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2015-05-25 09:17:26
安倍首相は、国民が知りたいことについて国会答弁でも真正面から率直に答えません。それでもここまで政権を維持しているのは、「私は総理だ。最高権力を有する私が答弁しているのだから、間違いはない」という奇妙な紋切り型答弁など、無茶苦茶論理で切り抜けてきたからです。
野党は、「オレが総理なんだ」という答弁に有効な対抗策を持ち合わせていません。野党の知能程度もいちじるしく劣化しているからだといえそうです。
朝日新聞は本日5月25日の朝刊3面で、「かみ合わない首相答弁」という見出しの記事を掲載しました。20日に行われた今国会初の党首討論の実りの無さを取り上げたものです。
まず、民主党の岡田克也・代表が集団的自衛権を行使できるようにするための安全保障関連法案について、「アメリカの戦争に巻き込まれる可能性が強まる。自衛隊員の生命の危険性も高まるではないか」と質しました。
安倍首相の答弁は、「アメリカの戦争に巻き込まれるという“巻き込まれ論”は、60年安保闘争当時もあったが、それが誤りだったことは歴史が示している。自衛隊員の生命が危険にさらされることはない。私が総理であり、『ない』といっているのだから『ない』」でした。
「巻き込まれ論が誤りだったことは歴史が示している」というくだりは、明らかに歴史の読み誤りです。60年安保後も日本が戦争に巻き込まれなかったのは、「戦争に強く反対」してきた世論の抑止力が機能したことによるものです。
また、「総理の私が言っているのだから、間違いはない」にいたっては、ガキ大将レベルのモノいいにすぎません。後方支援で弾薬などを運びこむなどの作業は、従来より危険が高まることはだれの目にも明らかです。しかし、それを認めれば法案成立に支障が出るおそれがあるので、「ない」だけで押し通す。
安倍首相のウソとごまかしの例は、この「箕面通信」でもたびたび取り上げてきました。共通するのは、答弁にもならない答弁を平気で繰り返すあつかましい心臓と恥ずかしさを感じない頭脳のおかげです。
討論というものは、相手の質問にまともに答えることが最低でも守らなければならないルールですよね。そうでなければ民主主義は成り立ちません。
ましてや、「自分が最高責任者だ」という答弁は、「だからオレに従え」であり、少数意見にも配慮しながらできるだけ多くの人の気持ちをくみ取って進めなければならない政治は望むべくもない。
つまり、安倍首相は、民主主義の基本すら理解できない低能レベルと言わざるを得ません。
情けないのは、そうした実りのない討論を繰り返す国会の状況に、ジャーナリズムがきちんとした批判を加えないことです。きちんとした批判を加えられないほどジャーナリズムも劣化しているからです。朝日新聞はかろうじて国会の状況を批判しましたが……。
戦後70年、民主主義は劣化の歴史をたどってきたと言えます。これは、私たち一般大衆が劣化してきたことをも意味するのではないでしょうか。その劣化のあとに来るのは、恐ろしい社会です。
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