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2015-05-20 哲学者=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』
安倍晋三と櫻井よしこと「ネット右翼」、あるいは「ネット右翼亡国論」。安倍晋三や櫻井よしこの政治的言動を観察していると、「ネット右翼」や「ネット右翼亡国論」を連想せずにはいられない。いや、安倍晋三や櫻井よしこが、「ネット右翼」そのもにしか見えないのだ
安倍首相が、櫻井よしこの雑文集『日本の覚悟』の文庫版の巻末に解説を書いている。解説と言っても、どこかの雑誌に書いた書評を再録したもののようだ。しかし、いずれにしろ解説であることに変わりはない。
安倍首相は、その解説で、「抜群の歴史認識、ぶれない主張」と題して、こんなことを書いている。
権威におもねることも、大勢に身を任せることも、よしとしない。この国のあり方について、言うべきことはおだやかに、しかしピシャリと言う。櫻井よしこさんの「覚悟」はいつも決まっている。
(安倍首相、『日本の覚悟』「新潮文庫」解説)
どんなに激しい議論の中でも、物腰は変わらない。その姿はときに、生徒を諄々と諭す教師のようにも映る。一方、メッセージは強烈だ。日本の国益とは何か。真の自立を達成するために何をすべきか。近現代史に関する知識と洞察力は群を抜いており、それをふまえた主張はぶれない。現実ばなれした理想論は容赦なく退けられる。やわらかな声だが、不思議とよく通る。
要するに、実態のないお世辞、歯の浮いたような褒め言葉の羅列である。自分の頭で考えていない場合によくあることだ。浮ついた言葉が、意味もなく次々と続くのだ。櫻井よしこの言説が、勇ましい根性論なのだが、安倍首相の解説の言葉は、それに輪をかけたような根性論的観念論である。
「権威におもねることもなく」「ピシャリと言う」「国益」「真の自立」「洞察力」「ぶれない」・・・。これらは、ネット右翼特有の美辞麗句である。恥ずかしくて、口に出すのも憚れるような言葉なのだが、ネット右翼は、こういう観念論的な美辞麗句が好きらしい。
(続く)
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