本人を対象に全面的な調査を行うことを約束したストックホルムでの合意から、きょう(29日)でちょうど1年になります。
一年前の安倍総理大臣の発言です。
(VTR:安倍総理大臣 去年5/29)
「全面解決に向けた第一歩となることを期待しています」
去年7月には特別調査委員会が設置されて再調査が始まり、日本政府も合意に基づいて制裁の一部を解除しました。調査結果の最初の通報は、去年の夏の終わりか秋の初めにはあるものと期待されていましたが北朝鮮からの通報はなく、それどころか去年10月のピョンヤンを最後に日朝間の公式協議は途絶えたままです。
合意から1年が経つというのに、拉致被害者らに関する新たな情報は何一つ伝えられていません。
(VTR:横田早紀江さん4/26)
「毎日、娘の無事を祈り、写真を見ては頑張ってねと声をかけながら暮らしています」
「北朝鮮は信用できない」「もっと制裁を強めるべきだ」そんな声も聞かれます。
北朝鮮による再調査はどこまで進んでいるのでしょうか。この時間は、拉致問題の行方について考えます。
ストックホルム合意が発表された一年前には、これでようやく拉致問題も解決に向けて進むのではという期待がありました。「拉致問題は解決済み」と頑なに主張していた北朝鮮が、従来の立場にこだわらず全面的な調査をすると約束したのですから、その期待もそれなりに根拠のあるものでした。
こちらが一年前、ストックホルムで交わされた合意の概要です。
▽「すべての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施する」
▽「調査はすべての分野について同時並行的に行う」
▽「調査の状況を日本側に随時通報する」
順にもう少し詳しく見て行きます。
まず「調査対象」です。
北朝鮮の説明では、特別調査委員会の下に「日本人遺骨問題」「残留日本人・日本人配偶者」「行方不明者」そして「拉致被害者」と調査対象ごとに4つの分科会を設けて調査が行われています。このうち「遺骨」については「すでに把握している資料や証言があり、試験的な発掘も行う」として、早い段階である程度の調査結果が出せることを伺わせていました。
「残留日本人・日本人配偶者」と「行方不明者」についても「住民登録台帳に基づく調査を行う」と述べ、一定の手掛かりがあることを示唆していました。
一方「拉致被害者」については「それぞれの被害者が北朝鮮に入ってからの経緯を改めて調査し確認する」として、過去の調査結果にとらわれず調査のやり直しを行うという説明でした。
問題はその次、「調査の進め方」です。
合意では「調査はすべての分野について同時並行的に行い、調査の状況を日本側に随時通報する」となっています。この「随時通報」をいつ頃、何回くらい行うかについては合意文書に記載はありません。ただ日本との協議にあたったソン・イルホ大使は「調査は概ね1年くらいかかる。調査が始まって2か月くらいで一回目の通報ができるだろう」と日本側に説明していました。再調査が始まったのが去年の7月初旬ですから、8月の終わりか9月の初めには一回目の通報があるものと見られていたのです。しかしこの時期が過ぎても通報はなく、去年10月に外務省の伊原アジア大洋州局長らがピョンヤンを訪れて特別調査委員会の委員長らと会い直接質しましたが、北朝鮮側の説明は「調査はまだ初期段階であり、具体的な調査結果を通報できる段階ではない」というものでした。
「情報が集まっていないからまだ通報できない」のか、それとも「情報はあるけれども、小出しにしようとしているのか」このあたりはまさに交渉の手の内ですから、確かなことは判りません。ただここまで見てきましたように、北朝鮮側は少なくとも「遺骨」については日本側に通報できる程度の調査結果をまとめているものと見られます。それだけで一回目の通報とするのか、それとも一回目から拉致被害者も含む4つの調査対象すべてについての報告を求めるのか。この合意文書にある「調査は同時並行的に行う」という文言の解釈をめぐって、日本と北朝鮮の間に認識の違いがあるように思われます。
とはいえ、「調査のやり直しをしているので時間がかかっている」という北朝鮮側の説明が仮に事実であったとしても、当局の厳重な管理下に置かれているはずの拉致被害者についての情報がまったくないというのは、あまりに不自然ではないでしょうか。
一回目の通報をめぐって膠着状態が続いているうちに、去年の冬頃から新たな問題が浮上してきました。ひとつは国連での「北朝鮮人権非難決議」。もうひとつは「朝鮮総連問題」です。
まず「人権非難決議」です。去年12月に国連総会で採択されたこの決議は日本がEUと共同で提出したもので、人権侵害へのキム・ジョンウン第1書記の関与を強く示唆する内容となっています。この頃から北朝鮮は日本に対する非難を執拗に繰り返すようになりました。
もうひとつは「朝鮮総連問題」です。朝鮮総連のビル売却をめぐるゴタゴタは続いていたのですが、ことし3月になって京都府警察本部が北朝鮮産マツタケの不正輸入事件の摘発に乗り出し、朝鮮総連トップのホ・ジョンマン議長の自宅などの捜索に踏み切ったのです。
朝鮮総連は「北朝鮮と日本の関係を悪化させるもので拉致を解決する意思がないのは日本当局だ」と強く反発しています。
そんな中、北朝鮮は先月になって、外交ルートを通じて通知文を一方的に送ってきました。
「我々はストックホルム合意を誠実に履行しているのに、日本が拉致問題解決の合意を破った」「このような状態では政府間対話も行うことができなくなっている」としています。
日朝間の協議は終わってしまったのでしょうか?
北朝鮮からの通知文を見ますと確かに言葉遣いは強硬です。しかし「合意を反故にする」とか「協議を打ち切る」とまでは言っていません。拉致問題の進展なしに人道支援も経済協力も得られないことは北朝鮮側も十分承知しているはずです。対外関係でも、中国との関係はしっくりせずアメリカや韓国との対話も途絶えています。通知文の行間には、抗議はするけれども、日本側との協議は続けたいという北朝鮮側の本音が透けて見えるように思えます。
5月も残りあとわずか。夏や秋の通報どころか再調査が始まってからもうすぐ1年になろうとしています。強調したいのは、ストックホルム合意はあくまでもスタートラインであってゴールではないということです。合意文書を交わし特別委員会という組織が発足して拉致問題などを解決する枠組みができたことは重要です。この枠組みを壊してしまっては元も子もありません。北朝鮮は厚いベールに包まれ中で何が起きているのか把握するのが難しい国です。だからこそこの枠組みを大切にして、粘り強く交渉を続けていくしかありません。それが遠回りのようで実は近道のように思います。
(出石直 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/217823.html
- 北朝鮮 総連議長の自宅捜索で反発強める:日朝交渉の遅延もやむなしの雰囲気をつくるため刑事事件まで利用する安倍政権 あっしら 2015/5/30 01:12:58
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