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発送電の分離 改正案が衆院本会議を通過:本旨は料金の自由化、電力会社の利益のため大企業は安く一般家庭は高くなるという話
http://www.asyura2.com/15/senkyo185/msg/368.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 5 月 22 日 04:19:58: Mo7ApAlflbQ6s
 


 消費税増税が「財政健全化」や「社会保障制度の持続性確保」という“ウソ”の名目で推進されてきたように、「電力自由化」や「発送電分離」も選択の自由や料金の低下という“ウソ”の説明で推進されている。

 「電力自由化」で先行している欧米諸国は、大口需要家を除けば、電力料金は一時的に下がっただけで、あとはコスト(ガスなどの燃料費)の上昇以上に料金が上がり、コストが下がっても料金は下がらないという状況になっている。
 米国では、大規模停電が発生し、どこが電力供給に最終的な責任を持つのかが問題になっているくらいである。

 「電力自由化」政策は、料金に関する規制撤廃が本旨であり、電力供給大手事業者や大口需要者にはメリットがあるとしても、家庭など一般もしくは小口需要家にはデメリットしかない。
 料金設定の規制から解放された電力会社は、必然的に大口需要家に向かう新規参入事業者の様子をうかがいながら、様々なボリュームの需要家別にどのような料金設定を行えば全体として“最大の利益”が得られるか計算して料金体系を決めることになる。

 発電設備から送電網まで膨大なコストと長い年月をかけて整備されてきたのが電力供給網である。そういう性格を持つ公共インフラであるがゆえに、設備投資や電力料金について政府の統制を受けてきたのである。

 端的に言えば、料金設定における「総括原価方式」が悪いのではなく、「総括原価方式」の内実(査定)が悪いのである。

 「電力自由化」政策の旗振り役を務めてきた日経新聞も、政府や国会が動き始め役割を終えたからなのだろうが、最近の記事(最後に添付の記事)では、「必ずしも安くなるとは断言できません。英国では、自由化したものの競争がうまく起こらず、逆に料金が上がってしまいました」とか、「東京や大阪といった大消費地では参入が増えるでしょうが、人口減少に悩む地方では競争が進まず、大都市に比べて割高な料金になるかもしれません。」と“逃げ”をうっている。


※参照投稿

「“旧電力”9社で発電総量の96.5%シェア:その自由化が電力会社に対する“勝手気まま優遇政策”になると理解されぬ日本」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/816.html

「「電力自由化」と電力供給活動の特殊性:「電力自由化」は電力会社の勝手気ままな利益追求を許しかねない政策」
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/113.html

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発送電の分離 改正案が衆院本会議を通過
5月21日 14時13分

電力事業への新規参入を促すため、大手電力会社の発電と送配電の部門を分社化するいわゆる「発送電の分離」を5年後から実施するとした電気事業法の改正案などが、21日の衆議院本会議で自民・公明両党や民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

電気事業法の改正案は、現在、大手電力会社が一体で運営している発電と送配電の部門を分社化する、いわゆる「発送電の分離」を5年後の平成32年4月から実施するとしています。

また、ガス事業法の改正案では、一般家庭でも都市ガスの契約先を自由に選べるようにする、小売りの全面自由化を平成29年をめどに実施するとし、平成34年4月には東京ガスと大阪ガス、それに名古屋の東邦ガスの大手3社に対し、パイプライン部門の分社化を義務づけることなどが柱となっています。

これらの法案は、21日に開かれた衆議院本会議で採決が行われた結果、自民・公明両党や民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150521/k10010086941000.html

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電力全面自由化

(上)マンション市場で前哨戦
新電力が価格攻勢、電源不足など課題に

 政府が電力とガスの全面自由化を決めた。電力は来年4月の家庭への小売り解禁を控え、先行するマンション市場ではすでに競争が過熱している。電力会社と新規参入企業の競争で電気やガス料金は下がるのか。自由化の現状と課題を探った。

「半額になった」

 「電気代が半額になった」。千葉県市川市で200戸超が入居するマンション管理組合の理事長を務める山下晴人さんは、毎月の電気料金の請求書に顔がほころぶ。

 2013年に電気の契約先を東京電力からオリックス電力に変えたら、マンションの共用部分の年間電気代が約300万円から150万円に下がった。山下さんは「おかげで修繕費の原資ができた」と話す。なぜ電気代は下がるのか。

 マンションへの一括供給はすでに自由化された大口契約の分野。電力会社は工場から家庭まであまねく電気を届けるのに大きなコストがかかる。一方の新電力はマンションに絞って電力供給すれば、追加コストは数百万円かかる変電設備の交換で済む。新電力は電気代を大幅に割り引いても数年で投資を回収できる。

 東日本大震災後に電気料金を上げた東電や関西電力の管内では、マンション契約の1割前後が新電力に移ったとみられる。16年以降は戸建ても含む約1億件の電気やガスの販売が解禁となり、10兆円規模の市場が競争の舞台になる。

 電力・ガスの地域独占が崩れることで「関西電力が東電の管内で電気を売る」など大手同士の競争も激しくなりそうだ。東電は中部電力と共同での燃料調達に足がかりをつけた。関電と東京ガスも提携を検討している。

 英国では99年の自由化後3年で料金が6%下がり、60%の需要家が契約を切り替えた。


日本でも値下げは広がるのか。

 「電源が足りない」。全国で2600万人の会員がいる日本生活協同組合連合会の担当者は困り顔だ。戸別訪問に強い生協が電力小売りに本格進出すれば電力会社にとって大きな脅威になるが、実際には電気の大規模な調達が困難だという。

 発電所を新設すれば、コスト回収が済んだ古い発電所を動かす電力会社に比べて調達費は割高になる。結果として小売りへの参入は難しくなる。
 先行して自由化した欧米では新電力が電気を卸売市場で調達している。市場の売買高が消費電力量に占める割合はドイツや英国で50%を超える。


増えぬ卸電力

 一方、日本の卸電力取引所はわずか1%どまり。経済産業省は電力会社にたびたび取引所への供給増を呼びかけてきたが、売買高は微増にとどまる。電力会社が競争相手となる新電力に電力を売り惜しんでいるとの見方が多い。新電力側からは「電力会社が発電した電気を新電力が入札で調達できる仕組みの導入を」(オリックス電力の細川展久社長)との声も上がる。

 さらに発電コストの内訳は4割が液化天然ガス(LNG)や石炭などの燃料費だ。「消費者が値下げの恩恵を受けるには燃料費が下がる必要がある」(大和証券の西川周作アナリスト)。原子力発電所が動かないままだと値下げが進まない恐れもある。

 19世紀後半から民主導で整備された電力市場は戦前に「家の1階と2階で契約先がちがう」ほどの激烈な競争を生んだ。1936年には過当競争の是正と戦時統制に向けて電力国家管理の方針が出され、戦後は9電力会社による地域独占が続いてきた。80年ぶりの大競争時代は課題含みで幕を開ける。

[日経新聞3月9日朝刊]
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(下) 足りない送電線 巨額費用 分担の難題

 政府の電力システム改革により、東京電力など9社が地域の縦割りで送電網を整備してきた時代は終わる。新たな競争の基盤となるインフラの整備は進むのか。日本の送電網の将来を探った。

 「西日本の災害時に東日本からどう電気を送るか」。3月上旬、都内のオフィスビル。4月に発足を控えた「広域的運営推進機関」の準備組織で昼夜、議論が進む。従来は電力会社が担っていた地域間の送電線の運営は広域機関に参加する600社超の企業がそれぞれ責任を負うことになる。

 4月から広域機関は送電網の拡充という問題に直面する。北海道や東北では太陽光や風力発電の導入が増えているが、首都圏に電気を送るための送電線は足りない。送電線増強を進めないと新規参入の余地が限られる。

 「9000億円」。北海道と東北を結ぶ送電網の整備費用の試算は巨額だ。広域機関は今後、誰がどう費用を分担するかを決める。多くの電気を流したい発電会社と費用を抑えたい小売会社では利害が対立する。「調整は大変な作業になる」。担当者は身構える。


託送料下がるか

 送電網の増強と同時に競争のカギを握るのが「託送料」だ。小売会社が送配電網を使う時に電力会社に払う託送料は、販売価格の4割程度にも達する。託送料がどれだけ下がるかが新規参入企業の浮沈を左右する。
 政府は2020年に9電力会社の送配電部門を分社する。それでも託送料は今の電気料金と同じように費用に一定の利益を上乗せする「総括原価方式」で決まり、下がりにくい構造が残る。分離後も9つの送配電会社が約15兆円の設備を独占する形態も同じだ。政府内では託送料下げに向け、9社を2〜3社に再編する案も浮上している。


割を食う地方

 中長期的な投資不足の懸念もある。東電は今年度、総コストの約2%に相当する1500億円の工事の先送りで黒字を確保する見通し。「先送りを続ければ停電事故も起きかねない」。社内には危機感も浮上する。

 自由化の副作用でインフラ整備が進まなくなるとどうなるか。01年に規制がほぼ全廃された石油業界では、地方のガソリンスタンド不足が深刻化している。競争激化と人口減少で13年度末の給油所数は3万4706カ所と10年で3割も減った。愛知県豊根村などは自ら給油所の運営に乗り出した。自由化の隙間を自治体が埋める構図だ。

 SMBC日興証券の塩田英俊シニアアナリストは「電力も収益性が低い地方では民間サービスが低下する可能性がある」と指摘する。エネルギーの安定供給と効率を両立するため、送電網整備は知恵の時代に入る。

[日経新聞3月10日朝刊]
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自由化で電気代安くなる?
地域越え競争、選択肢広く

 来春から電力の小売りが全面自由化されると聞いたわ。どうして自由化することになったのかな。私たちの電気料金は今よりも安くなるのかしら。

 電力の小売り全面自由化をテーマに中島由美さん(42)と伊藤裕理さん(49)が松尾博文編集委員に話を聞いた。

 電力販売が全面自由化されると聞きました。

 「東京に住んでいる人なら、電気は東京電力、都市ガスは東京ガスからしか買えませんでした。政府は、2016年4月から電気、翌17年からは都市ガスの小売りを自由化します。鉄道に例えると従来、送電線という線路を使えたのは基本的にその地域の電力会社の電車だけでしたが、今後は電力会社に限らず、どの会社の電車も走れるようにします」

 「電気に関しては、第1段階として今年4月1日に電力広域的運営推進機関という組織ができました。各地でつくった電気を別の地域に運びやすくするための行司役を担います。第2段階が来年の電気の小売り自由化です。電力会社は現在、発電部門と電気を届ける送配電部門、小売部門の3つの部門で成り立っているのですが、そのうち送配電部門を20年に分離します。ガス会社も、パイプライン担当部門をガス製造や販売部門と分離する『導管分離』を22年に終わらせます」

 なぜ、自由化することになったのですか。

 「政府が掲げる目標は3つあります。安定供給の実現と料金の抑制、さらに消費者の選択肢の拡大や新規参入者の事業機会の拡大です。1地域1電力会社という現在の体制は1951年に始まりました。大量の電気を必要とした戦後の高度成長期には、地域独占を認める代わりに、各社が責任をもってその地域に電力を安定供給させる使命を与えた方が効率的だったのです」

 「ただ、低成長時代に入り、地域独占だと電力会社にコスト削減努力も生まれず電気代が割高だという不満が買い手に出てきました。さらに2011年の東日本大震災では、首都圏が電力不足に陥りましたが、他地域から電気を融通できないという問題が起きます。全国どこでも電気が送れる仕組みにすべきだとの議論の高まりも自由化を後押ししました」

 自由化で今後、どんな変化が起こりそうですか。

 「地域や業種の壁がなくなります。電力会社間の地域を越えた競争やガス会社が電気も販売するなどエネルギー業界の垣根を越えた競争、さらに異業種からの参入もあるでしょう。関西電力は東燃ゼネラル石油と組み東京湾岸で発電所の建設を検討しています。東京ガスは、電気とガスをセット販売する予定です。新規参入を目指し、経済産業省に登録した事業者は今年4月時点で600を超えています。携帯電話会社や住宅メーカーなどが新規参入に動いています」

 「買い手開拓のため、売り方も変わってきます。ライフスタイルに合わせた、よりきめ細かい料金設定はもちろん、携帯電話を契約したら電気料金を割り引くサービスが付くかもしれません。太陽光発電パネル付き住宅を販売し、自宅で発電した電気で不足した分は住宅メーカーが供給することも考えられます。『他社より割高ですが、太陽光など100%再生可能エネルギーで賄っています』という売り方もあり得るでしょう」

 実際に私たちの電気料金は安くなりそうですか。

 「必ずしも安くなるとは断言できません。英国では、自由化したものの競争がうまく起こらず、逆に料金が上がってしまいました。成功のポイントは競争を促すための環境整備です。送電線を誰もが安く使えるよう行司役となる電力広域的運営推進機関の役割が重要になります。また、経産省は地域をまたいだ競争後押しのため、東日本と西日本の間の送電能力を20年代後半までに今の120万キロワットから300万キロワットに増やす方針です。東西間では電気の周波数が異なり、融通し合うには変換する必要があるのですが、東日本大震災の際は、この能力が足りず首都圏で電力不足となりました」

 「競争の地域格差を避けることも課題です。東京や大阪といった大消費地では参入が増えるでしょうが、人口減少に悩む地方では競争が進まず、大都市に比べて割高な料金になるかもしれません。全国あまねく競争が起きるよう知恵を働かせることが必要です」

中島 由美さん ビル管理会社勤務。結婚を機に料理を頑張っている。男性は女性と違って食べる量が多いため「健康的に満腹感を得られるよう工夫しています」
伊藤 裕理さん メーカー勤務。今年2月、フランス語の通訳案内士に合格した。さらに語学力と日本の魅力を伝える力を養うため「次は英語での合格を目指します」

 ■ニッキィとは 日経を日ごろからよく読んでいる女性の愛称です。日本経済新聞社は毎週、経済通、世の中通を目指す読者を本社に招いています。詳しくはhttp://www.nikkei4946.com/nikkey/をご覧ください。

[日経新聞4月27日夕刊P.2]


 

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