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いまこそ日本は憲法9条を世界に高々と掲げる時である
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2015年5月23日 天木直人のブログ 新党憲法9条
いま我々が目撃している南シナ海をめぐる米国と中国の軍事的攻防ほど、世界の、そして日本の平和と安全にとって重要な出来事はない。
いま我々が目撃していることは、平和を追求し、戦争を回避する戦後の国際政治に対する最大の挑戦である。この深刻さは、いくら強調してもし過ぎることはないのだ。
何が問題なのか?
それは中国の軍事施設建設が、中国の領域外で行われているどうかではない。
軍事施設を建設し、周辺諸国や世界に対し、軍事的脅威と圧力を増大させようとしている中国が問題なのである。
しかし、そのような中国に対する米国の今回の介入はもっと問題なのである。
米国の軍事的介入は、いかなる意味でも正統性はない。
それは、米国が南沙諸島の12カイリ(国際法に定める領海)以内に米軍機や艦船を派遣する方針を示し、中国との戦いも辞さずと宣言したからではない。
そもそも米国は、自国の領域とはおよそ無関係な遠い世界の隅々にまで軍事基地をつくり、空母を泳ぎ回らせ、世界を軍事的に制圧してきた。
今回の中国の南沙諸島沖の軍事施設建設に、なぜここまで米国が強く反対するのか。 それは、米国の空母や潜水艦が我が者顔にアジアの海域を行き来することが、牽制されるからなのだ。
中国が軍事的に増長しているというなら、米国はとっくの昔に増長し、しかも中国よりはるかに傲慢であり続けた。
中国から言わせれば、米国は自分の縄張りである中東や中南米に専念していろ、それもままならないのに、アジアまで出しゃばるな、引っこんでいろ、ということだ。
はじめてこういう事が言える国がでてきたのだ。
さぞかし米国は頭に来ているに違いない。
このまま行けば、米中間の不測な事態が起きる危険性は高まる一方だ。
そんな中で、安倍政権は集団的自衛権行使容認の法改正を行い、日米同盟強化を国是として猪突猛進しようとしている。
最悪のタイミングで起きた米中軍事覇権国の間の衝突である。
もし戦争が起きたら真っ先に先兵にさせられるのは日本だ。
逆に米中が和解に転ずれば、日本の出る幕はない。
どっちに転んでも日本は馬鹿を見させられる。
どちらが可能性が高いかと言えばもちろん後者だ。
米中は決して戦わない。9月の習近平主席の訪米で手打ちが図られる。
日本が馬鹿を見ない為にはどうすればいいのか。
憲法9条を掲げた日本だけが、米・中双方の軍事的覇権を正しく批判できるのである。
正しい外交・安保政策が行えるのだ。
憲法9条の精神が正しいからだけではない。
憲法9条の精神は、戦後の世界が合意した国連憲章の精神そのものである。
国連が果たす平和維持機能は、もはや死んだも同然だ。
しかし国連は厳然と存在し、国連憲章はそのまま生きている。
国連加盟国は増え続け、そのほとんどが軍事覇権に反対だ。
日本は、いまこそ、それら諸国の先頭に立って、憲法9条を世界に高々と掲げる時である。
これほど強く、正しい、外交・安保政策はないのである。
しかし、それを堂々と主張する者は、いまの日本の政党、政治家の中で、ただ一人もいない。
日本共産党でさえ、志位委員長でさえ、そこまで主張しない。
憲法9条を捨て去り、歴史の大きな流れに逆行しようとしている安倍政権の誤りを、正面から指摘し、国民に気づかせることは、いまの政治には出来そうもない。
いまこそ新党憲法9条の出番である(了)
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