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創価学会や読売新聞を筆頭にした新聞各社が垂涎で適用を待っている「軽減税率」制度だが、新聞や書籍への「軽減税率」適用問題は、不思議なことに、このところ議論の俎上にのぼっていない。(土壇場でサッと決めてしまう魂胆なのだろう)
「軽減税率」という名前だが、「軽減税率」の導入によって消費者の税負担が軽減されたり“基礎的必需品”の価格が下がったりするわけではない。
消費税はもともと事業者の付加価値に課税されるものであり、税負担を強いられる事業者がその負担をできるだけ転嫁しようとする動きが消費者にも見えやすいかたちになっているだけである。政府も、事業者の税負担ができるだけ最終消費者に転嫁されるよう民間の取引に介入する統制主義的諸政策を実施している。
(消費税だけが価格のかたちで消費者に転嫁されているわけではなく、法人税・地方法人税・固定資産税など事業者に課される税はどれも、販売価格を通じて転嫁されるものである。転嫁できなければ、思うように利益を得られない。消費税がほかの法人向け課税と違うのは、政府が表立って転嫁に手を貸すということだけなのである)
結局のところ、購入者が価格への転嫁を受け入れなかったり(=安い値段でしか買わなかったり)、購入者の購入量が以前より減少すれば、事業者の付加価値は減少してしまう。
4月に消費税増税が実施された昨年のGDP(付加価値の集積)が実質でマイナスだったということは、消費税増税がそのような結末をもたらし、事業者は一昨年より稼いだ付加価値を減らしてしまったということを意味する。
「軽減税率」は、仕入にかかわる消費税税率よりも売上にかかわる消費税率を低くすることで、税制によって事業者の付加価値が減少する事態を緩和しようというものでしかなく、消費者の消費税込み価格が下がるという性質のものではない。
「軽減税率」がどういうものかもっともわかりやすい例は「輸出免税」制度である。この名前も詐欺的なもので、正しくは「輸出向け消費税ゼロ%課税」制度である。
消費税込み100万円で仕入れたものを120万円で輸出すると、この取引の消費税に関する計算は
120万円×0%−100万円×8%/108%=マイナス7万4千円
となり、7万4千円の“消費税還付”を受け取ることになる。
ちなみに、同じ商品を国内で販売すると、
120万円×8%/108%−100万円×8%/108%=1万4814円
となり、1万4814円の消費税を納付しなければならない。
(輸出業者の付加価値は20万円+7万4千円=27万4千円で、国内業者の付加価値は20万円-1万4814円=18万5186円なので、付加価値の差額は8万8814円もある)
輸出の場合、事業者は、1円たりとも消費税を納付していないのに、なぜか消費税還付という名目で国庫からおカネを受け取ることができるのである。
まったく納付していない税金の還付を受けとることができるという摩訶不思議な制度なのである。
仕入にかかわる消費税7万4千円は、政府の説明方法でも、仕入先が納付する消費税(の原資)であって、輸出業者が納付した消費税ではない。
はっきり言えば、「輸出免税」(「軽減税率」も)制度は、第三者が納付した(するはずの)税金をあたかも輸出業者が納付したかのように説明することで、輸出業者に税金を還付するという国家詐欺である。
「軽減税率」制度は、そのような「輸出免税」制度の変形なのである。
仕入にかかわる消費税の税率に対して、売上にかかわる消費税の税率が低ければ低いほど、適用を受ける事業者の消費税負担が軽減される。
消費税の一般税率が10%のとき「軽減税率」制度が導入されるとして、軽減税率が8%の場合よりも5%のほうが適用を受ける事業者の利益は大きくなる。
「軽減税率」制度が導入されることで適用を受けるものの値段が下がり消費者の生活が楽になると説明する人や思う人は、法人税が下がることで、消費者の生活が楽になると判断しなければ論理矛盾というそしりを受けることになる。
「軽減税率」適用も法人税減税も、事業者の税負担を軽減させる政策という意味では同じだからである。
「軽減税率」制度は、「輸出免税」制度と同じように、徴収した消費税のなかから還付金を支払うことになるので、消費税に税収目標がある場合、消費税の一般税率をより大きく引き上げなければならなくなる。
(家計に占める食費の割合は30%未満であり、ほかの物品やサービスの購入に際して高くなった消費税税率の“転嫁圧力”を強く受けることになる。さらに、マクロ経済的に言えば、生産性も上がらず名目賃金も上がらないまま消費税税率が上がれば、GDPはマイナス成長に向かうことになる。それが昨年のGDPマイナス成長の要因でもある)
「輸出免税」制度や「軽減税率」制度で特定の事業者の消費税負担が軽減される(還付金という生々しい利得を得るケースも含め)というのは、それ以外の事業者が苦労して稼いだ付加価値の一部が国家機関の手で譲渡されることを意味する。
「軽減税率」制度が低所得者の生活を楽にすると今でも思っている人は、国家機関や詐欺師の罠に陥りやすいあぶなかっしい判断力の持ち主だと言える。
※ 食料品に「軽減税率」が適用される一方で、外食には「軽減税率」が適用されない場合、これまでにない“消費税重税”が外食産業を襲うことになる。
上述の消費税計算式を見てもらえばわかるが、売上の消費税は「プラスの消費税」で仕入の消費税は「マイナスの消費税」というかたちになっている。
「輸出免税」は、「プラスの消費税」がゼロで、「マイナスの消費税」がそのまま使えることで事業者に“消費税利得”を与える。
「軽減税率」は、「プラスの消費税」を算出するための乗率が、「マイナスの消費税」を算出する乗率よりも“小さい”ことで“消費税利得”を与える。
仕入の多くが「軽減税率」の適用を受ける一方で自分が販売するものは一般税率となる外食産業は、「プラスの消費税」を算出するための乗率が、「マイナスの消費税」を算出する乗率よりも“大きい”ため、それに見合った値上げができない限り付加価値を減らすという重税に苛まれることになる。
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軽減税率 財務省が対象品目の3ケース示す[NHK]
5月22日 19時24分
与党税制協議会は消費税の軽減税率に関する検討委員会を開き、財務省は対象品目として、「酒類を除く飲食料品」「生鮮食品」「精米」の3つのケースを示し、このうち「酒類を除く飲食料品」を対象とした場合、税率1%当たり6600億円程度の減収になると説明しました。
与党税制協議会は、消費税の軽減税率を、消費税率が10%に引き上げられる再来年4月からの導入を目指すことで合意しています。
22日は、協議会の下に設置した検討委員会の会合が3か月ぶりに開かれ、自民党の野田税制調査会長は「軽減税率を導入するにあたって、どういう課題があるのか検討していきたい」と述べました。また、公明党の斉藤税制調査会長は「秋口までに成案を得るため、今後、協議を重ねていく」と述べました。
このあと、会合では財務省が対象品目の代表的な例として、お茶やコーヒーなど「酒類を除く飲食料品」、野菜、食肉、魚介類などの「生鮮食品」、「精米」という3つのケースを示しました。そして、「酒類を除く飲食料品」を対象とした場合は、税率1%当たり6600億円程度、「生鮮食品」では1700億円程度、「精米」では200億円程度、それぞれ減収になると説明しました。さらに、対象品目の線引きは、食品表示法や酒税法など現行法に基づいて行う方向で検討し、事業者の事務負担を最小限に抑えたいという考えを示しました。
これについて、出席した議員からは「対象品目の明確な線引きが必要だ」といった意見や、「事業者が負担する事務作業の内容が不明確だ」といった声が出されました。そして、今後、検討委員会を週に1回程度開き、ことし秋をめどに制度の概要を固めるため、対象品目や経理の方法などを巡る議論を急ぐことを確認しました。
会合のあとの記者会見で、自民党の野田氏は軽減税率の導入に必要な法案の提出時期について、「秋の臨時国会は難しいが、公明党と真剣に議論して課題を乗り越え、成案を得ていきたい」と述べ、公明党の斉藤氏は「再来年4月に導入するのが公明党の主張であり、それに間に合うよう検討作業を進めなければならない」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150522/k10010088761000.html
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