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翁長沖縄県知事の逆襲 オスプレイ墜落と「琉球独立論」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150528-00000002-sasahi-soci
週刊朝日 2015年6月5日号より抜粋
沖縄の正装である「かりゆし」は、方言で「めでたい」という意味だ。5月20日、都内で行われた記者会見にストライプ柄のかりゆしを着て登壇した翁長雄志(おながたけし)知事(64)。
会見では、柔らかな口調ながらも、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設に固執する安倍首相を「あんなかたくなな人はいない」とコキおろし、会場の笑いを誘った。知事側近はこう話す。
「知事は、誰かの声を代弁した間接話法ではなく、自分自身の言葉で、直接話法で沖縄の歴史と現状を訴えている。これは安倍政権への言葉であると同時に、沖縄を軽視する日本人にも向けられているのです」
ここ数年で盛り上がる「琉球独立論」については「独立するというよりは、日本が切り離すんじゃないか」との焦りをにじませ、その可能性にも言及した。
「『沖縄はほっておけ』『そういう決意もないところはもっと基地を置いておけ』という話になるならば、わからない。私たちにも生きる権利がある」
安倍政権との対決姿勢をあらためて鮮明にした翁長知事。一方、政府も強気の姿勢を崩さない。菅義偉官房長官に近い自民党国会議員は言う。
「政府がブレることはない。翁長さんが辞めるまで、粛々と押し切っていく。沖縄県内でも辺野古移転に賛成する市町村長がいるので、籠絡(ろうらく)していくしかない」
米国も安倍政権に同調している。米国下院は15日の本会議で、国防予算の大枠を定める国防権限法案を可決した。そこには、米軍普天間飛行場の移設先について「名護市辺野古が唯一の選択肢」と明記されていた。
だが、その根拠は危うい。実は2004〜06年の在日米軍再編協議では、米国側は日本政府に沖縄の海兵隊を九州北部や関東、北海道に移転することを打診していた。この問題を取材した琉球新報論説副委員長の普久原均氏は言う。
「この事実は米国の政府高官も認めています。ですが、日本政府が取り合わず、県外移転案は立ち消えになりました。私が当時の防衛庁首脳に問いただすと、『本土はどこも反対決議の山だ。どこが受け入れるというのか』と答えました。しかし、反対決議を可決していたのは沖縄県議会であり、他の都道府県ではありません。沖縄の世論はつねに無視されているのです」
政府の不誠実な対応は現在でも続いている。
18日(日本時間)には米国ハワイ州オアフ島で、米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイが着陸に失敗して炎上、2人が死亡した。オスプレイは事故率の高さから「未亡人製造機」とも呼ばれていて、またしても危険性が明らかになった。
翁長知事は、事故原因の究明がなされるまで県内での飛行停止を求める考えを示したが、事故翌日には飛行が再開。沖縄県民を不安にさせている。
だが、沖縄以外の日本人も現実を直視しなければならない日がやってくる。
12日(同)には、米国国防総省が21年までに東京の横田基地(東京都福生市など)に10機のオスプレイを配備する方針を発表した。
事故後の舛添要一東京都知事の記者会見では、配備を見直すつもりがあるかを問う質問も出たが、
「国が(安全対策を)しっかりやってくれることを常に国に要求していく」
と言うにとどめ、見直しは求めない考えを示した。
沖縄と同じように、首都圏の空にもオスプレイが往来する日も近い。しかも、横田基地に配備されるのは、空軍特殊部隊のCV22オスプレイで、夜間訓練が多いことから、MV22に比べて事故率が3倍以上高いといわれている。ひとたび住宅街に墜落すれば大惨事になりかねない。
問題はそれだけではない。事故が発生したときの処理は、日米地位協定で日本と米国がどのように対応するか決められている。協定に詳しい前泊博盛沖縄国際大学教授は言う。
「協定では、事故が発生した場合の事故機の残骸と部品は、米国が管理することになっています。つまり、日本の警察は事故機に近づけず、原因の調査もできません。首相官邸や国会議事堂に墜落しても、日本人は外側から見守ることしかできません。沖縄で起きてきたことが、本土でも起きるようになるのです」
(本誌・西岡千史)
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