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やっぱり9条で問題ない? 自民・改憲漫画の違和感〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150522-00000002-sasahi-pol
週刊朝日 2015年5月29日号より抜粋
憲法記念日が迫った4月28日。自民党の憲法改正推進本部の船田元(はじめ)本部長(61)が記者会見を開いた。集まった記者たちに配られたのは漫画の小冊子。子どもを抱っこする若いママとパパ、祖父、曽祖父が穏やかに笑う明るいタッチ。タイトルは「ほのぼの一家の憲法改正ってなぁに?」だ。
漫画は64ページ。タイトルどおり、4世代家族5人が、日常の風景から憲法改正について考えていく内容だ。党のウェブサイトでも閲覧できる。5万部を発行し、党主催イベントのほか、国会議員や地方議員を通じて配布するという。船田氏は、
「憲法は雲の上の存在で『我々の生活とは関係ない』という感覚の人が多い。憲法そのものに親しみがなく、関心もない。憲法改正の議論の前に、憲法のおかげで私たちの生活や国家が成り立っていることを理解してもらいたいと考えた」
と話す。改憲をわかりやすく伝える手法として、漫画を使うアイデアが推進本部で持ち上がったという。
今年2月4日、官邸で安倍晋三首相(60)に相談すると「それはいいね」と即決。推進本部の事務局長である礒崎陽輔首相補佐官(57)が中心となり、作成が始まった。
漫画は、2歳の息子がいるアラサーの若夫婦の疑問に、祖父(64)、曽祖父(92)が答える形で進む。
物語のスタートは、現行憲法が連合国軍総司令部(GHQ)の草案が基になって成立していることを、若夫婦が知ってショックを受ける場面だ。68年間一度も改正されていないことに触れながら、「基本的人権が保障されているが、何をしてもいいわけではない。いまの憲法は個人主義的といえる」「環境保全の義務、プライバシーに関すること、地震などの緊急事態に関する規定など今の憲法に明記されていないことは多い」と、祖父と曽祖父が順に指摘していく。
9条について、若夫婦が「明確に戦争を放棄した平和な国! 戦争なんてしない方がいいに決まってる」と喜ぶ場面では、曽祖父が厳しい顔でたしなめた。
「戦争を放棄さえすれば、戦争がないと思っとるのか? 国を守る『自衛権』とそれを行使する軍隊を管理する規定は、やはり憲法の中で明確にしておいた方が望ましいのじゃよ」
漫画は終始マイルドなトーンで一貫していて、一読しただけでは自民党の強いメッセージを感じることはない。その理由について船田氏は、
「この漫画では『憲法とは何か』という、基本的な部分を描きたかった」
と、なんとも控えめだ。
漫画を一読して、自民党の深層心理が映し出されていると分析したのは、憲法学者で首都大学東京准教授の木村草太氏(34)だ。
「『絵画療法』という精神療法があります。絵を描いて自分の深層心理を知るというものですが、今回、漫画として描いてみたところ、自民党は現行憲法への愛に気づいてしまったのです」
安倍首相があんなに憎々しげに語っているのに?
「『押しつけ憲法』をアピールしていますが、憲法の欠陥を指摘するには至っておらず、このように変えなければという積極的な提案もありません。ここで指摘している環境権が気になるのなら、改憲ではなく法律をつくればいいだけのことです。自衛隊の国際貢献にも一応、言及していますが、多国籍軍の空爆への参加などは提案されていない。9条の内容で問題ないと言っているようなものです」
木村氏は漫画のラストシーンに注目する。近所の丘の上で初日の出を見る一家。曽祖父が2歳のひ孫に、話しかける。
「憲法っていうのは、その国の在り方なんじゃよ。現行憲法では男女平等が大きく謳(うた)われて、事実この70年で女性の地位は向上した」――。盛んに問題点を指摘していた曽祖父が言うのだから、違和感がある。そして若夫婦の妻が言う。「日本っていい国よね」
「現行憲法下で生きている女性が、日本の良さを再確認している。今の憲法で問題ないと認めているようなもの」(木村氏)
この指摘に、前出の船田氏は、
「現状を肯定しているのではなく、孫にとってすばらしい国にするために、憲法改正は避けては通れないということを描きたかったのですが……」
と、歯切れが悪い。安保法制の議論を控えた今、各方面への“気遣い”が、はからずも現行憲法への無自覚な尊敬(リスペクト)を引き出してしまったのか……。
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