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驚くべき発言を繰り返す川上量生氏(『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』NHK出版)
ジブリと宮崎駿の見解は…ドワンゴ川上量生氏が在特会を評価し「通名は在日特権」発言!
http://lite-ra.com/2015/05/post-1130.html
2015.05.24. リテラ
巨大コンテンツ企業の総帥はガチのヘイト思想の持ち主だったらしい。もちろん、「ニコニコ動画」を運営するドワンゴの代表取締役会長でKADOKAWA・DWANGOの代表取締役会長、川上量生氏のことだ。
先日、本サイトは「ニコ動」が、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の公式チャンネルを突然閉鎖した一件に関して、川上氏が自身のツイッター上で、反ヘイト活動を行うC.R.A.C.に対して「彼らが存在しなければ、もっと早くに在特会チャンネルは閉鎖されていた」「(しばき隊界隈が)やくざとか総会屋とかと同じ」と、八つ当たりしていたことを報じた。
まさに、大企業のトップとは思えない発言だが、川上氏はこれに続いて、もっと驚くべきツイートをしていた。
〈しばき隊の連中は在特会の存在価値は全くないと断ずるだろうし、彼らが人種差別を繰り返した団体であることは間違いない。しかし、日本社会のあるタブーへの議論のきっかけとしての社会的役割を果たした事実は認めるべき。しばき隊も在特会へのカウンターとしての役割を果たしたのは事実〉
さらに、この発言について一般ユーザーから〈あなたは在特会「在日特権」という差別デマを、デマではなく事実だと考えているんですよね?〉と問いただされた川上氏は、なんと、こう返信したのである。
〈しばき隊の議論の特徴は勝手な定義とそれに続くレッテル貼りのコンボですが、「在日特権」が差別デマというのは完全に正しいのですか?「通名」は実際にあったわけですよね?それは「在日特権」ではないという定義でしょうか?〉
在日コリアンへのジェノサイドを扇動するヘイト市民団体である在特会を“社会的役割を果たした”と評価したのも驚きだが、もっと愕然としたのは、ネトウヨの妄想でしかないことが客観的に証明されている「在日特権」の存在を川上氏が示唆したことだ。
しかも、川上氏はそこを突かれると、在日韓国・朝鮮人の「通名」を「在日特権」であると主張したのだ。
実はこれ、在特会が公式HPで言い張っていることとまったく同じなのだが、もちろんなんの根拠もない。たとえば、彼らは「通名制度」によって、犯罪歴を隠すことができるとか言っているが、これは真っ赤な嘘で、警察の履歴にも名前が残る。
「通名」を名乗ることで、在日コリアンが特別な利益を得ることなど何もない。むしろ「通名」は、日本の植民地政策のなかで、半ば強制されてきたものであり、戦後も就職差別や結婚差別から逃れるために「通名」を使い続けざるをえないという側面があった。
これのどこが優遇的な権利を意味する「特権」になるのだろう。もしも、制度自体に疑問をもっているのであれば、いまも日本社会に根強く存在する在日コリアンの就職差別などを解消するよう訴えなければならないはずだ。だが、ヘイト市民団体がやってきたことはどうだったか? 彼らは差別をなくそうと主張するどころか、差別を扇動してきた。それも「日本から出て行け!」「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も全員殺せ」などと虐殺を煽り、彼らの生活の場を侵してきたのだ。
つまり、奴らは難癖をつけ、在日コリアンを“敵”に仕立てた上で攻撃する“免罪符”として「通名制度」は「特権」だとのたまっているだけなのである。そうした悪質な捏造攻撃に対して、「タブーへの議論のきっかけとしての社会的役割を果たした」などと高評価を与える川上氏の発言は、まったく容認できるものではない。
これはなにも、本サイト自身の信条や思想から言っているわけではない。世界市場に向けてアニメや漫画を発信しようという日本を代表するコンテンツ企業KADOKAWA・DWANGOの代表取締役会長でもある川上氏が、マイノリティに対する差別言説に賛同すると表明することがどういう意味をもつのか。同社が海外進出する際には、日本よりも人種差別に厳しい視線をもつ欧米諸国で“差別推進企業”とみなされる可能性すらある。
また、「ニコ動」は党首討論会を主催するなど、政治的コンテンツにも積極的に打って出ている。明らかに悪質な排外主義思想を信奉する経営者のもとで、政治家が発言する場が成立するというのは、社会的公正性を保っていると言えるのだろうか。
こう言うと、川上氏は「表現の自由」をもち出し、「発信者の機会を奪うことはメディアとしてあってはならないこと」などと言い張るだろう。こちとら、その信条にとやかく言うつもりはない。だが、発言には責任がつきものだ。「何人たりとも発言の自由を保障しますよ」とだけ言っておいて、実際に在特会らヘイト市民団体の言説が社会に与える影響力については無視する、とはいかないはず。当たり前だ。メディアとして発言の機会を与え、その結果、差別言説が日本社会、ひいては世界に広まる、そのことについての責任はまちがいなくドワンゴ側も背負わなければならない。
しかも、今回に関しては、自らがはっきりと「在日の通名制度は特権だ」と、在特会が憎悪や差別感情の誘発に利用してきたロジックを、そのまま肯定さえしているのだ。もはや言い逃れはできまい。
そういえば、川上氏は現在、スタジオジブリに「プロデューサー見習い」として入社。プロデューサーの鈴木敏夫氏の弟子として常に行動を共にしている。将来的には、KADOKAWA・DWANGOとジブリの業務提携も噂されている。
ジブリといえば、宮崎駿、高畑勲両監督はもちろん、鈴木プロデューサーも、さまざまなところで差別扇動言説を批判し反戦平和を強く主張してきた。ジブリと鈴木プロデューサーはこうした川上氏の思想を知ってなお、盟友関係を続けるつもりなのだろうか。
ドワンゴ、KADOKAWAのみならず、ジブリにも、川上氏の発言についての見解をぜひ聞いてみたいところだ。
(編集部)
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