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2015年05月25日
数え上げれば、日本が明治維新後、価値を認め、その吸収に全力を注ぎ“欧米文明”を表面的に取り入れることに成功し、経済上の文化的生活を手に入れたのは事実だ。しかし、その成功は表層的なものに過ぎず、“欧米文明”のコアに鎮座する「魂」を身につける事はなかった。ここで言う“欧米文明”と云う言葉は正確ではないかもしれない。正確には“欧州文明”なのだろう。米国には、文化はあるが文明はない。欧州のキリスト教を中心とする宗教と国境線を定める争いの中で、文明は鬩ぎあいの中で磨かれて行ったものなのだろう。
ところで、英国と米国と日本と云うのは、地勢上、島国的要素が多くみられ、多くの国が背中合わせで国境を接する欧州とは、どこか大きく考え方に違いがあるように思われる。それを、論理的に説明できるレベルに筆者は達していないが、歴史的な動きや近隣との接し方など、多くの点で、欧州地域の「魂」とは異なるものを有している。米国は島国ではないが、北米大陸全体を島と見立てることが可能な状況にあるので、日英同様に島文化に陥りやすい。つまり、独善でも、速攻で何かが起きることがない点で似ている。戦後においては、米国に占領された経緯から、我が国の“脱亜入欧”は、現実には“脱欧亜・入米”と云う方向にひた走った。その結果が今である。凄く良くなったと思う人と、凄く悪くなったと思う人々が混在しているのが、今の日本だと言える。
つまり、アメリカンな社会・経済に首まで浸かって、日常を生きている。かろうじて、日本的魂は細々と生き残ってはいるが、風前の灯と言っても過言ではない。あまりにも、明治維新と云う時代がアメリカを模索することに必死だった日本が、何ゆえ、そのアメリカと無謀なまでの戦渦を交えてのか。史実は、かなりのレベルで解き明かされているのに、筆者はどこか、史実では伝えきれない、合理的とは言えない、日本人の精神的深層部分に、「反米」と云う一種コンプレックスのようなものが、残されているように思えてならない。
ここで指摘するコンプレックスは、逆さまに言い換えるならば「歴史的誇り」のようなものでもある。この感覚は、日本の保守にもリベラルにも潜在的にみられ、日本では手放しの「親米保守」という層は意外に限られている。早い話が、腹に一物ある「親米」なのである。リベラルにおける、親米も怪しい。民主主義と云う言葉においては親米なのだが、軍事的なことには反米で、憲法9条護憲の前提が日米安保だったりするのだから、どうも相当にねじくれている。
ただ、1950年以降、世界の覇権の下、アメリカの軍事的行動は、自由と民主主義の十字軍にしては、その攻撃に晒された人々に、世界の警察官的行動だったという印象を残すのは稀である。他国から見れば、アメリカの理念だというものは、どう考えても我田引水なわけで、他国のためや、そこに住む人々から見ると、アメリカと云う国の利益の為だけに行動しているとしか、映らない。その所為かどうか判らないが、「反米」と云う共通項は旧共産圏だけに限らず、中東、欧州においても根強く存在する。興味深いことは、「親米と馬鹿は紙一重」がアメリカ以外の国では、かなり共通認識として存在することだ。
あの最も強い絆で結ばれている筈の英国が、ユーロ圏とは異なる形だが、米国離れを顕著にしている。ユーロ圏もまた、NATOと云う厄介な軍事的監視網の網が邪魔で仕方がない顔を、しばしば見せるようになってきた。中露は、当然のように、アメリカ一国主義は、世界の共通の敵だという看板を高く掲げている。南アメリカ大陸も、「親米」よりも「反米」の潜在意識が強い。握手はするが、彼らはアメリカをまったく信用していない。アフリカに至ると、もうアメリカなどは異なる宇宙の国のような雰囲気さえある。
なぜ筆者が、こんな奇妙な世界中の「反米意識」を考えたかというと、それにしても、日本の官僚組織と云うのは、どうして此処まで「親米一色」に統一されてしまったのだろう、と云う点を考えてしまうからだ。戦後70年の間で、今が最も官僚たちは「親米化」している。それが、占領下に準ずる形態の国家の宿命と言えばそれまでだが、駐留軍と云う名前で残っていた時以上に「親米」なのだ。官僚組織が“アメリカン・シャブ中毒患者”のように思えるくらい凄い。一種、新興宗教の領域に達している。
ところが、中央集権国家として成り立っている日本は、この官僚組織抜きに政治は一切行えないという、奇妙奇天烈な民主主義国家なので、吉田茂が総理であろうと、鳩山由紀夫がそうであろうと、安倍晋三がそうであろうと、実は大きくは変えられない。おそらく、社民党や共産党の政権が出来ても、政治の方向性「親米」を変えることは不可能な気がする。初っ端の方向性を変えることは瞬間的に可能なのだが、政治主導が各法案にブレークダウンしていく過程で、骨抜きにされてしまう。この官僚組織の「隷属親米精神」を破壊しないと、政治はどんどん無力化する。
最近の国民の政治離れ現象は、このような「空気」が国民の間に流れているのではないのだろうか。あれだけの原発事故を起こしても、何事もなかったように「原発は安い」の神話が復活するし、住民の避難に万全を尽くさなくても、原発が安全ならだから問題ないとか、キチガイじみた理屈が堂々と語られても、国民は半分以上馬耳東風だ。本当は人間の耳を持っているのだろうが、馬の耳を装う方が気が楽なのだと思う。現在の沖縄県の問題にしても同じだ。あそこまで、沖縄に対して理不尽なことが出来る国家が自由と民主主義国家ってのは冗談だろう。
夢の中では、日本の二か所くらいでカルデラ噴火(破局噴火)が起きて、日本の国土が半分くらいになれば、流石に残った住民は、経験に学ぶのだろうなどと思ってしまう。火山学者の話によると、箱根山で、仮に6万年前と同じような大噴火が起きれば、マグマによる火砕流で、神奈川県が全滅し800万人以上の犠牲者が出ると言われている。これは極端だとしても、日本は世界一に火山国であり地震の巣窟なのだから、世界で一番、原発に向かない島なのにである。水があり、地熱があり、風があり、太陽がある。当然今でも、世界有数のエネルギー技術を擁しているのだが、それを生かす気がない。これもマヤカシの原発経済合理性が息を吹き返す。これ、すべて官僚の差配なり。
≪ 「再エネ産業」が終わる日 〜『週刊現代』古賀茂明「官々愕々」より
2030年の電源構成に関する政府案が間もなく決まる。原発比率20〜22%、再生可能エネルギーは22〜24%という数字ばかりが報じられるが、 実は、その決定によって、日本の自然エネルギー産業発展の道がほぼ閉ざされようとしているということはほとんど報じられていない。
原子力ムラは、「2030年22%」でも野心的な案だという。しかし、'14年上半期の各国の総発電量に占める自然エネによる発電量の割合は、ドイツ30%、英国18%、スペイン50%、イタリア40%、フランス20%、デンマークは風力だけで41%だ。不安定で大量導入はできないとされる太陽光と風力だけで見ても、'13年時点でさえ主要な欧州諸国は軒並み10%超。スペイン、ポルトガルは20%、デンマークは30%を超えていた。ドイツの風力発電の容量は、'14年末に3823万kW、つまり、原発38基分だ。
ドイツは、自然エネ比率を2030年に50%、'50年には80%にする計画。英国でさえ、5年後の2020年の目標が31%だ。
こうした動きは先進国だけではない。'14年に中国で新たに導入された水力、風力および太陽光発電の容量は5200万kWにものぼる。原発52基分だ。風力だけでも1年で1400万kW、原発14基分建設されたという。もちろん、この建設のスピードは原発建設の何倍も速い。
一方、日本の2030年の計画は、太陽光と風力合計でわずか9%弱にとどまる。地熱、水力、バイオマスで最大15%程度を確保するものの、'13年度に約11%だった自然エネルギーの割合を2030年まで15年かけて、やっと2割程度まで引き上げるだけだ。これは、欧州の数年前のレベル。しかも、中国よりはるかに遅れた計画だ。
そういう試算になってしまう理由として、自然エネは「高い」から、増やすと経済に悪影響があるという前提がある。しかし、実際には、風力発電は世界中でコストが下がり、石炭火力よりも安いのが常識。自然エネ先進国では、太陽光発電も火力より安くなる国が増えている。 また、天候に左右されて不安定な太陽光と風力は5%から10%までが限界だという「神話」が日本だけには残っている。20年前に欧米で崩壊した神話をまだ信じているのだ。
では、諸外国ではなぜ、20%超の導入が普通に行われているのだろう。最大の要因は、発送電分離と小売りの自由化だ。この二つがセットで行われる と、電力小売りをする企業は、とにかく一円、一銭でも安い電気を調達しようとする。その結果、既存電源にこだわらず、安い新規参入者の電気を買うのだ。不安定な電源だからと言って買い取りを「拒否」している日本の電力会社は言わば殿様商売だが、欧州の企業は、不安定でも何とかそれを使おうと必死の努力をしたから、そのための技術が急速に発達した。今や、10%が限界などと言っている日本の電力会社は、世界の笑い物だ。
いまだに発送電分離さえ実現できず、世界の先進国が最も有望な成長分野だとしてしのぎを削る自然エネ産業で一人蚊帳の外の日本。そして、それに気づかない官僚と政治家たち。日本中枢の質は、世界から見て異様なまでに劣化している。 ≫(現代ビジネス:政治を考える―古賀茂明「日本再生に挑む」週刊現代「官々愕々」より)
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