http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/452.html
Tweet |
2015年05月21日 (木)
キャッチ!インサイト 「日朝合意から1年 拉致問題の行方」
出石 直 解説委員
去年5月、スウェーデンのストックホルムで行われた日朝政府間協議。この協議で北朝鮮は拉致被害者を含むすべての日本人を対象にした全面的な調査を行うことを約束しました。
(安倍総理 2014年5/29)
「全面解決に向けて第一歩となることを期待している」
ストックホルム合意から間もなく1年。しかし北朝鮮からは拉致被害者らに関する新たな情報は何一つ伝えられていません。
(横田早紀江さん4/26)
「毎日、娘の無事を祈り、写真を見ては頑張ってねと声をかけながら暮らしています」
北朝鮮による再調査はどこまで進んでいるのか。拉致問題の行方に迫ります。
「日朝合意から1年 拉致問題の行方」
ここからは出石 直(いでいし・ただし)解説委員とともにお伝えします。
Q1、ストックホルムでの合意が発表された時には、拉致問題も解決に向けて進むのかなという期待があったのですが。
A1、「拉致問題は解決済み」としていた北朝鮮が、それまでの立場を覆し、新たな組織を作って調査をすると約束したのですから、私も大きな前進だと思っていました。去年7月には、特別調査委員会が発足して再調査が始まり、合意に従って日本側も対北朝鮮制裁の一部を解除しました。しかし、今現在、北朝鮮からは拉致被害者らについての情報は何一つもたらされていないのが現状です。
Q2、確か当初は去年の夏か秋には一回目の通報があると言われていましたよね。
A2、はい。日朝合意文書には「調査の状況を日本側に随時通報する」とあります。
調査の進展に応じてその時点での調査の進み具合や調査結果を随時、日本側に通報し、必要があれば日本から担当者が北朝鮮を訪問したり、資料を確認したりして北朝鮮側と協議を行っていくことになっていました。
この「随時の通報」をいつ行うのか、何回くらい行うかについては合意文書に記載はありませんが、日本との協議にあたったソン・イルホ大使は「調査は概ね1年くらいかかるが、調査が始まって2か月くらいで一回目の通報ができるだろう」と説明していたということです。再調査が始まったのが去年の7月初旬ですから、それから2か月、8月の終わりか9月の初めには一回目の通報があるのではないかと見られていたわけです。
Q3、しかし通報はありませんでした。
A3、ストックホルムの後も、去年7月に北京、9月に瀋陽で日朝協議が行われ、10月には外務省の伊原アジア大洋州局長らがピョンヤンを訪問して特別調査委員会の委員長らと会っています。これらの協議を通じて北朝鮮側は「調査はまだ初期段階。具体的な調査結果を通報できる段階ではない」と説明したということです。
Q4、「初期段階なのでまだ通報できない」という説明は言葉どおりには受け取れませんよね。
A4、「情報が集まっていないからまだ通報できない」のか、「情報はあるけれども、今は明らかにしない」ということだったのか、後者の可能性も十分あると思います。ストックホルム合意では、日本側も7月の再調査開始と同時に実施した制裁の一部解除とは別に「適切な時期に、北朝鮮に対する人道支援を実施する」としていますので、どこまで情報を出せばどんな見返りが得られるのか、日本側の手の内を探っていたのかも知れません。
ただ10月のピョンヤンでの協議以降、雲行きが少しずつ怪しくなってきました。
Q5、というのは?
A5、新たな問題が出てきたのです。
ひとつは北朝鮮の「人権非難決議」。もうひとつは「朝鮮総連問題」です。
まず「人権非難決議」ですが、これは北朝鮮での人権侵害を非難する決議で、去年12月に国連総会で採択されました。北朝鮮の人権状況についての決議はこれが初めてではありませんが、日本がEUと共同で提出したこの決議では「北朝鮮の最高指導者の管理下で組織的な人権侵害が行われている」と名指しこそしていないものの、キム・ジョンウン第1書記の関与を強く非難する内容となっています。この決議が採択される前後から、北朝鮮は日本に対する非難を執拗に行うようになりました。
もうひとつは、朝鮮総連問題です。ストックホルム合意の前から朝鮮総連のビル売却問題をめぐるゴタゴタは続いていたのですが、ことし3月(3/26)になって京都府警察本部が、大量のマツタケを不正に輸入した疑いで東京の食品卸売会社の役員らを逮捕し、関係先として朝鮮総連トップのホ・ジョンマン議長の自宅らの捜索に踏み切ったのです。
(ホ・ジョンマン議長)
「今回の捜索は非人道的で無法な政治的弾圧であり許せない。北朝鮮と日本の関係を悪化させるもので、拉致を解決する意思がないのは日本当局だ」
Q6、去年の暮頃から対話が途絶えてしまったのですね。
A6、北朝鮮との協議は「対話と圧力」が基本原則ですが、1年前の対話ムードから次第に圧力ムードに変わってきたことは確かだと思います。
4月2日になって北朝鮮は、外交ルートを通じて通知文を一方的に送ってきました。
「我々はストックホルム合意を誠実に履行しているのに、日本が拉致問題を双方の間で解決することにした合意を破った」と日本側を非難する内容です。さらに国連での人権非難決議や朝鮮総連への捜査に言及したうえで「このような状態では政府間対話も行うことができなくなっている」としています。
Q7、日朝間の協議は終わってしまったということなのでしょうか。
A7、北朝鮮の通知文を良く読みますと言葉遣いは強硬ですが、「合意を反故にする」とか「協議を打ち切る」とまでは言っていません。安倍総理は「拉致問題を解決しなければ北朝鮮は未来を描くことはできない」と言っていますが、このことは北朝鮮も十分理解しているはずです。北朝鮮も「人権決議」や「総連問題」では抗議はするけれども、日本側との協議は続けたいのが本音ではないでしょうか。
Q8、とはいえもう5月。夏や秋の通報どころかもうすぐ調査が始まってから1年になります。まったく成果がないのでは、被害者家族も納得できないのでは。
A8、もちろんです。だからと言って中身のない偽りだらけの調査結果をもらっても意味がありません。忘れてはならないのは、去年のストックホルムでの合意で、拉致問題などを解決する枠組みとプロセスができたということです。この枠組みを壊してしまっては元も子もありません。厚いベールに包まれ中で何が起きているのか把握するのが難しい国が相手ではありますが、だからこそこの枠組みを大切にして粘り強く交渉を続けていくことが、遠回りのようで実は近道なのではないでしょうか。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/900/217144.html
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK185掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。