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大阪は“おばちゃんパワー”で再生できる
都構想に反対してきた民主党の辻元清美議員に聞く
2015年5月20日(水) 宇賀神 宰司
大阪市長の橋下徹氏が打ち出した「大阪都構想」に対し、辻元清美・民主党大阪府連代表代行(衆院議員)は一貫して反対の立場を表明。2014年12月、民主党の支持組織の連合大阪を中心に政治団体「府民のちから2015」を立ち上げ、反対活動を展開してきた。5月17日の都構想の賛否を問う住民投票では、僅差ながら反対が賛成を上回った。都構想の問題点、住民投票の課題、大阪市の未来像について聞いた。
(注)辻元氏の「辻」は、正しくはしんにょうの上の点が2つではなく1つです。ウェブ上で表記できない可能性があるため、「辻」にて代用しています。
(聞き手は宇賀神宰司)
住民投票の結果は反対70万5585票、賛成69万4844票。0.77ポイントという僅差ながら反対が上回り、「大阪都構想」は否決されました。
「『大阪都構想』にストップをかけられた今、反対した私たちが大阪市のために何をしていくのかが問われている」と語る辻元清美氏(写真:大槻 純一)
辻元:開票速報では当初、賛成が上回っていたので本当にハラハラしました。賛否拮抗で反対派が勝ったという感じではとてもありません。私たちの主張(反対)は多数となりましたが、厳しい結果だったと受け止めています。
同時に「大阪都構想」にストップをかけられたことはよかったと思います。私は大阪市で育ってもきましたし、126年の歴史がある大阪市がなくなってしまう、地図から消えてしまうことに危機感を覚えていました。投票日の翌日、大阪の街を歩いていて、うれしさのあまり「大阪市を抱きしめたい」という気持ちになりました。
次は大阪市をよくするために、反対した私たちが何をするのか問われています。これからが正念場です。
「都構想は改悪、リスクが高すぎる」
「大阪都構想」になぜ反対したのでしょうか。
辻元:橋下さんの「大阪を変えたい」という強い気持ちには賛同していました。ただ、なぜ大阪市を東京都のようにせなあかんのか全く理解できません。
大阪市は横浜市や京都市などと同様の政令指定都市です。橋下さんの構想通り、大阪市を廃して5つの特別区に分けてしまえば当然、政令指定都市ではなくなります。
政令都市は会議などを通じて情報交換をするなどしてお互い切磋琢磨してきました。それがなくなれば大阪は孤立してしまいますよ。政令指定都市の権限や大阪市の財源をわざわざ返上してしまうことは市民にとって全くプラスになりません。
今の行政区が5つに統合されれば、区役所が遠ざかってしまうなどして、橋下さんの強調する「ニアイズベター」に逆行する。津波の危険性が指摘される湾岸部を切り離して特別区にするなど、防災面でも不安がある。
まあ、挙げたらまだまだあるんですが、初期投資に680億円もかけて大阪市を5つの特別区にすることは大阪市民のためにはなりません。大阪市に改革は必要だと思いますが、都構想は改悪、リスクが高すぎます。
仕組みを変えるエネルギーがあるなら、生活保護受給者の増加など目の前の課題を解決することに費やすべきです。維新の方々は「仕組みを変えないと前に進まない」と主張していました。ですが、それは「勉強部屋がないから勉強ができない。勉強部屋を作ってくれたら勉強するのに」と親に愚痴を言う子供のようなものです。
橋下市長は「東京都、大阪都の2極で日本を元気にする」と訴えてきました。
辻元:そもそも大阪を東京と比べて、東京都の真似をするという発想がナンセンスです。
東京はスーパー都市なんです。世界の大都市に対しても競争力のある日本の都市の中でも別格の存在です。その東京に「追いつけ」「追い越せ」という考え自体が時代遅れだし、「そんな必要あんの」と思っていました。
東京の各区長さんと意見交換をしていますが、東京都の仕組みがうまく機能しているとは必ずしも思いません。1人の司令官に強大な力を持たせることも危険です。
石原慎太郎さんが都知事時代に起こした新銀行東京の経営問題や築地市場の移転問題などは、疑問符のつく政策に誰もストップがかけられなくなった結果です。
「大阪市は『お好み焼きみたいな街』」
今後の大阪をどのように変えていくべきだとお考えですか。
辻元:経済界でも成功体験を捨てられない企業は伸びないと言いますよね。ですから、現状を直視して問題点を解決していくことが必要です。「再び世界に冠たる大阪にする」と声高に叫んでも空虚です。
「強さと優しさのある大阪」と私は言ってきました。実はこれは橋下さんも同じです。ただ、橋下さんのやろうとしていることはカジノとかリニアとか何かマッチョな感じがしますよね。
大阪市の街中で市民に住民投票に対して反対票を投じることを訴え続けた辻元氏
生活保護受給者が増えたり、街が衰退していたりするところから再生するには、まずは住みやすい街に変えることです。具体的には子育て、介護、公共交通、防災対策です。
大阪市は「お好み焼きみたいな街」だと思っています。多様性があって外国人も一緒に住んでいる。そんな大阪市に住んでいる人がささやかな幸せを感じられることこそが、行政がまずすべきことだと思います。
住民投票では市民の意見が真っ二つに分かれる結果になりました。
辻元:今後、橋下さんがしっかりやられるだろうとは思いますが、まずは意見が対立してきた市民の傷を癒やしていかないといけないですね。オール大阪で頑張っていくんだという方向性を打ち出すことです。
それは大阪維新の会がほかの会派と協調する姿勢を見せていけば、おのずと解決する問題です。対立ではなく対話へと転換することが維新の会には求められます。
橋下さんが府知事に就任したころは、職員の問題や、「ぼったくりバー」に例えて批判した直轄事業負担金制度など、タブーに切り込んでいくなど改革の旗手として輝いていましたね。ですが、誰かをバッシングして人気を集める手法には危うさを感じていました。橋下バブルはいつかはじけると。
さらには2012年に国政政党の日本維新の会を設立しました。ですが、市長と国政政党の代表は全く違う次元の役割があり、両立できるものではないと思います。ご本人も手を広げすぎたと感じていると思います。住民投票を終え、橋下さんには「お疲れさまでした」と言いたいですね。
「何やってん!大阪つぶすん?」と怒らせてしまった
東京の都市スタイルを目指さないとすれば、今後、大阪市の特色をどのように打ち出したらよいと思いますか。
辻元:街の個性ですが、無理に何かを打ち出すということではないと思います。それぞれ文化や歴史がありますし、個性はその市長や自治体が打ち出す政策によって後からついてくるものだと思います。例えば、横浜市の林文子市長は待機児童問題を解消するなどの政策を進めたので、横浜市は「子育てしやすい街」としてのブランドが確立しましたよね。
大阪市には生活保護受給者が増えていますから、例えば「生活保護受給者の人数が日本一少ない街にする」といった政策を打ち出して着実に実行していけば大阪市らしさが生まれ、それが街のブランドになると思います。
もし私が市長だったら「女性が日本一働きやすい街」にしますわ。大阪の女性は元気ですやん。ようしゃべるし、大阪のおばちゃんパワーは馬鹿にできませんよ。対抗できるのは香港の女性くらいかな。それやったら国際競争力がありますよね。まあ、私もその1人なんやけど。
今回の都構想に待ったをかけたのも大阪の女性、つまりおばちゃんパワーです。女性の反対票が多かったと報じられているように「何やってん!大阪つぶすん?」って怒らせてしまった。このパワーをぜひ活用して大阪を元気にしていきたいですね。
元気な女性が働きやすい街にすれば、共働き世帯を呼び込めますよね。ダブルインカムで所得も多い世帯が増えれば、大阪市での消費も増えて、商店街も活気づく。
生活しやすく働きやすい街づくりをすることで、結果的に企業も元気になる。大企業も本社を大阪市に置こうという流れになりますよね。大阪は商人の街、優れた技術を持った中小企業も多い。日本一の中小企業の街を目指すことも可能になるでしょう。
このコラムについて
ニュースを斬る
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