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2015-05-20 09:25:40
「大阪都構想」に対する住民投票の結果は、戦後70年を経て日本がたどりついた民主主義のひとつの到達点を示したのだといえそうです。大阪市の210万人の有権者は、「大阪都構想」は自分の生活に直接かかわって事柄だけに何とか結論を出さざるを得ませんでした。
久しぶりに悩み、自分の頭で考え、そして投票所に足を運んだのでした。その結果は、都構想に賛成が69万、反対が70万、棄権が70万と、きれいに三分の一ずつに分かれました。しかも、「都構想に反対。大阪市存続」という結論を得たのです。絶妙の結果といえるかもしれません。
なによりも、安倍改憲に痛打を浴びせる結果となったことが最大の収穫です。210万人が対象の住民投票は、改憲を問う住民投票の「予行演習」とも目されました。ビラやチラシは撒き放題。テレビ宣伝もオーケー。ツイッターやフェイスブックでの拡散もお構いなし。
驚くのは、そんな「やりたい放題」の宣伝戦の中ながら、大がかりな買収はなかったようなのです。第一、あの橋下徹という稀代のペテン師が作り笑顔で話しかけ、時に髪を振り乱して、「賛成」を訴えましたが、そのウソに「だまされなかった」のです。自分の頭で考え、おそらく将来の大阪市民のことも考えて、悩みつつ自分なりの結論を出したのだと思われます。
両派の合同での討論会こそありませんでしたが、賛成、反対がそれぞれに分かれて精力的に「勉強会」を開きましたから、いまになって考えれば全市民的な議論が行われたとみることもできます。日本の今の水準で見れば、かなり高いレベルの民主主義が実現したといえないでしょうか。
安倍改憲の予行演習と位置づけられただけに、安倍官邸はこの結果を詳細に分析して、本番に役立てる策を練り始めているはずです。それに対し、護憲派はどうでしょうか。「よかった、よかった」だけではすまされません。
安倍晋三グループの改憲勢力は否応なく、戦略の練り直しを迫られることになりました。今後は、これまでにないペテンやだましの戦術を繰り出してくると想定されます。すでにその兆しは、今国会の運営に現れはじめています。「維新の党」の改憲派に対する自民党への取り込み工作です。各個撃破で切り崩し、取り込む戦術です。「来るべき選挙で、資金面でも支援しますよ」とそっと持ちかける”ささやき戦術”。
なによりも警戒すべきは、テレビのコメンテーターらをはじめ、芸能人、文化人を動員して、大がかりで緻密なプロパガンダ、宣伝戦を仕掛けられることです。
それに対して、憲法9条を守ろうとする護憲勢力はどこまで闘い抜けるか。大阪では、かすかな光明を見せましたが、本番の闘いは今国会で続行中です。
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