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2015-05-22 08:19:19
「ボクちゃん、悪くなかったも〜ん」と言いたいだけのお手盛り検証結果が公表されました。後藤健二さん、湯川遥菜さん二人の殺害事件の検証結果ですが、こんなものは「検証」の名に値しませんよね。
何よりも、肝心なことが検証作業から見事に抜け落とされています。まず、「なぜ2人が殺害されなければならないほど日本がIS(イスラム国)に敵視されるようになったのか」という点。検証報告書では、安倍首相の中東訪問は「適切」であり、カイロでの「イスラム国と闘う闘う周辺国に2億ドルを支援する」との演説も、人道支援で問題なかった、としました。
ところが、ISは、その3日後に二人のオレンジ色姿の拘束写真を掲載し、身代金2億ドルを要求してきました。
安倍首相側にすれば、「演説は問題なかった。言いがかりをつけてきたISが悪い」と言っているだけです。なぜ、二人が殺されなければならなかったのか、については全く触れていません。
しかも、ISは、安倍演説後に「日本人をテロの対象にする」と宣言しました。その責任についても、検証報告は何も触れていません。
現地対策本部をヨルダンに置いたことについても、ただ「適切」と評価するだけ。人質解放の実績がある「トルコ」については、「選択肢としてはあったが、ヨルダンが適切だった」ですませました。
要するに、日本は外務省が正確な判断ができるだけの情報を持ち合わせておらず、しかも中山康秀副大臣を現地の責任者にしましたが、滞在中、何の役にも立たなかったことは、検証の対象からはずしました。外務省は、人材不足、能力不足をいかんなくさらけ出したのですが、それもパス。
人質解放のために、「あらゆるルートを使った」と検証しましたが、イスラム国とパイプのある中田考氏には全く接触していません。つまり、正しいルートを避け、わざわざソッポのルートで一見仕事をしている振りをし、素人の無能力副大臣を現地責任者とする「強力布陣」で対応したわけです。
もちろん、検証委は後藤さんの妻から事情を聴くこともありませんでした。おそらく、政府側に都合の悪いことを証言されることを避けたのでしょう。
こう見てくると、今回の検証作業は、「安倍首相の中東訪問とその後の人質殺害問題への対応は、『適切』で『問題なかった』という結論ありきの茶番だった」といえます。
そうした「適切」「問題なし」という結論を出すために、検証委員会の長は、安倍官邸の杉田和博・官房副長官としました。菅義偉・官房長官がじきじきに兼作業をしたようなものです。
そもそも検証作業というものは、第三者がやってこそ意味がある。身内でやれば、お手盛りになるのは当たり前です。
結局、「ボクちゃん、悪くなかったも〜ん。『適切』で、『問題なし』だも〜ん。誤りじゃないも〜ん」というお手盛り、てんこ盛りの検証報告書がしゃあしゃあと出されました。
これが、安倍政治の本質です。
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