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2015年05月27日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆「大陸国家=陸軍国家」は、「海洋国家=海軍国家」に成り得るか?という壮大な実験が、太平洋を舞台に繰り広げられている。それは、「共産主義体制」による国家建設という実験を進めてきた中国共産党1党独裁の北京政府が、軍事面で行おうとしている実験である。中国北京政府は5月26日、2年ぶりとなる「国防白書」を発表した。「中国の軍事戦略」と題し、「陸軍重視の軍の思考を、海上重視に切り替える方針」を強調している。
しかし、中国と同じ「大陸国家=陸軍国家」であるロシアは、帝政時代、日露戦争のとき、遥か遠い欧州からアフリカ南端の喜望峰を経由して、当時最強と恐れられた「バルチック艦隊」を遠征させて、日本海において、大日本帝国海軍の東郷平八郎司令官率いる連合艦隊に撃破されて、不凍港を求めて「海洋国家=海軍国家」になろうとした試みは、あえなく失敗して「海洋国家=海軍国家」に成り損なった。
ロシア革命後、「共産主義体制」による実験国家「ソビエト連邦」建設に邁進したものの、これも失敗して崩壊した。ロシアが「海洋国家=海軍国家」になろうとした名残りは、黒海に面したクリミア半島の先端に設けている「黒海艦隊」の海軍基地に留められている。だが、地中海からさらに外洋に出る海路は、ロシアの自在にはならない。
◆この前例に従えば、中国の新たな試みも失敗する可能性が大である。なぜか。それは、中国大陸が、東シナ海、南シナ海に向けて、長くて広い「大陸棚」を形成しているからである。大陸棚では、水深が浅いので、潜水艦が海中に深く長期に潜って隠密裏に作戦行動を繰り広げることは難しい。
潜水艦が通れる「海の路」は、限られている。潜水艦の艦体に使われている鉄板の厚さは、「最高の軍事秘密」にされているのは、「水圧」にどこまで耐えられるかを知る手がかりになっているためだ。日本海溝などの深海をどこまでも深く潜ることはできない。
いまの海上自衛隊は、大日本帝国海軍時代に比べて、数段高いレベルの能力を持っており、「仮想敵国第1位=中国、第2位=北朝鮮」などの潜水艦がどこに潜っているかを把握している。かつては、「点」でしか索敵できなかったのが、いまでは「面」でキャッチできる技術を持っている。太平洋戦争中、大日本帝国海軍の多くの潜水艦が、米海軍の潜水艦に撃沈されており、これらの苦い経験が、海上自衛隊の能力向上に活かされている。従って、太平洋での大海戦の経験のない中国海軍が、太平洋覇権を築こうとしても、簡単には成功できない。それどころか、すでに中国海軍の潜水艦は、何隻か撃沈されて、海の藻屑になっていると言われている。お互い「忍者」のように海中で隠密裏に作戦行動をしているので、撃沈されても文句は言えない。
◆米海軍は、米西戦争に勝ち、日米大海戦に勝利して制海権と制空権を取り、太平洋覇権を築いてきた。米国は、中国大陸を目指して遠征部隊を派遣してきたけれど、あと一歩のところで、その目的を果たせなかった。
それは、大日本帝国陸海軍と戦ってきた中華民国の蒋介石総統を裏切り、八路軍を率いた中国共産党中央軍事委員会の毛沢東主席(初代)支援に鞍替えしたからであり、いま一歩のところで米帝国主義は、中国大陸侵略を果たせなかったのである。この意味で、中国北京政府は、来るべき「米国との最終戦争」で雌雄を決しなくてはならない宿命の関係にある。戦場は、言うまでもなく「太平洋」であり、この大海戦に日本の海上自衛隊は、日米同盟の下、否応なく引きずり込まれて行く。
【参考引用】
毎日新聞は5月26日午後0時58分、「中国:『軍事衝突に備える』南シナ海念頭…国防白書」という見出しをつけて、以下のように配信した。
【北京・石原聖】中国政府は26日、2年ぶりとなる「国防白書」を発表した。「中国の軍事戦略」と題し、中国を取り巻く状況について「中国の領土主権と海洋権益に対する挑発行為が発生している」との認識を示した。そのうえで、「防御的な国防政策」を堅持するとしつつも、中国の埋め立てによる人工島化で緊張が高まる南シナ海を念頭に「海上での軍事衝突に備える」と明記。陸軍重視の軍の思考を、海上重視に切り替える方針を強調した。
◇日本の安保政策に懸念
白書では、米国のアジア回帰政策に伴う米国を中心とした同盟関係の強化について「地域外の国」が干渉しようとしているなどと指摘。日本を名指しして「積極的に戦後体制からの離脱を追求し、大幅に軍事安全政策を調整しており、国家発展の方向性をめぐり、地域諸国の高い関心を引き起こしている」と懸念を示した。
南シナ海をめぐっては米国を念頭に「南シナ海問題に積極的に介入し、中国に対して高頻度で海上、空中での接近偵察を続けている」と批判。海軍は「常態的なパトロールを行い、軍事的プレゼンスを維持すべきだ」と強調、領土主権をめぐって妥協の意思がないことを明確にした。
また、陸軍重視の軍の思考を海上重視に切り替える方針を強調。海軍を近海型から遠海型へ、空軍を領空防護型から攻防兼務型へ変更する必要性を指摘した。そのうえで「政治、軍事、経済、外交などの領域での争いを密接に組み合わせる」と軍事以外の分野にも言及。中国の発展に伴い拡大した海外権益を維持するため、中国軍の作戦任務を広げる姿勢を示した形だ。また、軍事協力は全方位としつつも、最初にロシアとの軍事関係強化を深める必要性に言及した。
2013年に沖縄県・尖閣諸島を含めて設定した東シナ海防空識別圏や南シナ海で進める埋め立てなど、中国が行った具体的な軍事政策には触れなかった。国防費の詳細内訳は前回と同様、公表しなかった。白書の中で「永遠に覇権を争わず、覇権を唱えず、軍事的な拡張をしない」と強調したが、具体性は乏しく、周辺国の懸念を呼びかねない。
◇中国の国防白書◇
1998年以降、ほぼ2年ごとに発表されており、今回が9回目。2011年までは安全保障情勢などを網羅的に記述していたが、13年から特定のテーマに絞った内容に変更された。13年は「中国武装力の多様化運用」と題し、海洋や宇宙、サイバー空間の権益を守ることを強調、陸海空軍の戦力を具体的に記述した。
本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
小沢一郎代表と順縁の「維新の党」の松野頼久代表が、「2大政党制」実現のキーマンになってきた
◆〔特別情報@〕
維新の党の松野頼久代表が、政界再編のキーマンになってきた。政界再編と言ってもオリーブの木に集めるような単純な「野党糾合」でもなければ、1つの党に結集する「野党再編」でもない。維新の党、民主党から自民党、共産党までを「横断的に輪切り」して、「2大政党」に整理整頓する政界再編である。松野頼久代表の背後には、「2大政党制」づくりに政治生命を賭けてきた小沢一郎代表が控えているという。
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