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2015/05/21 04:06
5月20日に党首会談が国会で開催され、そこで安倍首相はオリンピック招致会議で堂々と世界に向けて「福一原発の放射能汚染水は完全にブロックされ、コントロールされている」と大嘘を述べたが、今回も野党国会議員とテレビ中継を通して日本国民に堂々と大嘘を吐いた。
<首相は集団的自衛権の行使について、「海外派兵は行わない。外国の領土に上陸し、戦闘作戦行動を目的に武力行使を行うことはしない。大規模な空爆を行うこともない」と述べ、「自衛権行使の新3要件」が厳格に適用されるとの認識を示した>(以上<>内「読売新聞」引用)
何処をどのように「自衛権行使の新3要件」を適用すれば安倍首相のいう集団的自衛権行使が達成できるというのだろうか。そもそも「海外派兵は行わない。外国の領土に上陸し、戦闘行為を目的に武力行使を行うことはしない」というのなら、「新3要件」を閣議決定する必要があったのだろうか。ちなみに「新3要件」とは、
<「新3要件」は昨年7月に閣議決定され、〈1〉我が国や我が国と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある〈2〉他に適当な手段がない〈3〉必要最小限度の実力を行使する――を全て満たす必要があると定めた>(以上<>内「読売新聞」引用)
日本国憲法を解釈改憲して恥じない連中の閣議決定だから、日本の国語として文章を適正に解釈することなぞ何とも思っていないのだろう。いかに詭弁を弄しても、その場を繕えさえすれば良心の呵責角といった高尚なものなぞ持ち合わせていないのだろう。何とも自己欺瞞満載な答弁を安倍氏は首相としてしていることに少しも恥じていないようだ。
敗退を「転進」と言い換えた旧日本陸軍と安倍氏の思考回路とは酷似している。我が国と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生したら、集団的自衛権で自衛隊が駆けつけることには変わりなく、武力を保有した連中が駆けつけても「海外派兵は行わない」し「戦闘行為を目的とした武力行使を行うことはしない」というのはナンセンスだ。それならなぜ解釈改憲を閣議決定する必要があったのだろうか。安倍氏は堂々たる大嘘を米国議会と日本の国会で吐いたことになる。
それでも日本のマスメディアは大騒ぎをしない。言論界というが「言論」を生業としている人たちが言葉の正確さを喪失しては話にならない。かつて小泉氏がイラクへ自衛隊を派遣するのに、非戦闘地域に派遣するから武力行使は起こらないし問題ない、と答弁して、野党から派遣する場所は非戦闘地域なのか、と再度質問されるや、自衛隊がいる場所が非戦闘地域だ、と答弁したことがあった。本来ならそのような非論理的で無責任な答弁で内閣は吹っ飛んだものだが、当時のマスメディアは轟轟たる非難の嵐を小泉氏に浴びせるどころか、米国に操縦されていたのか、そよ風ほども批判しなかった。
「新3要件」の第1項の後半と2と3は付け足しのようなものだ。日本国民に差し迫った危険があるか否かとかいうのは判断する者の解釈による。重要なのは第1項の前半だ。「我が国や我が国と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生」した場合は武力行使する、と明快に規定しているではないか。
何が必要最小限な「武力行使」かは攻撃するものと攻撃されるものとの立場によって異なる。戦場は狂気が支配する殺し合いの場だ。そこで神学論争する意味などない。根本的に「自衛隊は日本の周辺事態に対応する防衛軍だ」と箍を嵌めておくことだ。それを取り払ってしまえば、後は野となれ山となれ、の事態に陥るのは目に見える。安倍氏は自衛隊をそうした現場へ派遣しようとしている。それは明確に日本国憲法の戦争放棄規定を逃れる「専守防衛」とする「解釈」すら超えるモノだ。チマチマとした個別的な議論ではなく、日本国憲法に従う立憲国家なのかという根源的なことを議論すべきだ。
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