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「『TPP交渉差止・違憲訴訟の会』弁護団共同代表・岩月浩二弁護士インタビュー:岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/17426.html
2015/5/23 晴耕雨読
https://twitter.com/iwakamiyasumi
5月19日(火)「岩上安身による『TPP交渉差止・違憲訴訟の会』弁護団共同代表・岩月浩二弁護士インタビュー」の模様を実況します。
岩上も原告に参加。
TPPをめぐる世界で初めての違憲訴訟に、注目が集まっています。
岩上安身「5月15日、東京地裁に訴状を提出。157人がこの訴訟に参集しました」
岩月浩二弁護士「請求の趣旨は3つ。TPP交渉の差止、TPP交渉の違憲確認、象徴的にですが損害賠償・国家賠償です。差止や違憲確認だけだと門前払いになる確率が高いのです」
岩月弁護士「この訴状において国民とは『日本国憲法による基本的人権の享有主体たる個人』です。これは、必ずしも外国人が含まれないわけではないという意味です。原告の数は1063人。違憲訴訟の会のHPでは原告は無理でも、支援だけなら、という登録もできます」
岩月弁護士「なぜ賠償を求める必要があるのかというと、これが命と暮らしを守る権利に基づく素朴な裁判なんですということが言いたかったからです」
争点は以下。
グローバル企業の専横な活動によって、国民の生命、自由、幸福追求の権利が侵害される(憲法13条)
グローバル企業の活動によって、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が侵害される(憲法25条 ※生存権)。
極秘交渉は、国民の知る権利を侵害する(憲法21条)。
岩月弁護士「TPPは『自由貿易』を超えるものです。国際経済活動を妨げるものを『非関税障壁』として取り払うことが目的。国際経済法の分野では、『国家による制限や規制を調整し制限して国際経済活動の自由を最大限に保障することが必要』とされています」
岩月弁護士「そして『公正な競争条件の確立をはばむもの(国家による規制や制限、私人・私企業による競争制限的慣行)を規制し、それを取り除こうとする。自由化の目標(費用の最小化と利潤の拡大)が完全に達成されるよう確保することを目指すもの』としています」
岩上「最大の非関税障壁は日本語ではないでしょうか?」
岩月弁護士「日本がこれまでグローバリズムに巻き込まれずに済んだのは日本語のおかげです。国際経済法の連中は英語を学ぶことで精一杯にして批判的精神を養わせない。簡単な事を難しく言う人たちなんです」
岩月弁護士「まず訴状で強調したのは、関税の問題はメインではないということ。TPPは全ての生活に及びます。自動車などあらゆる貿易、基準、規格、手続に及ぶ。また農業・製造業を除く全ての産業は『サービス』い分類されるが、TPPはこのルールを決めるもの」
岩月弁護士「例えば、薬価は厚労相の管轄化にあるが、これがいずれ『薬価を上げろ』とする製薬企業の審査・再審査請求手続の整備によって、彼らの意向が通るようになる。またTPPでは『規制』一般を規律する独立の章を設ける。この規制とは『内政』のことです」
岩月弁護士「つまり『貿易』ではなく、全面的な内政干渉なのです。これを『規制のコヒーレンス(画一性)』と言います。TPP諸国内で最終的に規制の単一化をしようというものです」
岩月弁護士「またTPPの投資章では、モノの貿易もサービスの貿易も伴わない、単なる投資自体(投機、企業買収など)も厳格に保護することを求めている。これは初のこと。単なる自由貿易を超えたものだと言えます」
岩上「この投資には不動産や土地売買も含まれますよね?」
岩月弁護士「不動産の開放はWTOにすでに盛り込まれています。例えば他国が尖閣諸島を購入しようとして規制したらWTO違反になる。自由貿易協定とはこれほど重みのあるものなのです」
岩月弁護士「またほとんど分析されていないTPPの金融章について。全ての協同組合、共済などが、グローバリズム主体の不利益につながるとなったら、これを破壊するインパクトを持つ可能性があります。これはJA全中の解体に見てとれます」
岩上「最終的には警察や軍隊などの軍事組織の民営化、外資が買い取るなんて事も可能になるのでは。東インド会社のように。史上初めての資本の専政」
岩月弁護士「そこまで無茶しなければ体制を維持できないほど、(ん米国が)衰退に向かっているということですね」
岩月弁護士「また『衛生及び植物検疫に関する措置(SPS) 』の分野について。これは安全性を理由に輸入食品を規制してはならないということです。有害であることの十分な科学的証拠がなければ、輸入を制限できない(挙証責任は輸入制限をする側にある)」
岩月弁護士「輸入制限措置は、必要かつ最低限のものでなければならない。予防原則は大幅に制限する。例えば放射性物質の影響は(甲状腺ガン等は)5年しないと分かりません。TPPでは、立証されるまでのこの5年間は輸入をし続けなければなりません」
岩上「日本では今でも(原発問題などで)予防原則を歪めていますね。予防原則を制限されると、国内ではさらに悪化する。さらに立場の弱い国に対しても同じ事をするようになる」
岩月弁護士「ネオニコチノイドの問題などはそれを見越したものかもしれませんね」
岩月弁護士「そして知的財産章は、『自由貿易主義』ですらなく、保護主義です。自由貿易であるなら安くなるはずなのに、高くなるものがあるのです。例えば薬価高騰やジェネリック医薬品の排除、混合診療自由化、株式会社病院の承認などです」
岩月弁護士「本来、医療法人は良質で適切な医療を貧富、地域の差なく等しく行き渡らせることを目的としていますが、株式会社病院は株主の利益を最大化することを本質的目的とするものです。知的財産を持っている製薬会社が儲かるためのものです」
岩月弁護士「また著作権の問題。著作権の及ばないのは街場の食堂のメニューくらい、と言われているほど、あらゆるものが著作権の範囲になる。今後は『非親告罪化』によって、資料を仲間内でメールで共有しただけで警察が刑事事件として立件できるようになる」
岩月弁護士「統治機構に関わる違憲論について。憲法76条1項は『すべて司法権は最高裁判所及び系列下の下級裁判所に属する』としているが、ISDは 外国投資家に対して、海外の私設法廷(仲裁)に一方的に持ち出す権利を特別に認めている。つまり憲法違反」
岩月弁護士「ISDの制度設計のずさんさについて。何か裁判所があるかのように思われますが、その件限り、一審限りで、誰にも何の責任を負わない3人の仲裁人団によって決められます。訴えた企業が1人、訴えられた国が1人、両者の合意で1人が選任されます」
岩月弁護士「ほとんどの場合、ビジネスロイヤーが仲裁人になる。仲裁とは、国家の公権的判断を回避することに本質があります。つまりお天道様のあたらない、闇の中で決めてしまおうということです」
岩月弁護士「憲法41条は『国会は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である』としていますが、TPPは条約であり、法律に優越する効力があるのでTPPに反する法律は廃止し、将来にわたってTPPに反する法律は立法できないことになります」
岩月弁護士「TPPの根本原理は、『国際経済活動の保護』ひらたくいえば『グローバル企業の活動の自由と利益の保護』です。立法の根本原理が、基本的人権尊重の原則から、この『グローバル企業の活動と利益の保護』尊重原則に変わってしまうのです」
岩月弁護士「また秘密交渉であるということは、憲法73条3号但書違反です。条約の締結権は内閣にあるが、『国会の承認を要する』のです。しかしこれほど極秘の交渉は、国会による民主的コントロールを逸脱します。交渉過程文書が4年間秘匿というのも違反です」
岩月弁護士「訴訟の問題点。日本には憲法裁判所制度が存在しない。個人的には憲法裁判所というのは政治化するので無くても良いのかなという気もしますが。日本では具体的な紛争解決に際して、法律や政府等の対応が憲法に違反するかどうかを審査できるに止まります」
岩月弁護士「だから具体的な権利侵害が必要(具体的争訟性)。本件は、これを十分に満たすと弁護団は考えます。ISDが特に問題になる、この裁判に目をつぶれば、司法の自殺行為に等しい」
岩月弁護士「憲法25条(生存権)、21条(知る権利)については、いずれも抽象的権利説が定説で、これを超える議論が出ていないように見えていました。しかし戦後の立法過程で、実はしっかり具体化が積み重ねられてきたことが今回分かりました」
岩月弁護士「つまり、(1)国民の安定的な食糧供給を受ける権利(2)農業従事者の農業や酪農を営むことで生活を維持する権利(3)安全な食品の提供を受ける権利(4)適正な医療を受ける権利(5)憲法21条に直接に基づく「知る権利」、などです」
岩月弁護士「(グローバルな)市場の権力性を直視すれば、当然に求められる基本的人権です。こうした憲法25条に紐付ける論議がなされてこなかった事は憲法学の怠慢です。今回の訴訟における新しい人権論の具体化は『憲法革命』と言えます」
岩月弁護士「すでにTPPを先取りして起きている事態は、遺伝子組み換え食品審査の異様な迅速化(爆発的増加)、枯れ葉剤耐性遺伝子組み換えダイズ等の非隔離栽培の承認、健康食品の機能性表示の自由化、農業の営利化、選択的療養制度…(続く)」
岩月弁護士「(続き)国家戦略特区(農業、医療、教育、雇用)、医療保険『改革』、軽自動車優遇制度の廃止、音の商標、医薬品ネット販売規制の緩和、残業代ゼロ法、解雇の金銭解決化、生涯派遣法、エネルギーの自由化の強調、など」
岩月弁護士「エネルギーの自由化の強調は最近急に出てきました」
岩上「発送電分離は結局外資が入ってくることにもなりますね」
岩月弁護士「逼迫したらで料金が上がったり、グローバル資本は価格が動くものが好きなんです。利ざやを抜けるので」
以上で「岩上安身による岩月浩二弁護士インタビュー」の実況を終了します。
動画アーカイブは準備が整い次第、IWJのトップページにアップします。
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