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2015年05月28日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆日本は、原油の99.6%を海外からの輸入に依存、輸入先も中東地域が8割以上を占めている。中東依存度は諸外国と比べて高い、輸入先の国別は、サウジアラビア31.1%でトップ、アラブ首長国連邦(22.5%)、カタール(10.2%)、イラン(7.8%)の順である。ホルムズ海峡(ペルシア湾とオマーン湾の間にある海峡、北にイラン、南にオマーンの飛び地に挟まれ、水深75m 〜100m、最も狭いところでの幅は約33km)は、日本に原油を運ぶタンカーの通り道「シーレーン」の要衝である。
日本は、四面を海に囲まれた島国である。海岸線の長さは北方四島を含めると4842海里、つまり8967.496kmで世界第7位、排他的経済水域の面積は3861.1万km²だ。鈴木善幸首相は1981年8月、レーガン大統領との日米首脳会談に臨み、共同声明において外洋に伸びる「シーレーン1000海里防衛構想」を公けにした。これは日本周辺海域において日本がより主体的・積極的に防衛任務を行うことを明らかにしたもので、海上防衛における対米公約とし、シーレーン防衛のあり方を課題としてきた。
タンカーが、ホルムズ海峡にばら撒かれた機雷(機械水雷)に接近、または接触して爆発すると、日本は、原油輸入量が激減する。最悪の場合、「日本民族存亡の危機」に危険に見舞われる。中東地域が紛争や戦争状態に陥った最中でも、機雷を除去する「掃海」を行えるようにするのが、今回の「安全保障法制整備関連法案」(自民・公明両党は、平和安全法制整備法案と厚化粧、民主党は軍事協力法案、共産党は戦争法案と命名)の目的の1つだ。
5月26日の衆院本会議で審議入りし、安倍晋三首相は機雷掃海について「実態は水中の危険物から民間船舶を防護し、安全な航行を確保することが目的で、性質上あくまでも受動的かつ限定的な行為だ」として、「自衛隊の海外派遣の例外」とする解釈を力説している。27日からは「衆議院平和安全法制特別委員会」での質疑が始まった。
◆海上自衛隊は、かねてから「シーレーン防衛」の最重要課題として、ホルムズ海峡での機雷除去の必要性を提唱してきた経緯がある。また、米国は、湾岸戦争(1990年8月2日 〜1991年2月28日、戦場はイラク、クウェート、サウジアラビア)の際、「世界最高水準」を誇る海上自衛隊掃海部隊の出動を日本政府に求めてきた。
だが、日本は、湾岸戦争終結後にペルシャ湾に自衛隊初の海上自衛隊掃海部隊(第1掃海隊群の落合o司令官=最終階級・海将補、太平洋戦争での沖縄戦で、「沖縄県民斯ク戦ヘリ」の電報を送ったことで有名な大田実海軍中将の三男)を派遣した。埼玉新聞が5月27日付け朝刊「19面=社会面」の「平和国家どこへ」欄で「リスク論議 歯がゆい」「緊張の任務担った元指揮官」という見出しをつけて、落合o海将補を登場させている。
◆しかし、シーレーンは、ホルムズ海峡だけが危険なのではない。原油をタンカーに積む前、過激武装勢力が原油を採取する油田や積み出し港などを攻撃して、タンカーに積めなくした場合、あるいは、輸送中のタンカーが、潜水艦などから攻撃を受けて撃沈した場合、日本民族は「存続の危機」に陥る。とくに中国が、「軍民の作戦拠点に使える」大規模な埋め立てを進めている南シナ海から東シナ海にかけては、日本のシーレーンが通っている。
この海域で軍事的衝突が生じたとしたら、安倍晋三首相は、陸海空3自衛隊を出動させて、自衛戦争を起こす覚悟を持っているのであろうか。安倍晋三首相は、国会審議や質疑で「北朝鮮」に対して名指しで批判・非難しても、なぜか「海洋覇権の拡大」を図っている中国に対しては、名指しを避けている。
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