http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/619.html
Tweet |
戦後の安全保障政策の転換点となる法案が26日、衆院本会議で審議入りした。国民の支持を与党はどう広げるのか。かみ合わない論戦を野党はどう打開するのか。初日は、本会議場にヤジが飛び交う、荒れ模様の幕開けとなった。
この日の本会議。質問に立った民主の枝野幸男幹事長に対し、自民の一角からヤジがわき上がった。国会の勢力比を映すかのように、安倍晋三首相への野党のヤジより一段と大きい。
共産の志位和夫委員長が質問した際には、壇上の安倍首相が答弁の合間に、ゆっくりとコップに水をついで飲み干す場面も。このパフォーマンスに自民席に笑い声と拍手が広がった。答弁でも、自衛隊が戦闘に巻き込まれる懸念などを問いただす志位氏に対し、「ご指摘はあたりません」と計4回繰り返した。
審議の合間では大島理森議長が「発言が国民の皆様にしっかり伝わるよう静粛な議論を望みます」とヤジを制止する場面もあった。
「政府の答弁は不誠実だ」。本会議後、民主の寺田学氏=比例東北=は不満をあらわにした。「法律によって、どんな活動が拡大されるのか。政府には正直に話してもらいたい。リスクが高くても必要な活動だと政府が説明した上で、本当にその活動が必要なのかを議論すべきだ」
だが、27日から本格的な審議を始める特別委員会の構成も全45人に対し、自公が32人を占める。
野党も足並みは一つではない。維新の青柳陽一郎氏=比例南関東=は、「憲法上どこまで許されるのか、具体的にどんなリスクがあるのか明らかにしていかないといけない」と追及姿勢を見せる一方で、「我が党のスタンスは日米同盟が基軸。日本が世界の平和と安定に対して国際協力をしないといけないという点では与党と同じ」と語る。
審議が後半に進むにつれて退席が相次ぎ、本会議場は空席が目立っていった。
一強多弱の政治情勢のなか、与党も難題を抱える。
朝日新聞の最新の世論調査では、安全保障法制関連11法案を今国会で成立させる必要性があるかという質問に対し、「必要はない」が60%で、「必要がある」は23%。賛否は国会の内と外でねじれている。
「法案について、よく理解できていない方が多い印象だ」。法案をまとめた与党協議メンバーだった公明の遠山清彦氏=比例九州=は語る。地元の有権者に対して勉強会を重ねており、「丁寧に説明するしかない。分かってもらえる手応えはある」という。
安倍首相もこの日、分かりやすく丁寧な説明を心がける、と2回繰り返した。ただ、こう付け加えるのを忘れなかった。「今国会における確実な成立を期して参ります」
■国会前、抗議900人
傍聴席にも空席は目立った。東京都東村山市の元地方公務員の男性(67)は妻(66)と初めて傍聴に来て、驚いた。「戦後日本の重大な岐路なのに、関心がないのだろうか」
「再び戦争になるのでは。黙って家にいられない」。本会議では安倍首相の強い口調に危機感を抱いた。「自分の意見を言い切っているだけに思えた。数の力で押し切るのではないかと不安だ」という。
一方で、国会前には約900人(主催者発表)が詰めかけ、「戦争する国、絶対反対!」と抗議の声を上げた。作家の鎌田慧さんらが発起人の「戦争をさせない1000人委員会」などが呼びかけた。
東京都小金井市の主婦、浅野由紀子さん(65)は「人の命の問題。首相は日本の安全のためと言うが、実際はアメリカのために隊員の命を軽んじているのでは」と話した。
■安保関連法案を審議する衆院特別委員会の委員の声
◇与党
<自民・若宮健嗣氏(東京5区)> 派遣のたびに法を作る特措法式では、緊急時に動けない。なぜ法律が必要なのか、細かい点が、まだ有権者によく伝わっていない
<自民・小田原潔氏(東京21区)> この法律で何かが変わるとは思わない。毎回、必ず国会承認を得る。その手続きが大切だ。自衛隊を出すなら、日本のためになる任務に
<自民・大西宏幸氏(比例近畿)> 「戦争する国」ではなく、自立国家として国民の命と財産、基本権利を守る国にしていくことが大切。できる範囲でやっていく
<公明・遠山清彦氏(比例九州)> 国民の「今までの専守防衛が変わってしまうのでは」という懸念を払拭(ふっしょく)したい。審議で丁寧に説明していくしかない
◇野党
<民主・長妻昭氏(東京7区)> 答弁が雑だなと感じた。事実関係を混同したような答弁があったり、急に新しい事例が出てきたりしていた。精査していきたい
<民主・辻元清美氏(大阪10区)> 街頭演説で28歳の女性に出会った。涙を浮かべ「法案をつぶして下さい」と。恋人が自衛官らしい。有権者の反応は想像以上だ
<維新・青柳陽一郎氏(比例南関東)> なぜ今なのか、「切れ目のない安全保障法制」と言うが、切れ目はどこにあるのか、憲法上どこまで許されるのか、議論していく
<共産・赤嶺政賢氏(沖縄1区)> 憲法を素直に読めば無理なことを正当化しようと、「存立危機事態」など難解な用語で組み立てた法案。ごまかしを指摘したい
(次世代、社民、生活などの衆院議員は特別委に入っていない)
◆国会の傍聴席から議論の息づかいを伝える「ウォッチ安保国会」を随時掲載します。基地を抱える街、戦争の爪痕が残る場所――。現場も歩いて考えます。
5月27日 朝日新聞朝刊より
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK185掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。