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安倍氏がポツダム宣言を読んでいないと言ったとかで大騒ぎだが、そんなことはどうでもいい。ただ答弁拒否・言い逃れのためのレトリックだったに過ぎないのだから。
問題は、むしろ志位氏の質問のこの部分だ。
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「ポツダム宣言は日本の戦争について、第6項と第8項で間違った戦争であると明確に示しております。総理はポツダム宣言の認識をお認めにならないのですか?」
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ポツダム宣言第6項は、こう言っていた。
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六、・・日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス
また、ポツダム宣言第8項は「カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルヘク・・」と言うのみなので、カイロ宣言を見ると・・
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「三大同盟国・・の目的は、1914年の第一次世界戦争の開始以後に日本国が奪取し又は占領した太平洋におけるすべての島を日本国からはく奪すること、並びに満洲、台湾及び澎湖島のような日本国が清国人から盗取したすべての地域を中華民国に返還することにある。
日本国は、また、暴力及び強慾により日本国が略取した他のすべての地域から駆逐される。
前記の三大国は、朝鮮の人民の奴隷状態に留意し、やがて朝鮮を自由独立のものにする決意を有する。」
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志位氏は、「ポツダム宣言の認識をお認めにならないのですか?」と言う。このような発言は、日本共産党の立場をとらなくても、様々な他の考えかたの人たちからも発せられる。
そして上に見たように「ポツダム宣言の認識」によれば、日本は太平洋の島々を「奪取し又は占領し」、満洲、台湾及び澎湖島を「盗取し」、その他の地域を「暴力及び強慾により・・略取し」、また、朝鮮の人民に奴隷状態を強いた。要するに日本がしたことは(かりに国民が「軍国主義者」に欺瞞されたにせよ=そのように言ってしまってよいかは大いに疑問だが・・)、「世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤」であった、というものだ。
しかしこの「ポツダム宣言の認識」は、われわれ日々はたらき生活する国民のとるべき立場だろうか。
もちろんそこには、インド・ビルマ、インドネシア、インドシナ、ハワイの「略取」がないし、香港・グァム・フィリピンの「盗取」もない。中国大陸人民が半奴隷状態へ貶められようと脅かされた事実もない。
そしてこれは、自分だけじゃない、あいつもあいつもやった、という幼稚園レベルの話ではないし、また、だからあれは「アジア解放」の戦争だったという中学生レベルでしか通用しない幼稚なまやかしの話でもない。
そうではなくて、日本の・アジアアフリカの・その他世界の日々はたらき生きる人々の立場から、今にいたるまでの時代これら諸勢力(英、米、・・日本)のしてきた戦争につぐ戦争全体を全体として把握し批判する立場というものがあるだろう。その中ではじめて日本国民として、日本のした戦争の(反省でも謝罪でも何でもいい)総括のしかたというものも出てくる。
われわれにとっては、愛国・民族主義を謳おうと、左翼を志そうと、民主主義を標榜しようと、いずれの立場でもよい、日々はたらき生きるわれわれの立場からの(過去の)戦争の把握が必要なのであって、ポツダム宣言が問題なのではない。
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「戦争の善悪の区別のつかない首相が、戦争法案を提出する資格はない」(志位氏)
しかし、ポツダム宣言が戦争の善悪を決めるわけではない。当たり前すぎるほど当たり前のはなしだ。
ポツダム宣言があるから日本のした戦争が「悪い戦争」になるわけではないし、ポツダム宣言を認めなければあれが侵略戦争でなくなるわけでもない。
だから、ここでポツダム宣言を持ち出す姿勢が問題なのだ。(もちろん、東京裁判を持ち出すのも同じだ。)
ポツダム宣言を持ちだして日本のした戦争の否定的性格づけをしようというのも、ポツダム宣言を批判・否定して「日本のした戦争」の評価修正をしようとするのも(この立場では、それが対中国の戦争と対米英戦争とどちらをいうのかもつねに曖昧だが)、いずれも、日本国民のとるべき立場ではない。
このような、つねにポツダム宣言を問題とする立場は、1945年以降の米英の定める世界秩序(=「1914年の第一次世界戦争の開始」以前の秩序を基礎とする)に依拠する立場であり、繰り返せば、右翼も左翼も民主主義を望む者もおよそ日本国民の行くべき方向を指し示すものではない。このような世界秩序の維持存続に利益を見出す勢力と、それに乗っかったインチキ左翼とエセ右翼だけが(それが大部分なのだが)、この方向をとる。
だから志位氏は、ポツダム宣言を持ち出すべきではなかったのだ。そうではなくて、左翼政党・革新的党派たるものつねに、日々はたらき生活する日本国民のとるべき立場から過去の戦争を総括し、未来に向け理想を語り夢を描き、その理想に立脚して現実的な進むべき道を指し示さなければならない。
ここで志位・日本共産党にポツダム宣言を持ちだされては、戦後70年、左翼的立場を志しそれを日々生きる指針としようとしてきた多くの人々は、党の下にいた者もいなかった者も、現実に行動してきた者もできずにいた者も、その足元を突然さらわれたようなものだ。
〔もっとも戦後日本共産党が(アメリカの手先だとか、GHQの公認・保護のもとにあったとかいうつまらない論に与するものではないが)、じつはつねに、戦後世界秩序およびそこに組み込まれた日本のありかたに利益を感じる小市民的(意識の)労働者・商工業者層の代弁者にすぎなかったというのなら話は別だが。〕
♢
ことは、志位氏が巧妙なワナを仕掛けたなどというにとどまらない。(技巧だとしても)そんな技巧はいらない。繰り返すが、党はつねに原則から出発し理想を語り夢を描き、そこから未来への(現実的な)道を指し示さなければならない。
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